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マクロとミクロでの試合の振り返り。試合後の成果を上げる視点(全文無料)

 今日も今日とて柔術が楽しい。補強で練習後に四股を踏むのですが、いいカンジです。50回程度ですがバランス、筋力、柔軟性がバランスよく鍛えられる気がします。負荷も小さいので毎日やっても疲労が溜まらず柔術の練習への悪影響が少ないのもありがたいです。デッドリフトやスクワットの翌日はどうしても練習の質落ちてしまいますからね。

 今日は昨日の続き。試合の振り返りについて。前回は振り返りの重要性、今回は具体的な振り返りの仕方について


前提 しっかり振り返りをしないと試合の効果は半減

 昨日書いた記事です

 一言でいうと、「スコアだけでなく本当の実力差と細かい内容を振り返らないと試合の成果は得られない」というものです。良かったら読んでみてください。イラストだけでもイメージはつかめると思います。
 今日は、具体的な振り返りの方法についてまとめてみました。正確な実力差や自分の現在地を把握するために自分なりにやっている方法です。

マクロとミクロに見る(木を見て森も見る)

 試合を振り返るときは二つの目線が必要です。マクロとミクロ。
 例えば、一部分(ミクロ)では勝っていても全体(マクロ)を見たらコントロールされている場合、「俺のラッソ―はパスされなかったぜ」「あのアキレスが極まってたら俺の勝ちだった」と考えるのはよくありません。逆もまたしかり。マクロ的に優位に試合を進めていても、一発逆転サブミッションで負けることもあります。その場合はそのやれらた場面(ミクロ)をしっかりと振り返る必要があります。両方の視点が大事です。「木を見て森を見ず」ならぬ、「木を見て森も見る」です

・ミクロ(ミクロ経済)
 一部分、微視的、micro、家庭や企業など最小単位、理論的
・マクロ(マクロ経済)
 全体、巨視的、macro、経済社会全体、実践的

最近は、両者の視点を取り入れ、境界はなくなりつつあります。

マクロはミクロの集合。柔術も一緒ですね。
一つひとつのテクニックの集合がその人の柔術を作っています。

ミクロ的視点(一つの攻防・技を見る)

失敗した技を解析

 試合に出て一番の成果がこれかもしれません。試合でやられた技が一番覚えます。スパーでやられた技を覚えておいてそれを改善するのは大事ですがなかなかできません。しかし試合でやられた技はそのままにできないものです。失敗した場面を研究して同じことをやられないようになります。

成功した技を解析

 極論「試合で成功した技が正解」です。その技を再現できるよう、成功した時のシチュエーションを自分の頭にストックしておきましょう。そのストックは多いほどいいです。

ミクロ視点の振り返りのポイント

 解析のコツは技術的に細分化することです。「練習が足りない」「自分が弱い」「相手が強い」からやられた、と考えても何も解析できていません。技がかかった状況(タイミング、姿勢、手足の位置、重心、など)をなるべく正確に再現しましょう。
 また、できれば「フィジカルが足りない」という分析は避けましょう。本当にフィジカルが足りない場合もありますが、多くの場合、それを理由にしてしまうと技術的には成長しません。極論、フィジカルで圧倒していれば勝ててしまいます。そのため「フィジカルが足りない」という分析をすると技術的な振り返りをする機会を奪ってしまうことが多いのです。

本当にフィジカルが足りない場合もあるが、次につながる分析にはならないことが多い

 ↑ こちらの記事も技の分析に使えるのでよかったら参考にどうぞ。

 ちなみにフィジカルが足りない場合も細分化しましょう。筋力か、筋力ならどの筋力か、体格体重か、スピードか、スタミナか、などなど

ミクロ的視点(試合全体を見る)

 こちらの視点も大事です。「同じ相手と10試合やって何勝何敗になるのか」という視点で、試合全体をトータル的に広い視野で見ましょう。

ポイントに関わる攻防ばかりに目が行きがちです。
実際そこが大事ではあるのですが・・・
ポイントを取る以外の攻防が大半になります。
その部分をしっかりとコントロールできているのか(されていないか)

コントロール(相手のコントロールと試合のコントロール)・ポジション・ポイントにはならない攻防、戦術的要素

 柔術においてポイントが入る攻防は時間でいうと数秒。全体の1%~5%くらいです。90%以上は地味で動きの少ないものです。その90%以上の部分をどれだけコントロールできているか考えましょう。
 例えば5分の試合で、4分30秒ガードでコントロールして削って、ラスト30秒でスイープ&トップキープするというのはナイスゲームです。スコアは2-0でも、同じ相手ともう一回試合しても勝てる可能性が高いです。
 また、膠着であっても自分がポイントリードしている状態での膠着は試合をコントロールしていることになります

「攻められても一度もパスはさせないでスイープ合戦で勝機を見出す」
「コントロールして削っている時間が長かった」
「トップキープで相手にいい組手を持たせなかった」
「50/50のシーソーゲームで時間とポイントをうまく使えた」
「パスした後、一度も不利なポジションにならなかった」

こういった要素をマクロ的視点で見ていきましょう。

振り返りの効果を倍増させる方法2つ

①人に見てもらう

 客観的に見た視点はとても貴重です。それが自分より強い人、自分の普段の練習を見ている人だとより効果的です。試合の感想はガンガン聞きましょう

②動画を撮る

 動画を見ると思った以上に自分が動けていないことがあります。文字通り第三者の目線で自分の試合を見ると発見が多いです。試合中に当事者として必死になっているときには見えない部分が見えます。そして自分の記憶は主観が入るので正確ではありませんが、動画はそのままに記録されているので正確に見直せます。

番外.相手に教えてもらう

 できる相手は限られていますが、相手に「あの三角どうだった?」「あのスイープどうやったの?」みたいに聞けたらそれは振り返りの材料としてかなり有用です。

まとめ

・マクロ的視点で試合全体を振り返り自分の現在地(実力、弱み、強み、課題など)を知る
・ミクロ的視点で技術的に技を分析して次に同じシチュエーションになったら成功できるようにする
・その他、動画や他人のアドバイスを活用してより効果的な振り返りを行う。

 マクロとミクロは両方大事です。マクロはミクロの集合なので、ミクロな技術を少しずつ積み上げていくことが地力につながります。しかし、「今の自分に必要な要素」を見つけるためにはマクロ的視点が大事です

 試合の振り返りの参考になれば幸いです。

2023/10/18 アンディ

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