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オールナイトタクシー:Anizine

タクシーは面白い話の宝庫。「オールナイトタクシー」の時間がやってきました。今日はリスナーから送られてきた「巨人ファン」「ひな祭り」「私は2度死ぬ」の3本をお送りします。まずは一曲聴いてください。中島みゆきさんで「タクシードライバー」です。

〜 曲終わって〜

1つ目は、滋賀県大津市にお住まいの「オーツカレさん、55歳自営業の男性」からのお便りです。

私は少年野球の監督をしています。試合がある日はグラウンドまでタクシーに乗ることが多いのですが、ユニフォームを着ているからか、よく野球の話をされます。「お客さん、野球やってるんですか、私もやってたんですよ」なんて。

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先日、熱烈な巨人ファンの運転手さんにあたりました。乗った瞬間に「それ、第一次長嶋時代のユニフォームですよね」と言われました。私は長嶋ファンで、まさに長嶋監督が誕生したときのスタイルを再現したユニフォームなのです。「運転手さん、詳しいですね」から始まって、お互いにどちらが巨人のことを知っているかという対決のようになりました。

年齢も近かったので、1975年あたりの話が盛り上がります。投手では堀内、高橋良昌、高橋一三、関本四十四、小林繁など。そこから80年代に入って新浦、加藤初、江川、西本、定岡、などの話をしました。

どんどん話はマニアックになっていき、ドラフトの候補には上がっていたが直前で指名しなかった選手なんていう「それはもう巨人の選手じゃないだろう」というエリアまで深堀りしていったのです。

私の家についたのですが、運転手さんが「もうちょっとだけ話しませんか」と言ってメーターを切りました。「前に乗ってくださいよ」と言われ、助手席に移動しました。そこから近所の数キロの道を3周くらいしました。おじさんふたりが野球の話をしながらドライブです。いくらなんでも4周目はないよな、と両方が思ったので家の前で降りることにしました。

また今度乗ったときは続きを、と握手して別れました。巨人の時代別ベストナインを決めていたのですが、柳田、黒江の時期だったので、坂本にたどり着くまでにはまだまだ長い時間がかかったと思います。

という、オーツカレさんのお便りでした。ありがとうございます。

次は奈良県の「パンツのゴムがガッバーナさん、43歳女性」からのお便りです。

初めてメールします。先日、デパートに行くときに乗った運転手さんの話です。彼はタクシーを始める前は「ひな人形の営業マン」をしていたそうです。私がデパートまで、と言ったので当時のことを思い出したのでしょう。デパートでのひな祭りフェアは会社の一大行事らしく、そこでの売上が夏のボーナスにも影響があったそうです。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。