(全文無料)柔術教則レビュー 守るだけじゃない!デカイ相手もスイープできるラッソー「ミレーナ・カオリ ラッソーガードシステム」
今日も今日とて柔術は楽しい。今日は教則レビュー。自分が研究中のラッソーの教則が出たので買ってみました。女性選手は世界王者の湯浅選手などラッソー使いが多く参考になると思って購入を決断。体格が上の男子相手に練習して磨かれたラッソーのテクニックは勉強になりました。
選手の紹介
ミレーナ カオリ
所属:ALMA FIGHT GYM HOMIES GIFU
出身:三重県
22歳の若さで全日本選手権を2連覇する実力派の女性柔術家。選手としての活動のみならず、ALMA FIGHT GYM HOMIES GIFUのメインインストラクターを務めています。
柔術をはじめたきっかけは柔術をやっていた兄や仲間の影響。最初は空手を習っていましたが、先生や仲間が柔術をやっていたこともあり柔術に参加したところ一気にハマって夢中になったとのことです。
ミレーナ選手に柔術の好きなところを聞いたところ、
「年齢や体格、男女、だれでも幅広い層の人たちが長く楽しんで続けられるところが好き」
「練習中は頭を空っぽにして夢中になって柔術を楽しんでいます」
また、ミレーナ選手はストイックに競技に取り組んでいるイメージだったのですが、道場の外では編み物やパン作りをするなど多趣味な一面も。オンオフのギャップも魅力的な選手です。
内容紹介 (フローチャート)
前半はセットアップとリテンション。後半はラッソーフックスイープ(ラッソーデラヒーバ)とラッソXの2種類の強力なアタック。
約26分と短めで見やすいです。短いですが、実戦的かつ分かりやすいテクニックがつまっています。
前半のセットアップとリテンションとキープのディティールが勉強になります。地味だけどここができていないとそもそもガードのキープができないのでアタックまで辿り着けません。
後半のアタックはコントロールが強く形に入れば体格が上の相手にもきまる強力な技です。
あと全体的にミレーナ選手のムーブがとてもスムーズできれいです。これはけっこう大事だと思います。うまい選手の動きを見ていいイメージを脳に植え付けておくと実際に自分が動くときも好影響が出ると思います。
ミレーナ選手のラッソーシステムのコンセプト・メリット
コンセプト
教則を見て感じたミレーナ選手のラッソーガードのコンセプト
「相手の力が入らない形を作ってスイープする」
「守るだけじゃない攻防一体のラッソーガード」
カルペディエムの岩崎選手は「スイープは指一本で押せば倒せる形を作る」といっていました。本教則で紹介しているラッソーフックスイープやラッソーXはまさにそういった技です。上半身と下半身を両方コントロールして、相手のサイドについたり、下にもぐることで有利な形を作ってスイープしています。
女性選手であるミレーナ選手は体格が大きい男子相手に練習する機会が多く、体格差がある相手でも通用する技を追求していった結果このような強力な技が磨かれました。
同じ道場の男子のチアゴ上野選手(アジア柔術選手権2023黒帯3位、全日本オープン2024黒帯優勝)は「ミレーナ選手のラッソはとても固く、なかなかパスできない。トップからの攻めを抑えつつ、他のガードへの移行やスイープ、極めなどのいろんな展開がある。彼女の柔術スタイルは相手との距離がなく軽量級なのに圧がすごい」
女性の選手はもちろん、小柄な男子選手も参考になるテクニックです。そしてラッソーで攻めきれないと感じている中量級以上の男子にとってもこれは有効なテクニックだと思います。
ラッソーは防御はいいけど攻撃は弱い?ジリ貧?
自身は「ラッソーは固定力があって防御には優れているが、攻撃力に欠ける」というイメージを持っていました。基本のスイープ(タンキーニョスイープ)がベースの強い相手に通じないと打ち手がなくてジリ貧になっていました。
しかし、本教則で紹介しているラッソーフックスイープとラッソーXは攻撃力も抜群です。ミレーナ選手のラッソーは攻防一体の強力ながードシステムになっています。
メリット・デメリット
ラッソーは元々防御力が高いのがメリットです。それに加えて本教則のアタックを取り入れることでデメリットである攻撃力の低さも解消できます
向いている人
柔軟性がある人のほうが向いていますが、ミレーナ選手のラッソーは柔軟性に頼りすぎず、腰の向きを頻繁にスイッチすることで膝への負担を減らしているので固い人でも使えると思います。
有効な相手
体格差のある男子相手に磨いてきたミレーナ選手のラッソーは重量級やフィジカルの強い人相手に有効です。
固定力があって距離も作れるのでプレッシャーパスを止めたり、走る系のパスを使う相手を捕まえるのにも有効です。
相性のいいテクニック・合わせて覚えたい技
・サブミッション
→今回の教則では紹介していなかったですが、三角絞めやオモプラッタがあると攻撃の幅が広がります
・リバースデラヒーバ
→今回セットアップでも紹介されていましたが、リバデラからラッソやラッソフックスイープにエントリーできるので、リバデラで相手を止められるようにしておくと安心です。
・かつぎパス、ロングステップ
→作中にも紹介がありましたラッソXからのスイープはトップでいい形がとれるのでそこからパスに繋げる練習をしておくとよいです。
使ってみた感想
・教則内のグリップコントロールを意識したところ、ラッソーが外されづらくキープがしやすかったです
・相手の足が遠いとラッソーフックスイープ(ラッソーデラヒーバ)が出来なかったです。その時は股下にスペースがあるのでもぐってラッソーXに切り替えるようにします。相手の足の距離を見てラッソーデラヒーバとラッソーXを使い分けられるようにしたいです。
・形に入ってしまえばラッソーデラヒーバもラッソーXも比較的簡単にスイープできました。
・通常のデラヒーバやエックスガードは上半身のコントロールが甘くてスイープを耐えられたりガードを解除されてしまうことも多かったですが、ラッソーデラヒーバやラッソーXは上半身と下半身が両方コントロールしてるので相手は力が入らずかなり強いガード(スイープ)だと感じました。
個人的に好きなテクニック
・リテンション①
手首を外に出されるというよくある解除に対するリテンション。雑に戻すとレッグドラッグをされてしまうのでそれをされないための腰の位置取りが勉強になります
・ラッソーフックスイープ③
ラッソーフックスイープの4つのバリエーションはすべて身に付けたいです。なかでもこのラッソしてない側の足を掴まれるのはよくある形なので押さえておきたいです。崩す方向とグリップチェンジが面白いです
・ラッソーXスイープ②
ラッソーXスイープ①に対する相手のリアクションを利用したスイープ。相手の力を利用するのでタイミングがハマれば力を使わず倒せます。倒したあとのトップの形が良いのもお気に入りです。
まとめ
ラッソーガードは防御はいいけど攻め手に欠ける印象でしたが、本教則を見て攻撃力もあることがわかりました。男子相手でも通用するミレーナ選手のラッソーガードは実戦的で説得力があります。
女子や軽量級はもちろん、男子でもフィジカルの強い相手を返せないと悩んでいる人はぜひおすすめです。
その他、ラッソーを使っているけど簡単に解除されたり、エントリーの入り際にパスされたりしている人、
基本のタンキーニョスイープしか技がなくバリエーションが少なくて悩んでいる人、
メインのオープンガードを模索中の人、
あらゆる人にオススメです!
また、この教則の売り上げはミレーナ選手の選手活動として遠征費等に当てられるそうです。若い選手への応援の意味も込めてぜひ!(もちろん内容もいいです)
最後に ミレーナ選手のコメント
コメントをいただけました。。。ありがとうございます!!!
応援してます!頑張ってください!
「ラッソーは私が柔術をはじめたときから使っていたガードです。本教則で紹介しているスイープは、力ではなく柔軟性やからだの位置、グリップを使うものです。体格差があっても成功すると思うのでぜひ使ってみてください!」
2024/8/16 アンディ
もし、良いと思ったら投げ銭お願いします。柔術の教則購入や遠征費用に使わせていただきます。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?