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全てのことに興味・関心のある他称「変人」 科学からUFOまで興味があればとことん調べるタイプ 日々の疑問や発信を小説や記事コンテンツで配信していきます。 ショートストーリー:ぼくとおじさん、不思議な夢を見た、紙の船 関連著書:「ハルモニ歌ってあげるね/彩流社」「イフンケ/彩流社」

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    1989年を舞台とした小説・紙の船1-14まとめ

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【小説】ぼくとおじさんと ep.1

夜中、目が覚めた。 暗闇に目を慣らせてぼんやりと壁に掛かる時計に目をやる。二時半だった。 トイレで用を足し、そのままガラス戸を開けてぺらぺらの建屋に作ったベランダに出る。 四月でも肌寒い外気の中を、隅に置いてある古イスに腰かけ持ってきたタバコに火をつけた。 仰ぐ空は星も無く、淡い月の光がうすみどりに切りひろげられ、その上を覆うように墨汁を散らしたような天空がぼくを覗いている。 ベランダからは駅と公園がかろうじて見えるぐらいに、雄々しく居並ぶマンション群が空と道路の間を仕切って

    • ぼくとおじさんと - 僕の一日

      番外編⑤ 僕一日 ep.1深夜目が覚めて、夜風を浴びようとベランダに立てかけた古い椅子に腰をおとした。 夜の闇に浮かぶマンション群が目の前にある。マンションの各階外廊下の蛍光灯が明るい。 目先のマンション下の街路灯が人のいない路地を寂しく照らしている。走る車のいない道路には交差点の信号機が、律儀に時を刻む時計のように交互に赤から青へと灯火している。 昼間の行き交う車の喧騒と人声の響きが街の吐息だとすると、寝静まった深夜の街は不気味なほど死んでいる。 僕は目の先に映る信号機を、

      • ぼくとおじさんと - 僕と文乃の一日

        番外編⑤ 僕と文乃の一日 ep.4僕はソファーの縁に座った文乃に声をかけた。 眠たいようなうつろな気分で、横にいる文乃の耳元に口を寄せてつぶやくように 「なあ、フミよ。オジサンたちの話もいいけど、僕の話も聞いてくれよ。僕は今日、フミに店の話でもしようと思っていたんだ。」 「店の話って、なに?」 びっくりしたように聞き返してくる。 「店で客と話をしているとさぁ、酒とかいろいろ商品の説明を聞かれるだろう。酒の事が多かったので、この間調べて酒の事で少しまとめてみたんだ。今度見てよ。

        • ぼくとおじさんと - 僕と文乃の一日

          番外編⑤ 僕と文乃の一日 ep.3隆俊おじさんのマンションには、いつもおじさん連中が集っては話をしている。 酒が主食なのか、ご飯は副食でおかずも酒のお供だ。 文乃が買ったモンブランのケーキは、おじさんたちには異色の絶品だろう。 安堂のおじさんはしげしげと眺め、そのまま口に頬張って酒で流す。 隆俊おじさんはソファーに座りながらケーキをガラステーブルに置き、手を合わせて食べていた。小さなテーブルを前に右横はいつもおばさんが座っていた場所だ。 隆俊おじさんは、ニコニコしながらケーキ

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        【小説】ぼくとおじさんと ep.1

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          ぼくとおじさんと - 僕と文乃の一日

          番外編⑤ 僕と文乃の一日 ep.2「憲法の話になったが、要するにどのような国づくりをしようとするか、その根幹の法律と言っていい。武志は、憲法は読んでいるよな。」  また僕にお鉢が回ってきた。 「いきなり聞かれても。読んだ記憶があるような、ないような。」  文乃が助け舟を出してくれる。 「中学、高校では憲法をやった記憶があるのですが、日ごろの生活の中では読む機会がないので、いきなり聞かれても中身は思い浮かばないですわ。」  隆俊おじさんが、また聞いてくる。 「じゃあ、日本国憲法

          ぼくとおじさんと - 僕と文乃の一日

          ぼくとおじさんと - 僕と文乃の一日

          番外編⑤ 僕と文乃の一日 ep.1「トントントン」というリズミカルな音が耳のふちに届いた。 懐かしい音とリズム。おふくろが台所でまな板に載せたものを包丁で調理するときの響きだ。 目を開くことなくリズミカルなその音に聴き入る。二人の女性の楽しそうな笑い声が聞こえた。 山口県の研究所から昨日学会の集まりに参加した文乃の同級生で、僕らのマンションでの食事会兼飲み会に来てくれた佐藤さんが、文乃と二人で朝食を作っているようだ。 瞼を開き時計に目をやると朝の7時で、昨日の酒が未だ残ってい

          ぼくとおじさんと - 僕と文乃の一日

          ぼくとおじさんと - 僕の一日

          番外編⑤ 僕の一日 ep.3コンビニの事務所から文乃に携帯で電話を入れた。 自宅に向かっているということで、彼女の提案で今日は外で食事をしようという事になった。 自分の仕事は終わったのでオーナーと桜間に電話をしてからアルバイトに挨拶をし、店横奥に止めていた自転車に飛び乗り自宅へと急いだ。時計は8時を過ぎていた。 自転車のライトの調子が悪い。電池の取り換え時だ。 最近できた総合雑貨屋で自転車用のヘルメットも買っておこう。自転車のヘルメット着用は任意だけれどテレビでは必要だと言っ

          ぼくとおじさんと - 僕の一日

          ぼくとおじさんと - 僕の一日

          番外編⑤ 僕の一日 ep.2陽の移ろいで秋を感じながら、僕は桜間が乗ってきた車に高木の荷物を運び入れ二人を見送った。 高木の部屋の鍵を僕が事情を話してアパートの大家に渡した後、自転車をまたぎ次の阿部雅子の所に移動することにする。 阿部さんは二番目の店舗のそばに住んでいる。齢は60歳だが、外国人アルバイトからお母さんと呼ばれ信頼を寄せられている人だ。 高木といい阿部さんといい二人とも女性なのは、男の僕にないものを持っているからに他ならない。 10 日ほど前、自宅にいた阿部さんに

          ぼくとおじさんと - 僕の一日

          ぼくとおじさんと - 僕の一日

          番外編⑤ 僕の一日 ep.1今年は9月に入っても日中の暑さが続いている。 九州や東北では記録的な豪雨を記録して被害も多大なのだが、僕のいる関東では雨の日が少なく、しかも毎日が極暑続きで、テレビによると関東では連続した真夏日と熱帯夜の記録を更新した年ということになっているらしい。 一方、毎日のように日本の各地で地震が起きていて、今年は関東大震災100年目とあって世間では殊更人々が不安を囲っている。僕も不安なのだが、だからどうしろというのかという開き直りで報道を聞いている。 新聞

          ぼくとおじさんと - 僕の一日

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          番外編④マンションと共同体 ep.5自治会の提案・・・参考資料として 武志、文乃さんへ 12年前の大震災の直後に、マンション住民宛てに出したものです。 マンションに住む人として、是非一度読んだ見てほしい。 そして参考にしてください。 高層マンションの防災体制構築を課題とした自治会形成に向けて 先日の東北大震災では、これまでにない数の被災者と数え切れない多くの人命が失われました。 大規模な地震の可能性は以前から指摘されていましたが、これほどの規模と予想外の大津波が、それま

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          番外編④マンションと共同体 ep.4マンション連合・・・参考資料として 参考資料として 「武志、文乃さんへ。 本日の飲み会兼説明会は、マンション生活での私自身の経験案内を予定していました。過去と今があまり変わらない中、以前に提起した文書があるので参考にしてください。当時、私自身は会社の立て直しと病魔に襲われて企画を進める事が出来ませんでしたが、この企画の次の年に東日本大震災を経験してマンション生活者の持つ脆弱性を実感しました。 このポイントは理解し合える人を募り、持続して検

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          番外編④マンションと共同体 ep.3マンション連合 安堂のおじさんは元気だ。元気の元は酒なのか。 酒のアルコールがガソリンで、それでエンジンを回しているようだ。 確かに、日本画の大家横山大観は90歳まで日本酒をご飯代わりに飲み続けていたというし、作家の井伏鱒二も95歳まで酒を愛していた。 戦国時代の上杉謙信などは辞世の句に酒を謳っていたし、真田幸村が友人に焼酎を求める手紙まで書いていたほどだ。 あの福沢諭吉もビール好きで、論談風発にビールがふさわしいとまで言っていた。 つく

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          番外編④マンションと共同体 ep.2マンション管理組合 居酒屋での安堂のおじさんは酒が入ると元気になるようだ。 一日一日を大事に元気に過ごすという言葉の裏には、歳も歳なので思い残す事のないようにという焦りも感じられる。おじさんの元気に僕も文乃も圧倒されっぱなしなのだが、ここは知識も経験もない僕らが聞く立場で、返す言葉もなくひたすら聞き役に回っている。 おじさんの元気に向かって、僕たちが元気になってもあまり意味がない。それでも、文乃は手にノートを離さないでいる。それがおじさん

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          番外編④マンションと共同体 ep.1餅つき おじさんたちとの話の後、僕は自宅に戻り、帰っていた文乃と一緒に夕食を作った。 住む場所に関しては親父のもう一人の弟が心配して、競売にかかっていた親父の工場を買い戻してくれた。僕とお袋はしばらくそこの一隅を住みかにして暮らしていたのだが、そのおじさんの京都勤務に合わせて、僕たちはおじさんのマンションに住むことになった。 お袋は、おじさんの転勤先に孫の世話を兼ねて行っている。 だから、このマンションには僕と文乃と二人で住んでいるのだ。

          ぼくとおじさんと - マンションと共同体

          ぼくとおじさんと - 同窓会で

          番外編③同窓会で 1923年9月1日の事 ep.2 坂本が話し始めた。 「岡村の防災の話、自分たちで出来る事は確かうちらの学校新聞でやったことで、確か岡村も編集してくれて、それを今もやっているという事では尊敬に値することだが、あの時からデマで朝鮮人が大勢殺されたことが、俺は気になっていたんだ。 今年が関東大震災100年目という事で、色々報道されているが、あのデマの事が気になって俺も調べなおしてみたんだ。政府や関係機関に国会でも野党も色々質問をしていて、100年前に政府が調べ

          ぼくとおじさんと - 同窓会で

          ぼくとおじさんと - 同窓会で

          番外編③同窓会で  1923年9月1日の話 ep.1 8月の暑い最中、高校のクラス同窓会があった。 7月に高校の担任が亡くなり、その追悼を込めて急遽招集がかかったが、恩師の葬儀は家族葬で済ましたとの事で代表が数人でお悔みにお伺いし、併せてクラス会を追悼同窓会という形で開いたものだった。 場所は僕の行きつけの居酒屋で、先生のお写真と奥さんを交えて開かれた。 酒の好きな先生には似合いの場所だった事と、かつてのクラス委員で今回の幹事役だった僕にとって無理押しの効く場所だったことに

          ぼくとおじさんと - 同窓会で