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    ANITABIは「アニメーター」をテーマにしたドキュメンタリー映画を制作するためのクラウドファンディングを実施しています。このマガジンでは「アニメーター」をテーマにした記事を連載しています。

最近の記事

アニメーターは稼ぐ気がない!?

アニメーターの待遇が改善されない理由は、多岐に渡りますが、私は個人的に一番大きいと考えているのが「そもそもアニメーター本人が稼ぐ気がない」という点です。 「アニメーション制作者実態調査2023」によれば、約半分以上のアニメーターが、自身の現在の収入水準に不満を感じていません。 一方で「老後の生活設計における不安」については、約70%のアニメーターが不安を感じています。 この調査だけを読み取ると、多くのアニメーターが「収入水準には不満がない一方で、老後の生活設計には不安を

    • アニメーターの待遇を改善するために求められている人材

      現在、アニメ業界はそれなりの成長率を叩き出し、その市場規模は約3兆円ということで、日本のネット広告と同程度の市場規模に膨れ上がっています。 しかし、一向にアニメーターの待遇が改善されません。理由はいくつか挙げられますが、私が思うに、アニメ制作会社に適した経営者の不在が大きいと考えます。 アニメ制作会社の社長を務めている人の大半は、元・プロデューサーです。たしかにプロデューサーはお金を集めて、可能な限り収益を出すためのスキルを養えます。しかし一方で、マネジメントや投資などの

      • アニメーターの待遇改善のためのドキュメンタリー映画制作

        現在、ANITABIが運営しているこのnoteは、とあるクラウドファンディングプロジェクトを達成するために、運営されています。 アニメーターの現状をテーマにしたドキュメンタリー映画制作です。 現状として、資金はごく少数の支援者からしか集まっておらず、かなり厳しい状況です。 実際、このnoteでは「アニメーターの待遇改善」とかこつけて、アニメ業界のことばかり話してしまっていて、肝心のプロジェクトの内容にはほとんど言及してきませんでした。 そこで今日からは、プロジェクトと

        • アニメ業界に革命が起こる日【ルックバックを鑑賞して】

          2024年6月28日より『ルックバック』の劇場版が公開されまして、筆者の私も週末明けの月曜日に鑑賞しました。 『ルックバック』は原作漫画が超素晴らしいのですが、今回のアニメーション映画に関しては、映画ならではの演出が盛りだくさんで、特に"無音"については、映画館の音響ならではの演出だと思います。ストーリーも素晴らしく、クリエイターに刺さる内容だったのは間違いありません。おそらく『ルックバック』は、多くのアニメーターに影響を与える作品になるでしょう。 そして『ルックバック』

        アニメーターは稼ぐ気がない!?

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          アニメーター志望におすすめのアニメ⑦:海がきこえる

          アニメーター志望にお勧めのアニメとして、最後に紹介するのがスタジオジブリの『海がきこえる』です。 本作は最もマイナーなスタジオジブリ作品かもしれません。宮崎駿や高畑勲は制作に参加しておらず、劇場アニメではなく長編テレビアニメとして公開されたため、話題にもならなかったからです。 『海がきこえる』は氷室冴子による小説が原作で、1993年に90分間のスペシャルアニメが日本テレビで放送されました。制作スタッフはほとんどが若手で、監督は外部のアニメーターを起用。そのほかのジブリ作品

          アニメーター志望におすすめのアニメ⑦:海がきこえる

          アニメーター志望におすすめのアニメ⑥:数分間のエールを

          最近、公開されたアニメ映画の中で、アニメーター志望におすすめのアニメを紹介するなら『数分間のエールを』を挙げたいです。 『数分間のエールを』は、新進気鋭の映像制作チーム「Hurray!」と『ラブライブ!』などの有名作品の脚本を担当してきた花田十輝によるアニメ映画です。「この時代にモノづくりを志す全ての人へ」とある通り、アニメーターに限らず、クリエイターを志す全ての人がターゲットとなっています。 とはいえ、ストーリーそのものは、モノづくり系やお仕事系アニメの王道をゆくスタイ

          アニメーター志望におすすめのアニメ⑥:数分間のエールを

          アニメーター志望におすすめのアニメ⑤:涼宮ハルヒの憂鬱

          「現代アニメ史」という学問があるのなら、まず間違いなく「転換点」とも言えるのが『涼宮ハルヒの憂鬱』です。 『涼宮ハルヒの憂鬱』は、2006年に放送されたTVアニメで、原作はライトノベル。アニメ制作会社は京都アニメーションです。 現代アニメ史は『涼宮ハルヒの憂鬱』が放送される前の時代と後の時代に区分できます。実際『涼宮ハルヒの憂鬱』が放送されて以降、深夜アニメの品質は全体的に向上。また、ライトノベル原作のアニメも一気に増えました。その上、これまで動きをあまり追求する必要がな

          アニメーター志望におすすめのアニメ⑤:涼宮ハルヒの憂鬱

          アニメーター志望におすすめのアニメ④:SHIROBAKO

          アニメーター志望におすすめのアニメと言えば、やっぱりこれを紹介しないわけにはいきません。『SHIROBAKO』です! 『SHIROBAKO』は、2014年に公開されたTVアニメ作品で、監督は水島努、アニメ制作会社はP.A.WORKSです。個人的にはPA作品の中で『SHIROBAKO』が一番好きですね。 『SHIROBAKO』は、アニメ制作の現場をアニメで描いた作品でして、しかも監督はコミカルな動きに定評のある水島努で、アニメ制作は勢いに乗りまくっていたP.A.WORKS。

          アニメーター志望におすすめのアニメ④:SHIROBAKO

          アニメーター志望におすすめのアニメ③:映画大好きポンポさん

          アニメーターに限らず、クリエイターにおすすめのアニメが『映画大好きポンポさん』です。 本作は2021年に公開されたアニメ映画で、『夏へのトンネル、さよならの出口』でアヌシー国際アニメーション映画祭の特別賞を受賞したことで話題になったCLAPがアニメ制作を担当しています。 この『映画大好きポンポさん』は「オタクや引きこもりなどの陰キャだからこそできるクリエイティブがある」ということを教えてくれる稀有な作品です。引きこもりは、現実から逃避するために、自分だけの世界を作り上げ、

          アニメーター志望におすすめのアニメ③:映画大好きポンポさん

          アニメーター志望におすすめのアニメ②:MUNTO

          アニメーター志望におすすめのアニメとしてMUNTOシリーズが挙げられます。 『MUNTO』は京都アニメーションが2003年より公開を開始した自主制作プロジェクトで、京アニ自らが「京アニの原点」として本作を据えています。 京アニ作品の中では知名度が最も低く、実際に視聴したことがある人も少ないかもしれません。しかし本作を視聴することは、京アニが一体何を信じていて、アニメーションの価値がどこにあるのかを見つけるヒントに繋がります。 また、本作は京アニ屈指のアニメーターだった木上

          アニメーター志望におすすめのアニメ②:MUNTO

          アニメーター志望におすすめのアニメ①:ほしのこえ

          今回からはアニメーター志望におすすめのアニメを私見たっぷりに紹介していきます。 その第1作目は『ほしのこえ』です。 現在、日本で最も有名なアニメ監督は宮崎駿だと思いますが、その次に来るのは新海誠なのではないでしょうか。 『君の名は。』のメガヒットをきっかけに、『天気の子』や『すずめの戸締まり』では安定した興行収入を叩き出しています。今となっては、日本のアニメ映画界におけるキーパーソンになりつつあるでしょう。 そんな新海誠の原点とも言える短編アニメーション映画が『ほしの

          アニメーター志望におすすめのアニメ①:ほしのこえ

          アニメーターの個人戦略⑦:AR・VR業界に参入する

          今クリエイティブ業界で注目を集めているのは、AR・VRなのではないでしょうか。なぜなら、ついにAppleがVRデバイスを発表し、それが市場に出回るようになったからです。日本でも2024年6月末からApple Vision Proが販売開始されます。 初代マッキントッシュやiPhoneが登場した頃のように、まだ多くの人は、AppleVision Proの使い方を知らないのだと思われます。価格が高いのもあるのでしょうが、使い方を知らないがために、購入をためらっている人が大半だと

          アニメーターの個人戦略⑦:AR・VR業界に参入する

          アニメーターの個人戦略⑥:3DCGクリエイターとの兼業

          アニメーターの個人戦略として、3DCGクリエイターとの兼業が挙げられます。 手描きアニメーターの収入が低い一方で、3DCGクリエイターはその限りではありません。 3DCGクリエイターとは一言で言っても、アニメーションを担当するアニメーター、立体的に3DCGを組み立てるモデラー、形状を加工するテクスチャーなど、様々な職種が挙げられます。 ただし、アプリケーションの進化に伴い、これらの業務は垂直統合されているため、モデリング、アニメーション、テクスチャーなどの業務を統括できる

          アニメーターの個人戦略⑥:3DCGクリエイターとの兼業

          アニメーターの個人戦略⑤:アートアニメーションの世界に入る

          アニメーターの個人戦略として、アートアニメーションの世界に入ることが挙げられます。 そもそもアートアニメーションとは一体なんなのでしょうか。アートアニメーションは、簡単に言えば「芸術性の高いアニメーション作品」なのですが、芸術の「未来や社会を人間が知覚できる形にする」という機能性を考えると、アートアニメーションは、アニメーションの未来を表していると私は考えます。 そのため、アートアニメーションでは実に様々な技法を用いて映像を表現するのですが、その技法そのものが作品であり芸

          アニメーターの個人戦略⑤:アートアニメーションの世界に入る

          アニメーターの個人戦略④:海外に出る

          アニメーターの個人戦略として、海外に出ることが挙げられます。 アニメーターに限った話ではなく、活躍の場を国内から世界に広げることは、その分だけ顧客が増えることに繋がるので、結果として多くの人に作品を届けられるようになります。 また、海外のクリエイティブ業界は、日本の手描きアニメの可能性に期待している場合が多いです。日本式アニメーターとして海外に出て、コマーシャルアニメーションを掴み取れれば、日本国内では考えられないような収入を獲得することもできるでしょう。 それだけでな

          アニメーターの個人戦略④:海外に出る

          アニメーターの個人戦略③:ハイパーメディアクリエイター

          世界的に活躍するアニメ監督の多くは、画をある程度描けるだけではなく、脚本を書いたり、3DCGを制作したり、映像を編集したり、音楽を作れたりします。メディアの枠組みを超えて、クリエイティビティを発揮しているのです。 マルチな才能は、一見すると特別な人にのみ与えられたもののように感じられるかもしれません。しかし、実態は異なります。アプリケーションとテクノロジーの進化により、誰もが70点ぐらいの作品を制作できるようになっているため、プロフェッショナルよりもマルチにクリエイティビテ

          アニメーターの個人戦略③:ハイパーメディアクリエイター