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「教えない」と決めた日~苦い体験から学んだこと~

子どもの将来
こんな風になってほしいな
こんなことができるようになってほしい
親は誰でも多かれ少なかれ夢を持ってしまいがち
特に、自分もやっていたスポーツや習い事に関しては
思い入れが強すぎて、こんな一面が強く出てしまうことも・・・

私はこれで失敗しました。
そしてあることを決めました。


長女が幼稚園の頃「ピアノを習いたい」と言い出しました。
お友だちが習い始めて憧れを抱いたみたい。
私は心の中で「待ってました!」と叫びました。

私自身、幼稚園からピアノを習い始め、
中学まで続けていました。
一時期は「音大に進みたい」と本気で思っていたくらい
ピアノが大好きでした。
結局、夢は叶えられることなく
実家に残されたピアノ、、

実家を出て結婚し、やがて娘が生まれました。
いつか私のピアノを弾いてくれたらいいな・・・
そして、その夢は叶いました!

ピアニストに、なんて思っていない。
楽しく弾いてくれたらそれでいい。
最初は本当にそう思っていました。
一本指から五本指、片手から両手
少しずつ上達して、曲が弾けるようになって
娘もとても楽しそうでした。

初めての発表会が決まり、2曲弾くことが決まると
先生も本人も練習に熱が入るようになりました。
私も「上手に弾いてほしい」と思うあまり・・・

いつの間にか、熱血教師のように
“指導”を始めていました。
「ちがう!ここはこの指で弾くの!」
「リズムがおかしいよ、タンタンターン、でしょ!」

娘の顔がこわばり、ひきつっていることにも気づかず
毎日厳しい練習を強いてしまいました。

ある日、いつものように練習させている中
楽譜をめくろうと娘に近づいた時でした。
私に叩かれると思ったのか、娘が顔をそむけたのです。


・・・ショックでした。

手をあげたことは一度もありません。
でも、、言葉で厳しく叱ったり
「なんでできないの?」「信じられない」と
暴言をぶつけることがありました。

「発表会で上手に弾いてほしいから」
という思いから始まった練習
でもそれは完全に私のエゴでした。
「上手に弾いてほしい」は全て私のため
娘のことを思えば、ただ楽しんでくれたらよかったのです。

子どもの人格を尊重して育てよう
そう思っていた自分がこんなことをしているなんて・・・
自分のことが情けなくてたまりませんでした。

「ごめんね・・・ママもう怒らないから」
娘に心から謝りました。

その日から、ピアノを教えることは一切やめました。
時々、娘の方から「教えて」と言われたところだけ
ピンポイントでアドバイスするだけにしました。

自分が好きだったもの、一生懸命がんばったこと
それを子どもが「やりたい」と言ってくれたら
本当にうれしい。
でも、いつの間にか自分の夢と重ねてしまったら
それはとても危ないこと。

幸い、長女はその後もピアノを楽しんでくれて
中学生まで習い続けました。
次女も姉の後を追うように幼稚園から始めて
小学校高学年くらいまで楽しく弾いていました。

習い事にはいろいろあって
そこからユースに入って代表選手になる道や
世界でデビューしたり、有名になったり、
という人生も生まれたりしますが
我が家の場合は「楽しめばいい」に落ち着きました。

今はあまり弾くことはなくなったけど
ふたりともピアノを習ってよかった、と言ってくれる。
長女が自分の子どもたちに
「ママはピアノが弾けるんだよ♪」と自慢しているのを聞くと
何とも言えず幸せな気持ちになります。

あの時、教えることをやめて本当によかった。

苦い経験だったけど
親として大事なことを学ぶきっかけになった
貴重な体験でもありました。


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