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アニメーターの個人戦略⑥:3DCGクリエイターとの兼業

アニメーターの個人戦略として、3DCGクリエイターとの兼業が挙げられます。

手描きアニメーターの収入が低い一方で、3DCGクリエイターはその限りではありません。

3DCGクリエイターとは一言で言っても、アニメーションを担当するアニメーター、立体的に3DCGを組み立てるモデラー、形状を加工するテクスチャーなど、様々な職種が挙げられます。
ただし、アプリケーションの進化に伴い、これらの業務は垂直統合されているため、モデリング、アニメーション、テクスチャーなどの業務を統括できる3DCGクリエイターは、以前に比べてハードルが下がりました。

これに、手描きアニメーターのスキルを組み合わせることができれば、自分の手でキャラクターデザインを作り、それを3DCGにして動かせるようになります。

3DCGは、手描きアニメーターとは異なり、そのほかの業界でも応用できるのが最大の強みです。そのために、手描きアニメーターより3DCGクリエイターの方が、平均的に収入が高いのです。

これまで、3DCGは「MAYA」が標準的でしたが、現在は「Blender」も負けておらず、Blenderを用いて高品質なアニメ作品が制作されたケースもあります。1年で約30万円の費用が必要なMAYAとは異なり、Blenderは無料です。つまり、Blenderを動かせるハードウェアさえあれば、誰でも3DCG制作に携われます。

3DCGを使いこなせるようになれば、手描きアニメーターの本分であるキャラクターデザインとアニメーションに加えて、背景生成、エフェクトなども全て自作できるようになるため、大きな付加価値になる可能性があります。
それに加えて、先ほども述べた通り、3DCGは汎用性の高いメディアです。アニメーション作品だけではなく、ゲームやメタバースにも応用が効くので、より幅広い表現ができるようになります。

この連載で何度も言っていますが、テクノロジーとアプリケーションの進化により、誰もが複数の領域で創造性を発揮できるようになっています。手描きアニメーションと3DCGで表現力を磨き、それにあわせてコンポジットのスキルも身につけることができれば、手書きアニメ、3DCGアニメ、実写映像を全て包括したマルチムービークリエイターになれるでしょう。私が思うに、これは海外(特にハリウッド)で相当のニーズがあると思います。

次回に続きます。


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