【小説】ぼくとおじさんと ep.1
夜中、目が覚めた。
暗闇に目を慣らせてぼんやりと壁に掛かる時計に目をやる。二時半だった。
トイレで用を足し、そのままガラス戸を開けてぺらぺらの建屋に作ったベランダに出る。
四月でも肌寒い外気の中を、隅に置いてある古イスに腰かけ持ってきたタバコに火をつけた。
仰ぐ空は星も無く、淡い月の光がうすみどりに切りひろげられ、その上を覆うように墨汁を散らしたような天空がぼくを覗いている。
ベランダからは駅と公園がかろうじて見えるぐらいに、雄々しく居並ぶマンション群が空と道路の間を仕切って