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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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2020年11月の記事一覧

オールナイトタクシー:Anizine

タクシーは面白い話の宝庫。「オールナイトタクシー」の時間がやってきました。今日はリスナーから送られてきた「3300円」「芸能人」の2本をお送りします。まずは一曲聴いてください。中島みゆきさんで「タクシードライバー」です。 〜 曲終わって〜 1つ目は、東京都小平市にお住まいの「虹の忘れん坊さん、56歳の男性」からのお便りです。 先日、地方都市に出張に行きました。東京のタクシーではほぼすべて交通系のカード、クレジットカードなどが使えるので、何も考えずに駅前からタクシーに乗り

千葉の埋立地:Anizine

先日、ある人から「子供に何かを買い与える話」を聞いた。その人は若いけど立派な会社を経営していて、一般的な感覚からしたら裕福な部類に入るだろう。 子供に「与えすぎないようにする」という、扱いが難しい問題。他の子供たちが買ってもらえないようなものを日常的に買い与えていると、彼らはそれが手に入ることを普通だと思ってしまう。 子供の頃、特に俺が育った横浜では極端なお金持ちや貧乏な家の子が混ざっていたんだけど、そこに厳然とした差があったから、むしろ気が楽だったのかもしれない。家にプ

無料記事:Anizine(無料記事)

定期購読メンバーの方から「有料になる表示がなく終わっている記事があってわかりにくい」というご指摘をいただきました。ありがとうございます。 探り探りで試していたことで、説明不足だったことをお詫びします。 定期購読マガジンには、2種類の読者がいます。課金している人と、無料部分だけを読む、まだメンバーになっていない人です。この両方に向けて書いているんですが、あるところまで読んでもらいながら「この先は有料です」と書くのがだんだん心苦しくなってきたというのが無料記事を増やした理由で

情報解禁!:Anizine

誰かが俺のことを知らない人に紹介する時、何と説明してくれるかを興味深く聞いている。だいたい「この人は写真撮ったり、デザインしたり、本を書いたりしてる人です」なんて言われるんだけど、それは俺がどの分野でも突出して注目されている人物ではない、という悲しい現実だと理解している。 だから、その「サイズの客観評価」については間違えていない。 ソーシャルメディアで誰もが自分の情報を発信できるようになって、750万人のフォロワーがいる有吉弘行さんと同じようなスタンスで話している人を見か

存在しなかった日:Anizine

Parisの友人から「毎年来る人が来ないと季節感がなくなる」というメッセージをもらった。仕事で4月と11月はロケに行っていたので、Facebookの「去年の今日」でも今の時期は、必ずParisにいる写真が出てくる。 去年か一昨年だったか。仕事ではなく遊びでParisに行ったときのこと。毎日何をするでもなく、近所を散歩したり友人と会ってカフェやレストランに行くだけの日々を過ごしていた。出先ではその日に撮った写真を夜中にパソコンに保存して、HDDにもコピーするのが日課だ。 日

差別の構造その2:Anizine

政治家などが失言する。彼らは失言だと批判されると、「誤解があったようだが、表現に気を悪くされたのならお詫びします」と、印鑑レス社会になるというのに、判で押したようなことを毎回言う。 なぜ彼らが失言を繰り返すのかと言えば、当然のごとく「本音が漏れてしまうから」だ。心の中で一度も思ったことがない失言をするのは難しく、おそらくそんな経験はないはずだ。 差別や暴言のほとんどは彼らが日々思っていることで、似た考えを持つ人々と一緒にいる密室では日常的に口に出して言っていることなのだろ

◎支援ご報告:Anizine

引越し祝い・パフォーマーへ 10,000円 教養のエチュード・賞金 10,000円 写真を学ぶ人へ・カメラ 180,000円 noteでサポートばかりしている人へ 10,000円 パソコンを始める人に・Macbook 100,000円 フレンチレストランを体験する人へ 30,000円 KISS, TOKYO オブジェ・クラウドファンディング 10,000円 合計 350,000円を「Anizine」の定期購読料から支援しました。 定期購読メンバーの皆さん、いつも

差別の構造:Anizine(無料記事)

ある若者から、70年代アイドルの動画リンクが送られてきた。「これ見てください、ダサかっこいいですよね」と書いてあった。 ああ、これが「差別」というものだと感じたので、書き留めておく。 その70年代の、へんてこな衣装を着て歌い踊る人たちは平成生まれの若者に教えてもらわずとも俺はリアルタイムで見ている。世界中のすべての出来事にはその瞬間の狂騒の中、全力で行われている尊さがあるものだ。 あとから見れば「ダサい」「カッコ悪い」と見えるのだろうが、それは固定電話を使っていた時代に

ちいさなナイフ:Anizine

誰からも怒られたくなかったら、何もしないことだ。 何かをすれば、それが気に食わない人が必ずいるから批判を受ける。そういう言葉は刺激的で目立つんだけど、好意的な感情はいくら多くても表に出ないものなので気にしなくていい。 俺がいつも書いているのは「何か自分が好きなことをやればいいじゃん」ということだけなんだけど、それを快く思わない人もいる。「決めつけないでください。やりたくてもできない環境の人もいるんですよ」とか言われて。 そんなことくらいわかってるよ。俺がそれを理解してい

ラ・マンチェスターの男:Anizine

最近、ある面白い人と話していて、はっと思ったことがある。その人はほぼ同世代なんだけど、俺とは過ごしてきた年月の「濃さ」が違うと感じた。 目から水族館が落ちるような体験だった。ウロコの総数で言えばかなりのものだと思う。彼は出会った人の数が多く、読んできた本も訪れた場所も桁外れだったから、話していて飽きない。 無駄話をしていて楽しいのは言うまでもなく体験の多い人で、どんな話題でも自分が体験したエピソードを話してくれる人だ。ググる、とは行き先への地図を手に入れることで、旅をした

オールナイトタクシー:Anizine

タクシーは面白い話の宝庫。「オールナイトタクシー」の時間がやってきました。今日はリスナーから送られてきた「巨人ファン」「ひな祭り」「私は2度死ぬ」の3本をお送りします。まずは一曲聴いてください。中島みゆきさんで「タクシードライバー」です。 〜 曲終わって〜 1つ目は、滋賀県大津市にお住まいの「オーツカレさん、55歳自営業の男性」からのお便りです。 私は少年野球の監督をしています。試合がある日はグラウンドまでタクシーに乗ることが多いのですが、ユニフォームを着ているからか、

深夜のコンビニ:Anizine(無料記事)

昨日の夜、コンビニエンスストアに行った。若い頃にアルバイトしたことがあるからわかるけど、コンビニの仕事は本当に大変。今は人件費削減なのか深夜はひとりでやっている店が多い。 接客はもちろん、商品の補充や期限切れ食品の廃棄、コーヒーマシンのメンテナンス、揚げ物などの調理、各種伝票作業など、目が回るほど忙しい。それを外国から来た人がやっている。完全に頭が下がる。俺はスウェーデンのコンビニで宅配便の受付や保険の支払伝票なんか絶対に処理できないと確信している。北欧はスペルが難しいし。

コピー・ドライバー:Anizine

「毎日、知らない人と話そうと思っている」ということは以前書いた。 仕事場のあるマンションで会ったときに話すのは、NYから来たバリー・サンダースみたいな兄ちゃんと、大家さんのふたりだけだ。それ以外は一度も話したことがない。日本人はとにかく知らない人とはできるだけ話さないようにする習性がある。誘拐されそうな園児ならわかるけど、大人には話さなければ失礼に当たる状況もあるのだが、話さない。 たとえばエレベーターで誰かがドアを開けて待ってくれているのに無言で乗ってくる。マナー以前の

今まで食べてきた皿:Anizine

コンテンツの矛盾とは「目の前の料理を食べたら、それを置いた人に隷属する」ってところです。 コンテンツという言葉には「消費」という概念がついてまわる。需要と供給とも少し違っていて、需要がない場所に供給されるから、どんどん太っていきます。これは「私は今これが欲しいかどうかわからないけど、出されたから食べておこう」という行動で、「無料」や「流行」というフレーズとセットで提供されています。 足りていない栄養に対してなら「補給」ですし、知りたいことであれば「探究」、そうしてもらった