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【設立記念トークイベントアーカイブ】難しさを感じながらも誰かと作っていくことにチャレンジしたい。疑わないことを大切にできる社会に。北野貴大さん(一般社団法人キャリアブレイク研究所)

2022年11月末に開催された合同会社&anteの設立記念トークイベント。
様々な方との出会いに感謝できる温かな時間になりました。


ゲストを招いてのトークでは、新たな学びや気付きが生まれました。
今回は一般社団法人キャリアブレイク研究所代表の北野貴大さん(以下「北野」さん)とイベント内でお話した内容を書き起こしてお伝えします。

北野さんが代表を務めているキャリアブレイク研究所では、無職の人が入学できる「むしょく大学」や、無職の人が参加できる「「無職酒場」他、キャリアブレイクを文化にするために様々なプログラムを展開されています。

テーマは「なぜ今、キャリアブレイクなのか?」
(聞き手・編集:&ante 原田優香 (以下 「ゆか」)

これから、どんな会社や組織を作っていくのだろう?


(ゆか)北野さんはいろんな肩書を持っていらっしゃるんですけれども、今日は「一般社団法人キャリアブレイク研究所」という肩書で北野さんに来ていただいてます。北野さんとどんな話しようか、みたいな話を事前にしてたんですけど、ちょっとお互いに活動について聞き合うみたいなことをできたらなぁなんて思ってます。まず最初に、北野さんの自己紹介をよかったらお願いできますか。

(北野さん)皆さんこの「キャリアブレイク」っていう言葉は何かご存知ですか?聞いたことある方はチャットで教えていただきたです!
キャリアブレイクは、「一時的な離職・一時的な無職」って意味で、あんまり日本では良い文化ではなくて、「早く働きなさい」みたいな風潮が強いんですが、欧州では結構ヘルシーな文化として、一時的な無職で人生を企画し直したりとか立て直したりする文化があるんですね。このキャリアブレイクという文化を輸入する、文化輸入みたいな事業をやっていこうと思っていて、その一般社団法人の代表をしています。

(ゆか)ありがとうございます。そんな北野さんとですね、いろいろお話をしたいなぁと思っているんですけれども。どんな話をしましょうか、北野さん(笑)

(北野)そうですね、僕は原田さんとは出会って1年ぐらいなんですけど、皆さん、この原田さんのzoom背景の生活感やばくないですか(笑)
100人もオーディエンス来るってわかっているのに、この背景で出てくる原田さんがまあいいなあと思っていて。なんかゆるいというか、こういう空気の人がつくる会社ってどんな空気の会社なんだろうとか興味ありますね。
さっき登壇した人たち、全員めっちゃかっこいい背景入れてて。僕も背景入れてないですけど、あの背景で出ますかね、代表の人って(笑)

(ゆか)いやーなんか実はなんですけどね、私のパソコンのスペック悪すぎてこんな感じになるんですよ背景。(背景と顔が一体化)もうこれでいいやと思って(笑)このスペックで会社つくれるのかって思いましたよね?できるので皆さん安心してください(笑)

(北野さん)そうですね(笑)なんか、いろんな人が会社に苦しめられている中で、こういう人がどんな会社つくるんだろうなぁとかは思ってましたけど、原田さんはどんな会社にするんですか?

(ゆか)いやーどんな会社にするんでしょうか….後で北野さんにもそっくりおんなじ質問したいなと思うんですけど。やっぱり北野さんのおっしゃっているキャリアブレイクっていう概念というか哲学的なものもそうですし、むしょく大学っていう取り組みとかって、すごく共感していて。私も組織に馴染まずに潰れてきたタイプなんですよ。いわゆる一般的にはできない社員って名前をつけられるような社員だったんですね。言われたことはできないし、何かこう納得がいかないとつっかかっちゃうみたいなところもあって。それで苦しんできた経験があったんですけど、それでもですね、私の周りは楽しそうに仕事をしている人たちがたくさんいたので、「工夫をすれば仕事って楽しくなるんじゃないか」みたいなことを少しずつ学びながら、私みたいに潰れてしまう人たちがどうすれば少なくなるのかっていうことに興味・関心があって。自分では、それぞれの良さとか強みとかそういったものが潰されることなく表現できる組織っていうものをつくりたいなぁなんて思ったりはしてます。北野さんはどういう思いで会社つくりましたか?

(北野)そうですね。今の話聞いて、僕このキャリアブレイクっていう文化輸入の事業をやってるんですけど、ビジョンがあったわけではなくて。本当に身の周りに離職して人生を立て直している人が多かったんですよね。で、無職専門の宿をスタートしたところから、どうやらそのライフスタイルはキャリアブレイクっていうらしいっていうのを後から知ったんですね。僕はどっちかというと、ビジョンより、嘘じゃない実態から組み立てていくんです。なので、原田さんの今の会社の話も、「落ちこぼれた社員がつくる会社」っていうと失礼ですけど 、なんかどこぞの経営者がかっこいい理念を掲げるよりも、「私はこう困ったからこういう会社にする」とかすごく実態的でいいなと思って。だから僕も同じように空想の中でビジョンがあるっていうよりかは、「離職で人生転換してる人が、2人いる、3人いる、4人いる」みたいな。この人たちのためになんかしようって。逆にビジョンがないというか、ずっと積み重なってる感じでやっていますね。

先に「人」がいて、その「人」の周りに「人」が集まって会社になった。


(ゆか)いやー、それすごくしっくりくるというか。「シゴトを、考える日。」も「ジブン研究」もそうなんですけど、やっぱり「この人のためにつくりたい」っていうその人たちの顔が思い浮かぶんです。まずその人たちの顔が浮かんで、つくって。その人たちに届けるっていうことをやってると、他に必要としている人たちが集まってくれたみたいな感じで。なので「顔の見えない人たちに何かをやろう」っていうスタートじゃなくて、どっちかというと顔がもうすでに見えている人たちに何かしたいなと思って始まっている事業が多いっていうのは、もしかしたら北野さんと似てるかもなぁと思いました。

(北野)だから、なんていうんですかね、会社を作ってから社員を集めるんじゃなくて、社員がいたから会社になったみたいな雰囲気も良くて。普通「なんかこういう事業がやりたい」というところから、株式発行して法人にして、社員雇って事業にするじゃないですか。原田さんって、人がいて何かをやった結果、集まって会社になったみたいな。

(ゆか)ああ 確かに。順序はそうかもしれないですね。だからなんでしょう、会社に興味はあるんですけど、実はそんなに興味がないのかもしれないですね。今話してて思ったんですけど(笑)人に興味があるんでしょうね、やっぱり。会社というよりも、そこにいる人たちに興味があって。でもそれがこう組織になった瞬間に崩れるものを見てきてるので、何がそうさせてるんだろうっていう興味関心は強いっていうのはあるかもしれないですね。

(北野)気になる(笑)

何人かで見える景色を見たくて、会社をつくった。



(ゆか)北野さんはそれで言うと、大企業で結構長く働かれて、独立して会社っていうものをつくったじゃないですか。北野さん自身はどういう経緯で会社にしようって思ったのか聞いてもいいですか。

(北野)キャリアブレイクの活動は、最初は一人で。その無職専門の宿、おかゆホテルっていうんですけど。因みにこの命名は原田さんなんですよ。

(ゆか)一緒にね、ワークショップしてどんな名前がいいっていうのを、北野さんと北野さんのパートナーさんと3人で北野さん家でやったんですよね(笑)

(北野)なんかお粥ってね、風邪ひいた時に食べるんですけど、「人生が風邪ひいた時に行く宿」みたいな感じでおかゆホテルなんです。そこから法人にするって、やっぱり一人じゃ見えない景色もあるなあと。いわゆる会社で組織で疲れて、いろんな人が泊まりに来てたんですけど、その中で言われた言葉で「私はもう組織で働きたいわけじゃない、チームで働きたいんだ」って言ってたのをすごく覚えていて。何が違うんだろうなと思いながらも、何か組織では失われてるけどチームには存在している何かを求めてるんだろうなとか、 なんとなくチームをつくりたいなとか。やっぱり何人かで見える景色ってあるじゃないですか。なんか僕もそれを自分で見たくて会社をつくった感じはありますね。

(ゆか)それは初めて聞いたかもしれないです。やっぱり一人で見る景色よりも誰かと何か一緒に見てる景色は違いますか。

(北野)そうですね、やっぱり喜びあえたりしたら嬉しいです。エネルギー湧いてきますね。

自分たちの思うより良い組織を体現していきたい。

(ゆか)それは間違いないですね。私もこのイベントをやろうと思った時に、こういう人たちと一緒にやりたいなーって思ってたんですけど。やっぱり誰かと何かを一緒にしている時の方が元気が出ます。純粋に元気が出るなと思っていて。多分一人でも話せるとは思うんですけど、それよりもじんわりとするものがあって。それってチームとか組織だからこそだんろうなと。組織って、結構マイナスなイメージの話をずっと喋ってるんですけど、決してマイナスなことばっかりじゃなくて、組織だからこそできることもあって、そういうポジティブなところにちゃんと目を向けて仕事とか事業を作りたいなーってなった時に、それを体現できてるかどうかってすごく大事だなぁと思って。評論家にはなりたくないって思ったんですよね。「こういう組織は嫌だ」とか「私はこういうところでは働きたくない」とか、言うのは簡単なんですけど、どうやったらより良くなるんだろうっていうのをちゃんと体現した上で、「だからこういうことできるんだよ」っていうことを実現していかないとやっぱりより良くはならないのかなぁなんて思ったりもしてて。そういう意味では、しっかりとこれから自分が思うより良い組織を体現していきたいなーって、まだまだ始まったばっかりなんですけど。

(北野)いやーでもわかります。なんかつくってみたいですよね。あんな世の中で悪く言われている「組織」を自分がつくったらどこまでできるんだろう、みたいな。

(ゆか)やってみたい感ありますよね。

(北野)その難しさもやっぱり感じたい。組織の構成だって、組織に文句言う立場から組織を作ってみて、難しさも感じてみたい。だからみんなで働いて、さっきの元気出るじゃないですけど人間のエネルギーって何なんだろうって。ご飯食べることももちろんエネルギーなんですけど、一言声をかけられるだけでめっちゃ元気になるじゃないですか。あの人間のエネルギーって何なんだろうと思って、本当に。

(ゆか)でも傷つけられるのも人間というか。すごく悲しくなったり辛くなったりするのも人なんだけど、やっぱり助けてくれるのも人で。だからやっぱり人って好きだなーって思いますね私。めっちゃ嫌いだーってなる時もあるんですけどね(笑)

(北野)だからまあ組織って、人の接続というか、自分が思う人の関わり方みたいなものをつくっていきたいんですよね。


人と関わる上で大事にしていること。


(ゆか)めっちゃいいですねー。ちなみに北野さんが人と関わる上でこんなこと大事にしてるよーみたいなことってありますか。

(北野)そうですねー、疑わないことかな。キャリアブレイクしてる人って、まあ一時的な無職な訳で、周りから「大丈夫?」「貯金ある?」みたいなこと言われるんですよね。言ってる方は、親切や優しさなんですよね。でも受け取ってる方は疑いの目なんですよね。それぐらいこう、放ち手と受け手で受け取りかたが違うくて。でもやっぱり、人って疑われて自分の可能性に花が開くことなんて多分ないと思うんですよ。小さな失敗ぐらい全然大丈夫なので、疑わず信じていくみたいなのは好きですね。

(ゆか)一人でも自分のことを信じてくれる人がいるっていうものはすごくパワーになるというか。伝わってきますよね、この人は自分のことを信じてくれてるな、とか、大丈夫って思ってくれてるなっていうのって態度とか言葉でやっぱり伝わってくるから。だから北野さんの周りに人が集まったり、おかゆホテルに泊まりに来たりとかっていう人たちがいるんだろうなぁっていうのを改めて感じました。

(北野)僕はそういう「人に対しての事業」ってあんまりやってきてなくて。元々前職は不動産の企画だったので、場所で解決する癖がついてて、宿開いたりとかシェアハウス作ったりとか。なんか教育事業とか人に対する事業ってあんま得意じゃなくて、どっちかというと「機会とか場をつくるからみんな使ってね」みたいな。なのでキャリアブレイクっていう文化を持ってくるからなんかちょっとみんなで面白がる、みたいな感じで。「その人を変えよう」とか「成長させよう」とかって難しいし、なんかその領域は僕は触れたくないし、人はほっといた方が成長するんじゃないかなって思う時もあるし。もうなんか成長させようとかこの人の性格を変えようとかもっと優しくしようとかなんかそういうの思えない。難しいジャンルすぎて。

(ゆか)これめっちゃいいなー、もうちょっとしゃべりたいんですけどね。今の話聞いて私もすごく共感する部分があって、「あたたかい無関心」に近いなと思って聞いてたんですよ。無関心ってすごく悲しいと思うんですけど、関心寄せすぎると、期待に変わったりとか、変わってほしいっていう願いに変わったりとかプレッシャーになったりすると思ってて。そこに温かさが入ることで、「見捨てるわけじゃないんだけどちゃんと自分の足で立ってもらうための梯子は用意しておくよ」みたいな。そういう関わりは私も大事にしている部分なので、めちゃくちゃ共感しましたっていう感想だけちょっと添えたいなと思いました。ちょっとそろそろ時間なんですが、最後に北野さんからも一言、喋ってみてどうだったっていうのも含めて感想もらってもいいですか。

(北野)そうですねー、こういう答えがない「どんな会社にする」とかって、やっぱもうずーっと勉強し続けるジャンルじゃないですか。だから今日この20分の結論なんてないんですけど、一生懸命考えてこうやって喋ってる間に心に溜まっていって、なんかちょっとずつ自分の哲学が高まってるかもしれないなとか、哲学を高め合えたらいいなとか思ったりしてました。

(ゆか)めっちゃいい。ぜひ、私も蓄積されたものがあったのとまたそれをアップデートしていきたいなという気持ちになりました。ありがとうございました。

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