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「実力がある=試合で勝てる」なのか? 能力値の合計とポケモンの話(全文無料)

 今日も今日とて柔術は楽しい。今日は実力と試合の結果の話。先日の稽古後雑談で話した内容が面白かったので記事にしてみました。

 「必ずしも実力があるほうが勝つとは限らない」「試合で勝った方が強いんだ」みたいな話は柔術に関わらずよく聞きますが、それを言語化してみます。


1.実力とは?

1-1 実力=能力の合計値

 定義の話になりますが、ここではこのように定義したいと思います。

・実力=能力の合計値
・柔術の実力がある
 =各能力のパラメーターの合計値が高い

 これは正解がなく「実力がある=試合で勝つ」だと考える人もいると思います。もちろんそれも正しいと思いますが、自分の柔術哲学では、「実力=能力の合計値」です。ステータスとかパラメーターとか能力値とかなんでもいいです。イメージ。

1-2 実力=能力の合計値、のイメージ

 実際はこの様に数値化はできないですし、点数の配分も均等にはならないでしょう。あくまでイメージ。

実力(能力値の合計):385/700
<テクニック>
ガード:50/100
トップ:60/100
スタンド:70/100
サブミッション:55/100
<フィジカル>
パワー:60/100
スピード:40/100
スタミナ:50/100

さらに細かく

<テクニック>
・ガード 50/100
内訳
→ラッソガード:5/10
→クローズドガード:5/10
→ハーフガード:6/10
→リテンション:8/10
→片袖片襟:5/10
→スパイダー:4/10
→ラペラガード:6/10
→バタフライガード:6/10
→50/50ガード:2/10
→デラヒーバガード:3/10

 さらに細かく

・片袖片襟 5.0/10
→三角:0.6/1
→オモ:0.6/1
→ループチョーク:0.4/1
→シザースイープ:0.5/1
→アームドラッグ:0.3/1
→キープ力:0.7/1
→リテンション力:0.5/1
→グリップ力:0.8/1
→デラやKガードへの移行:0.6/1

 いわゆる「技コレクターになっても試合では勝てないよ」みたいなのは技の数は多いけどどれも能力値が低い、みたいな感じです。野球だと変化球の数は多いけどどれもそんなに威力のないピッチャーみたいな。

2.試合で勝つとは?

実力(能力値の合計)が高い方が勝つわけではない

 試合では実力が高い方が勝つとは限らない(能力値の合計が高い人が勝つとは限らない)です。試験の様に全科目(スタンド勝負、ガード勝負、トップ勝負、サブミッション勝負など)の合計値を競い合うスポーツではないです。

 例えば、極論こんなこともあり得ます。

・Aさん 実力:210/300
ガード:70/100
トップ:70/100
スタンド:70/100

・Bさん 実力:90/300

ガード:30/100
トップ:30/100
スタンド:30/100
※フットロックのステータスは9/10

試合はフットロックでBさんが勝つ。

極論です。実際は足関を防がれてパスされてBがぼろ負け、みたいなことがほとんどだと思います。

 試合ではすべての攻防をするわけではないです。一点突破で勝つこと(負けること)があります。

 理論上は、「トップ:1/100」でも下からの三角が異常に強ければ試合は勝てます、「ボトム:1/100」でもテイクダウンとトップキープができれば試合は勝てます。

 総合格闘技だともっと分かりやすいですね。組技、寝技、打撃全部ができる実力派ベテランファイターが、勢いのある若手の打撃一発で吹き飛ばされるみたいなことが起きます。

 じゃあ、一点突破型が最強なのか、というとそんなこともなく、穴があればそこを突かれて負けてしまいます。

 「結局、試合で強い人って何なのよ」って部分を次の章でたとえ話で説明していきます。

3.ポケモンの例え

 ポケモンが例えとしてしっくりきます。自分のチームのポケモンの合計値(攻撃力とか防御力とかすばやさとか)が高いからと言って必ずしも勝てるとは限りません。戦略が大事です。

ポケモンで勝つために大事な要素
=戦略+実力(能力、レベル)

 もちろんこちらのチームが全員レベル5で相手が全員レベル100だったらさすがに勝てません。ある程度地力の実力がないと話にならないです。ここは柔術と同じです。

 でもポケモンはレベルの高さや能力の合計値を競うわけではありません。ステータスの合計が劣っていても勝つことは可能です。

戦術の例

・強みを潰す
・弱点を突く
・相性
・タイミング
・カウンター
・実力差を埋める技
・一撃必殺の技

手持ちのカードをどう切るか。

 今回はポケモンで例えましたが、遊戯王などのカードゲームでもRPGのテレビゲームでも、将棋(駒の種類が多くて、お互いの駒の数も違う)でも、じゃんけん(手数が多くて複雑なじゃんけん)、呪術廻戦でも、念能力バトルでも、パワプロの野球チームでも、なんでもいいです。イメージ。

4.柔術の試合で勝つためには 

先ほども書いた通り、「実力+戦術」 です。

4-1 実力をつける

 まずこれです。地力の実力を底上げしましょう。手持ちがごみカードだったら勝負になりません。みんなレベル1のポケモンチームでは勝てません。

 自分の長所を伸ばしつつ弱点を埋めていく作業です。

 コツコツ練習。

4-2 戦術を考える

 でもここまで散々書いてきたように実力がある方が勝つとは限らないのが柔術。戦術を考えます。

 大事なのは「相手より優っている部分で勝負する」です

◎自分の得意にはめ込む
◎相手の穴(弱点)を突く
◎相性のいい技で勝負する

・差がつきにくい攻防に持っていく(実力が上の相手)
・差がつきやすい攻防に持っていく(実力が下の相手)
・カウンターを取る
・スタミナを削る
・メンタルを揺さぶる

 実力で劣っていてもラペラガードで捕まえてコントロールしたり、ハーフで粘り続けてラスト30秒でカウンターのスイープしたり、50/50などで展開を限定して相手の動きを封じて実力差を埋めたり、必殺のフットロックで極めたり、みたいな感じでしょうか。

 ちなみに戦術についてはこちらで詳しく書いています。

価値が高い技術とは。知らない技術は価値が高い(全文無料)|柔術哲学(アンディ) (note.com)

 あと忘れてはいけないのがルールを熟知してルールを活用すること。アドバンの基準や細かい反則の把握、場外の攻防などを知っているかどうかで試合の勝敗は変わってきます。実力が同じでも、もしくは実力が劣っていてもルールを活用することで勝てる場合があります。逆もまたしかり。

4-3 実力を出し切る

 あとは、メンタルや体の仕上げ方もあるでしょう。ケガや緊張で実力を発揮できないことも、減量や体調管理が上手くいかないことも、ウォームアップや気持ちの作り方が上手くいかないこともあります。それも含めての試合です。

 これは慣れと経験で、自分に合ったやり方を見つけていくしかありません。

5.帯と実力について

 帯は各道場によって基準が変わるので一概には言えませんが、一般論を。

帯=実力の証(そのカテゴリーでの)
帯≒試合の結果≒強さ

 だと私は思っています。なので例えばトップが全くできないけどフットロックだけで優勝した選手に帯を上げるかと言われると難しいところです。

 とはいえ、フットロックだけで全日本を制覇したら昇帯せざるを得ないような気もしますがどうでしょう。これも道場によります。

 あとはカテゴリー(体重と年齢)も考慮して。

 やっぱり黒帯ならガードもトップもスタンドもサブミッションもある程度できるべきなのかな~などと思ったりします。

6.まとめ

 「実力、試合の結果、帯、強さ」はだいたいは比例しますが、必ずしもそれらが一致するとは限りません。

・実力=能力のステータスの合計値
・試合=実力+戦術
・帯≒実力の高さ
・強さ=試合の勝率

 これが必ずしも正しいというわけではないですが、このように考えると整理がしやすいです。

 人によっては「戦術も含めて実力」「戦術やメンタルも能力値のステータスに含める」「試合の結果が実力のすべて」という考え方の人もいるでしょう。その場合だと「実力=強さ=試合の結果」が成り立ちます。

 ただ、これだけは書いておきたいのは「強さの証明は試合でする」というものです。練習でも強さはある程度測れますし、試合に出なくても強い人はいます。でも「強さの証明」という点は試合しかないと思います。「試合に出ている人が偉い」とか「試合に出ない人は弱い」とかいう話ではないです。ただ、「強さの証明は試合しかない」と私は考えています。

 この記事を書いて自分の考えを整理できました。満足です。

 読んでいただきありがとうございました。

2024/5/16 アンディ

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