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紙の船

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1989年を舞台とした小説・紙の船1-14まとめ
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#中国

紙の舟 ep.14

都立大学の件以降、僕はカウンターに入っても江とはそのことに関しても話すことはなかった。何…

andy
10か月前
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紙の舟 ep.13

翌日の夕方、江が出勤するのを待って昨日のことを訊いてみた。 「ごめんなさい。いけなかった…

andy
10か月前
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紙の舟 ep.12

電話を受けている先生は、お母さんの相談を聞き、その気持ちを肯定するようにハイハイと応えな…

andy
10か月前
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紙の舟 ep.9

僕は親戚の縁で、パチンコ店と焼肉店、そして同じ建物にある喫茶店を任されていた。 社長は顔…

andy
11か月前
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紙の舟 ep.8

暫く時が過ぎた。 夏の陽の傾きと、長くなった陽の影を隣のビルの縁に見て、僕は軍艦マーチが…

andy
11か月前
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紙の舟 ep.7

しかし、彼女の反応は芳ばしくなかった。 「早瀬さんは知らないのよ。今の中国の若い幹部や官…

andy
11か月前
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紙の舟 ep.6

だが日付も六月四日に移ってからの事態の急変は、それを伝えるニュースを見ていた僕には驚きだった。権力としてはあまりに愚直な対応の仕方だ。 戦車が学生をなぎ倒し、キャタピラで轢き殺しているという。ここそこで銃が乱射され犠牲者を増やしている。銃が人民に向けられ、子供といわずそれを庇う老女までもが対象にされた。 “これは暴乱である”と当局は言う。暴乱と動乱はどう違うのか。革命なのか反革命なのか、それは誰が決めるのか。 見える筈の映像は映らず、その時テレビはラジオ化し、電波は全て刻々と

紙の舟 ep.5

単純な対話の連続が僕たちの会話だ。彼女のよく聞き取れないことに関しては紙に書いたが、僕の…

andy
11か月前
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紙の舟 ep.4

江小薇は、まずタバコの球数と、そこに表示されたカタカナをメモし、読み方を周りに教わりなが…

andy
11か月前
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紙の舟 ep.3

次の日、僕は事務所で事務員の甲さんに江小薇の話をした。 「中国の人に勤まるのですかね。中…

andy
11か月前
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紙の舟 ep.2

僕は名前を書いた紙に連絡先を入れてもらい、明日連絡する約束をした。 採用の可否は僕たちで…

andy
11か月前
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