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社労士のわたしが、”産科”の勤務環境改善に取り組む理由

産科の勤務環境改善に取り組んでいる葛西杏奈です!

Twitter:@mikke_medical
Instagram:@mikke_medical

普段は社労士として企業の人事労務サポートをしながら(※4月に社会保険労務士事務所みっけを開業)、助産師さん向けのアプリを作っています。

先日のCOM-PJ参加をきっかけに、初見の方と話す機会が増えました。その中で、自分の想いや産科における課題を発信していく必要性を感じ、このタイミングで一度まとめてみようと思います。

わたしのキャリア形成

これまでのキャリアを簡単に書くと

🌱中央大学法学部 卒業

🌱大学~新卒3年間:社会保険労務士事務所勤務
→給与計算や社会保険手続き、労務相談業務を経験。労務相談に至るまでの背景や現場で起きていることをもっと見たいと転職&大学院入学

🌱産婦人科(※病床数60床)で人事として勤務

🌱COM-PJという社会起業家支援プロジェクトに参加し、ピッチコンテストで最優秀賞を受賞
<保有資格>
特定社会保険労務士/経営学修士(MBA)
宅地建物取引主任者/年金アドバイザー/給与計算検定1級

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産婦人科での勤務と大学院での学びが重なったことがターニングポイントに

大学院入学後すぐに社会起業家の先生の授業をとりました。授業では、「一人一人がチェンジメーカ-であり世界を変えることができる」というメッセージを繰り返し伝えてくれ、自分次第で社会に対して意思表示することができるということ、また意思表示することの重要さを教えてもらいました。これが大きなきっかけとなり、こんな自分にも社会のためにできることがあるんじゃないか、それはなんだろうと常に生活の中で問うように。

助産師さん・産科ナースさんの想いを知った

時を同じくして、産婦人科では経営陣の直下で採用から日々の職員対応、経営陣とのルール作り、規程整備等、幅広く携わることができました。医療業界・産婦人科ともに初めてでしたが、中でも1番衝撃的だったのは看護師助産師が入職してから退職するまでの速さと退職率の高さでした。入職して1週間を待たずに辞めてしまうことも珍しくなく、入職初日にロッカーに退職届を置いたまま連絡がとれなくなることさえありました。せっかく入職を決めてくれたスタッフが短期間で退職してしまうことは現場の同僚スタッフへの影響はもちろん、採用活動当初から入職日当日までやりとりを重ねてきた人事スタッフにとっても入職者への思い入れがある分寂しい気持ちが残るのと同時に、採用業務に力をいれてもどうせまたすぐに辞めてしまうのではないかと人事スタッフのモチベーション維持においても影響があったように思います。(紹介会社とのやりとりの負担・経営者や師長との調整・候補者とのやりとり・入職準備・・・等、人事スタッフも日々奮闘しているんです!)

では退職の要因となっているのは、「労働条件?」「入職後の勤務実態?」「女性が多い職場だからこそ人間関係に問題がある?」と、今まで誰も手を付けてこなかったこの課題に対して取り組もうと、まずは看護師助産師の方と1on1を実施。
ひとりひとりとじっくり向き合ってみると、看護師助産師さんが病院・患者さん・一緒に働く仲間それぞれのことをよく考え配慮し業務に取り組んでいることを知りました。自分自身のプライベートや体調よりも「自分が休むことで周りに与える影響」や「患者さんへもっとこんなケアを届けたい」といった使命感をそれぞれが持っており、強い言葉でわたしに伝えてくれました。
また、現場で日々奮闘している彼女たちが病院のサービスを改善していくヒントを持っていることも知りました。経営陣の直下で様々な労務対応をする中で、どこか職員は自分の権利を守る、主張することが多いように感じていたところがあったと思います。しかし、1on1を通して、職員のポジティブな面が評価者である経営陣には見えていないこと、そしてそれは病院にとっても職員のモチベーションという意味でももったいないことだと強く感じました。

実現したい世界

直接想いを受け止める中で私の中に芽生えたのは、人手不足の日々をこうして乗り切り、忙しい中でも患者さんや一緒に働く仲間を1番に考え行動してきたこの人たちがきちんと報われる職場であってほしい、もっとこのひとりひとりのすばらしさや魅力が評価されるべきだという想いでした。
患者さんも大事だけどまずは産科の現場で働く一人一人が幸せになってほしい!

ここから産科について調査をしてわかったのは、少子化が進行する中で待機児童などの保育園問題や働くパパママの両立支援の整備は注目されやすいのに、出産を支える産科医や看護職の労働時間や夜勤回数はここ10年のデータをみても大きな変化はありません。(次回、産科の課題を取り上げる予定です!)しかし業界内・行政としては課題として認識され各所で話し合いはされてきたはずです。
ならば産科の外からのアプローチとして、もっともっと社会的な課題として認知されるよう働きかけ、真剣に取り組む人を増やしていかなければいけないのではと思い、私が第1号になろうと決めました。

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そこで、たどりついた私の人生のミッションは「誰もが医療職になってよかったと思える世界(職場)にすること。」

働くことに対する熱量や会社との距離感はその人、ライフステージのタイミングによってそれぞれで良いと思っていますが、働くことが要因となって休職に追い込まれるほどつらい気持ちになったり苦しむ人は減らしたいと考えています。

そのために産科の現場が医療者の“善意”や”やりがい“といった自己犠牲の上に成り立つ状況を改善し、出産に関わる全ての人が自分自身を、一緒に働く仲間を、所属する組織を誇りに想い、それぞれが既に持っている魅力・能力を活かし合うことができる場を作る。これを一つ一つのクリニック・病院で実現していくことで、産科=劣悪な労働環境というイメージを払拭し、産科の大きな課題でもある産科医(助産師)を目指す人の増加、さらには地域医療の安定へとつなげていくことができると信じています。
さらに、今回のコロナによって強く感じたこと。それは医療職に感謝をすると口では言っても過酷な労働環境で身を削っている医療者(の業務負荷)を直接サポートする人はいないのではということ。今から医療者になることはできないけれど、いつか出産を希望する一女性として、(専門職である)一社労士として、私がそれらの医療者をサポートしていきたいと考えます。

事業について

ひとつは自分の専門性を活かすことができる社労士として、医療業界のお客さまを中心に人事労務のサポートをしていくこと(※事業内容は今回は割愛します)、さらに社労士事業でカバーしきれない(介入しきれない)部分を現在開発中のアプリで補完していく、この両輪で産科にHAPPYを届けていきます!

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最後に

前述した社会起業家プログラムの中で実施した検証にあたって、久しぶりにたくさんの助産師さんの生の声を聴くことができました。改めて、助産師という職種自体はもちろん、助産師さんひとりひとりの個人のすばらしさを思い出すことができました。
助産師という職業をめざしたときからの使命感、助産学生時代も大変なつらい環境でそれを耐え抜いた忍耐力、そして日々忙しい中でも学ぶことへの意欲を持ち続けていること、これらを教えてもらうたびに心からの尊敬とともにこの魅力をみんなに知ってもらいたいと感じます。
個人の働きがいと病院の発展を両立させられるよう、私個人としても努力してまいります!

最後まで読んでくださりありがとうございました!!
少しでも医療業界・産科の課題に興味を持っていただけたら、ぜひお話できるとうれしいです♪

次回は産科の課題について書きたいな~と考えています!


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