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映画は冒頭30分が全てだ!!映画冒頭マニアが語る知られざる真実!

こんにちは。映画冒頭マニアのアンドウです😁
映画は冒頭30分が全てだ!!なんてちょっと大袈裟なタイトルにしてみましたが…映画の冒頭には映画の大切な要素がたくさん詰め込まれています。今日はそんな映画の冒頭30分に関する話をして行きたいと思っています。


なぜ冒頭の30分が重要なのか?

映画制作の世界では「三幕構成」という言葉をよく耳にします。これは、ハリウッド映画製作の“黄金律“とも言える脚本執筆手法で、物語を三つの幕に分けて展開していく方法です。一般的な2時間のハリウッド映画で言えば、最初の30分が第一幕、次の60分が第二幕、そして最後の30分が第三幕にあたります。日本の「起承転結」という概念に似ている考え方ですね。そして、映画の最初の30分、つまり第一幕では、観客にとって非常に重要なことが描かれます。それは「主人公は誰なのか?」「その人物が抱える葛藤は何か?」そして「どのような世界観の中で物語が展開していくのか?」などなど。この部分で、映画がどの”ジャンル”に属する映画なのかも示されます。ここで映画の「顔」が形成されるわけですね。
逆を言うと、第一幕でしっかりと登場人物を紹介出来てなかったり、舞台設定に失敗してしまっていると、観客の心を掴むどころか、映画自体を好きになって貰えません…転校初日の自己紹介の様なものですかね?wそこで自分をしっかりアピール出来たり、キャラを立たせる事が出来れば、クラスの人気者になれますが、そこで失敗してしまうと、その後は悲しい学校生活が待っているかもしれない…それと同じ事が映画でも起きます。冒頭30分で成功すれば最後まで映画を見てもらい、続編制作にもつながるかも知れない。でも失敗してしまうと、席を立たれてしまったり、テレビを消されてしまうかも知れません…もちろん興行収入も振るわなくなります…
例えば、最初の30分で猛烈なアクション映画を予感させておきながら、その後はキュンキュンな恋愛映画になってしまったら、観客は戸惑ってしまいますよね?逆に、恋愛映画だと思わせておいて、30分以降ずっとバトルシーンが続くというのも、観客を困惑させます。
第一幕の最初の30分は、まさに映画の「お誘い」の時間。ここで観客の心をしっかりと掴み、物語の世界に誘う必要があります。この部分がうまくいけば、観客は喜んでその映画の世界の深い部分まで足を踏み入れてくれるのです。

映画は30分後から始まる?!

映画は最初の30分を第一幕とすると言いましたが、映画は30分前後まではセットアップと言い、この映画はどんな映画なのか?を伝えるための時間です。なので、映画が本当にスタートするのは、それを全て伝え終えた30分前後からなのです。え?映画は最初から始まってるじゃん?と思うかも知れませんが、映画は主人公が「自分で目標に向かって動き出す所」からスタートします。ほとんどの主人公は30分前後までに、自分の進まなければならない方向を見つけ、一度迷い、動き出します。時には自分から動き出し、時には誰かに背中を押され、時には動き出さなきゃいけない状況に追い込まれ…そこから主人公は障害にぶつかりながら成長して行きます。この30分前後に訪れる旅の始まりを映画制作では「プロットポイント」と呼びます。そのプロットポイントを主人公が通過すると、元いた世界にはもう戻れません。先に進むしか方法がなくなってしまいます。そして観客の皆さんも主人公に感情移入してしまい、一緒に旅に出かける事になるのです。
では、具体的に「冒頭30分が最高な映画」を紹介して行こうと思います。

冒頭30分で伏線を張りまくる映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は、1985年に公開されたアメリカのSF映画で、製作総指揮をスティーブン・スピルバーグが務め、監督はロバート・ゼメキス、主演はマイケル・J・フォックスとクリストファー・ロイドが務めた。

バック・トゥ・ザ・フューチャーを知らない人はいない!と言えるほど、大人気なハリウッド映画。公開から来年で40年を迎える作品ですが、その人気は未だ衰えません。そんなバック・トゥ・ザ・フューチャーの最初の30分は冒頭マニアにはたまらない仕組みがたくさん詰め込まれています。
映画が始まってすぐに、画面には大量の時計が映し出されます。これにより、この物語は「時間」が関係していると示唆されます。そして劇中のテレビからはプルトニウムが盗まれたというニュースが流れ、その部屋に一人の青年が入ってきます。その青年はマーティー・マクフライという高校生。この映画の主人公であるとわかります。彼はエメット・ブラウンという変わった博士と知り合いで、夜に何かを手伝って欲しいと電話で言われます。そのまま高校に登校すると、教頭に捕まり、父親が何をやってもダメな男だったと言われてしまう。そしてダンスパーティーに出演するバンドを決めるオーディションでも良い結果がもらえず、自分に音楽的才能がないと落ち込んでしまいます。そんな時、ボランティアのおばさんに街のシンボルでもある時計台を残すための募金をお願いされ、その時計台の時計が1955年に雷が落ちて止まってしまったとも教えてもらう。時計台を見ると10時過ぎで針が止まっているのもわかる。
家に帰ると、明日彼女とデートに行くために借りるはずだった父の車が事故でボロボロに…犯人は父の高校の同級生で、現在は父の上司でもあるビフ・タネン。ビフは逆ギレしていて、父はそれに反抗するどころか、謝ってしまうほどの気弱な男。喧嘩も苦手で、ずっと争いを避けて来た。マーティーはそんな父を尊敬できずにいる。
夕食の時に、母から両親の出会いについて聞かされる。二人の出会いは祖父が父を車で跳ね、家に運び込まれた所から始まったという。そして二人は「魅惑の深海パーティー」というダンスパーティーで結ばれた事を聞かされ、その日に嵐が来た事も教えてもらう。
母はそんな話をしながら、悲しそうな顔をする。家族もいて、家もあり、食事もあるのに何故か不満そうな母。
そしてその夜、ブラウン博士に言われた通りの場所に行くマーティー。そこでブラウン博士がタイムマシーンの実験をしている。マーティーはタイムマシーンであるデロリアンの操作方法を教わり、タイムトラベルの原理なども教えてもらう。そしてデロリアンの動力源がプルトニウムだと分かった時、テロリストが現れ、ブラウン博士を射殺…命からがらデロリアンに乗り込み走り出すマーティー。
デロリアンに乗り1855年の世界へと飛んで行く。ここが31分。
そこから全ての伏線を回収して行く。
最初に提示された問題を次々解決していくのがタイムトラベルやタイムループ物の醍醐味ですよね!そのパイオニアとなったのがこの映画です。ここには書ききれないほどたくさんの伏線が31分までに散りばめられています。ぜひ皆さんもその伏線を探してみてください。


31分目から始まる“葛藤と贖罪“の物語「パッセンジャー」

映画「パッセンジャー」は、2016年に公開されたアメリカのSF映画です。監督はノルウェー出身のモルテン・ティルドゥム。主演は「ガーディアンズオブギャラクシー」シリーズのクリス・プラット、「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー賞主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンス。

この映画も31分目までに様々な情報をくれます。まずホームステッド2と呼ばれる惑星に向かって宇宙船アヴァロンが進んでいる所から物語は始まります。5000名の乗客がおり、全員がコールドスリープ中。だが隕石が衝突し、不具合が発生。その不具合の影響で一人の男性、ジェームス・プレストンが目覚めてしまう。彼はこの映画の主人公で、アメリカのデンバー出身の技術者。ジェームスは自分だけ目覚めてしまった事を知り、その上、ホームステッド2まで残り90年もある事がわかり、動揺します。地球にいるカスタマーサポートに助言をもらおうとしますが、メッセージが届くのは19年後、返信は早くても55年後だという…どうにか自分一人でこの状況を打開しなくてはと、技術者のノウハウを活かし、冬眠ポッドを直そうとします。でも冬眠ポッドが壊れることは想定されておらず、直らない…操縦室に入れば何か方法が見つかるかも?とドアを壊そうとするが、それも出来ない。このままではこの船の中で一人孤独に死んでいくしかないと気を落とすジェームス。唯一の話し相手はバーテンダーのアンドロイド、アーサー。そのアーサーに「落ち込んでても仕方がない、楽しまないと」と言われ、気持ちを切り替える事に。船にある様々な施設で遊び、酒を飲み、美味い食事を食べる。最初はその生活に満足していたが、次第に孤独がジェームスを蝕んで行く。一人でいる事に限界を感じ、自殺を試みるが、怖くて死ねなかった…
そんな時、目の前の冬眠ポッドに美しい女性が寝ている事に気が付く。彼女の名前はオーロラ・レーン。彼女に心奪われてしまうジェームス。そして彼女の事が知りたくなり、検索する。オーロラは作家で、冒険するためにアヴァロンに乗船したという。その日からジェームスは彼女に会いに行く。一生話す事が出来ない、手が届かない相手…
そんな時、悪いアイディアが浮かんでしまう。オーロラを眠りから覚ましてしまったらどうか?…オーロラを起こしてしまえば、もう一人ぼっちで暮らす事はなくなり、孤独から解放される。でもオーロラの人生もこの船の中で終わる。人の人生を壊す事となる。二つの思いで葛藤するジェームス。自分のために人の人生を奪ってもいいのか?やっては行けないと思えば思うほど、オーロラへの想いは強くなって行く…そしてジェームスは、オーロラの冬眠ポッドに電流を流し、彼女を目覚めさせてしまう…ここで31分。
そこからジェームスの“葛藤と贖罪“の日々が始まる。
皆さんならどうしますか?一人で生きる事を選択しますか?それとも誰かの人生を犠牲にしてでも相手を起こしますか?そんな事を考えながら、31分以降を見て頂きたいと思います。


青いピルと赤いピル、どっちを選ぶ?冒頭が最強な映画「マトリックス」

映画「マトリックス」は1999年に公開されたアメリカのSF映画。監督はラナ・ウォシャウスキーとリリー・ウォシャウスキー。主演は「スピード」や「ジョン・ウィック」シリーズのキアヌ・リーブスが務める。

これぞ冒頭最強映画!と言って良い作品「マトリックス」
この作品も大ヒットとなり、その後3つの続編が制作され、また新たに監督を変えて、新作が制作されているそうです。ここまでヒットしたのはやはり第一作目の冒頭30分が最強だったからと言えます。
冒頭で、2つの勢力が争っている“激しいアクションシーン“が映し出されます。そこでこの映画がアクション映画でありSF映画である事がわかります。そしてその片方の黒いスーツの男達が「ネオ」と呼ばれる人物を探している事も観客に知らされます。次のシーンで、パソコンの前で眠る男が画面に登場し、彼が「ネオ」であり、この映画の主人公だとわかります。ネオの目の前のパソコン上に「白いウサギを追いかけろ」と謎の文字が表示され、彼は白いウサギのタトゥーをした女について行く。そこで有名なハッカーであるトリニティーと出会い、危険が迫っている事を知らされる。ネオが「マトリックスとは何か?」を探している事もそこでわかる。その後、黒いスーツの男達がネオが勤めているソフトウィア会社に突然現れ、ネオを捕まえようとします。謎の男モーフィアスの誘導でその場から逃げようとするが、勇気がなく、黒いスーツの男達にあっさり捕まり、連行されてしまう。そして謎の男、モーフィアスを探す手伝いをする様に言われるが、それを拒絶するネオ。すると機械で出来た虫の様なものを体に入れられてしまう。気がつくと家で寝ている。そこにモーフィアスから電話がかかって来て、ネオを生涯をかけて探していたと告げられる。二人は会う事にする。待ち合わせの場所にトリニティーが現れ、特殊な機械で体に埋め込まれた虫の様なものを取り出してくれる。そしてモーフィアスと対面する事となる。ネオはモーフィアスに「マトリックスとは何か?」と尋ねると、モーフィアスは「自分の目で見るしかマトリックスを確かめる方法はない」とネオに返す。
そして「これが最後のチャンスだ、後戻りはできない」とネオに言い、青いピルと赤いピルをポケットから出すモーフィアス。青いピルを飲めば話は終わり、ベッドで目覚め、元の暮らしに戻る。赤いピルを飲めば、不思議の国の奥底にある“正体“を見せてあげようと言われる。そしてネオは自分の意思で赤いピルを手に取り、水で一気にその赤いピルを流し込む。ここが30分。そして“現実の世界“で目を醒ます事になる。
最高のお膳立てが30分までに行われます。ネオは知りたいという欲を叶える為に、勇気を振り絞り、赤いピルを手に取る。ここからがネオの本当の戦いであり、本当の覚醒が始まります。文句のつけようがない30分。全ての情報をくれるが、全部が謎のまま。何が起こるのかわからず、どんどん続きが観たくなってしまうという「物語の設計」がされています。ぜひこの後のネオの成長にも着目してみて下さい。会社でスーツの男達から逃げていた時は、あっさり諦めて連行されてしまった彼が、大いなる成長を遂げて行きます。マトリックスは撮影手法やVFXが注目されがちではありますが、物語もとても深い内容です。その深さも冒頭30分で観ることができます。ぜひ実際に見て確かめてみて下さいね。


いかがでしたか?映画の冒頭30分って重要ですよね?ここで心を掴まれるか、掴まれないかで映画の「面白み」が変わって来ると思います。ぜひあなたの大好きな作品も、冒頭30分でどんな事が起こるか?を見返してみてください。きっとまた新しい発見があると思いますよ😉





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