【そのに】ADHDのワクワク☆ドキドキ☆初ひとり海外旅行

ADHDがお届けするはじめてのかいがいりょこう(♪誰にも内緒で〜)レポートです。

普段は過眠で昼まで寝こけていますが、推しのためなら寿命を削ってでも起きます。前日の夜は風呂や家事などをフル無視して、睡眠薬をいつもの2時間前に服用し、寝る前にノンカフェインの栄養ドリンクを飲んで、起きぬけにエナジードリンクをイッキするのです。毎日やってたら普通に死ぬので、どうか時間に遅れるタイプの発達障害の友人を持つ皆様方におかれましては、寛大に見守っていただくか、そっと距離を置いていただきたく存じます。
かなり余裕を持った時間に起き、ADHD特有のモタつきを生じさせつつもまあギリギリ間に合うだろうというような時間に出て、電車でオンラインチェックインを済ませておこうと航空券を見ました。
時刻を15分後ろ倒しに覚えていたことに気づきました。
終わった。
普通朝イチで確認するよなって?
それができないからADHDなんですよ。
ありがたいことに、オンラインチェックインが功を奏してスムーズに通されました。荷物を預けるときに、家を出る前慌ててポケットに入れた日焼け止めが機内持ち込み不可であると指摘され、キャリーを開けて入れることになりました。
鍵を開けても開かない。
なんで?
終わった。
これは発達というより私の問題なのですが、基本荷物を多く持っていきすぎなのです。キャリーはパンパンで、持ち運びながら腕が痺れるほどでした。おそらくロックの部分も、荷物の多さに耐えかねたのでしょう。3分くらい自分で格闘してから、顔をあげてスタッフさんに助けを求めます。
「うーん、とりあえずどっちも閉めましょっか」
今回韓国の航空会社にしたのですが(伏線)、接客がラフめでちょっと面白かったです。お国柄とかあるのかな。
スタッフさんの言う通りにどちらも閉めて、開かなかった側からもう1度開けたら簡単に開きました。なんだお前。私のこと嫌いなのか。開いたからいいか。
荷物を早々に預け、身軽になった私はルンルンで空港内を歩きます。朝からなにも食べておらずお腹が空いていました。ただ、前述の通り時刻を間違えていたためかなりギリギリの時間。先に出国審査を済ませて、ゲートの近くの軽食屋に入ります。
ヒレカツサンド750円。
朝ごはんに750円。
ふーん。
迷っている時間はありません。ついでにアイスコーヒーもつけて、朝から優雅な食事だこと。勿論時間はありません。飲み込むように食べました。一瞬で消える1000円。なんと儚きことか。
さて、残り20分くらい。そういえば化粧をしていない。普段は引きこもりをいいことにすっぴんのアニマルをしている名倉ですが、推しに会うとなればそうは行きません。まあ元々空港でお化粧する気だったしな。気合ですぐ終わらそ。そこで気づきます。
メイク道具を全部預け荷物に入れちゃった。
終わった。
とりあえず何故か唯一持っていたアイシャドウ、そしてコンビニで買ったBBクリームとアイブロウを駆使して5分で化粧を済ませます。適当すぎて最早しない方がよいレベルの完成度でした。でもメイク落としも預け荷物の中。そのまま飛行機に乗り込みました。気が気でない。ちなみに、その時買った化粧品がどこにも見当たらないのですが、まさかそのまま空港のトイレに置いてきたんだろうか。もったいねえなあ。
私が乗ったのは、前述の通り韓国の、アシアナ航空。本当はLCCがよかったのですが、普段のADHDぶりを考慮すると、より市街地や目的地に近い金浦空港に到着したほうが安全だろうと思い、少し高かったですがこちらの航空券を買いました。遅刻しないための特急やタクシーへの乗車、忘れ物をして現地調達等々、ADHDは生きているだけでリスクヘッジやリカバリーのためにお金がかかるので、障害者割引が適用されているのもやむを得ないと知っていただければと存じます。そして、こちらも先ほど書いた通り、アシアナ航空のCAさんは、勿論十分に接客してくださりますが、日本ほどかしこまっていなくて、ちょっとフレンドリーです。
ここで問題が発生しました。
私の席のあたりを担当するCAさん、どうやら全く日本語がわからない。
羽田発なのに……。
なんなら、英語も特別上手くないっぽい。ていうかそもそも名倉も全然英語ができない。携帯はオフラインだからリアルタイム翻訳が使えない。え? 詰んだ?
お互い何言ってるのか全然わからない状態で膠着していると、隣のオンマ(おかあさん)が颯爽と英語で通訳をしてくれました。私は窓際の席をとっていたので、ちょうどCAさんと私の板挟みだったのです。さぞや気まずかったのだろう。
その後、何かある度にオンマが、私の代わりに、途中から韓国語でCAさんとコミュニケーションをとってくれました。勿論私が何を言っているのかもわかっていたので、オンマは韓国語も英語も、そして日本語も喋れるということになります。
「ありがとうございます」
勇気を出して日本語で声をかけると、オンマは、
「息子が日本に住んでてね」「本当はCAさんみんな日本語喋れるはずなんだけど……珍しいねぇ」
ととても流暢な日本語で教えてくれました。なんて聡くて親切な人なんでしょう。
ただ、CAさんと私の間には言語の壁が聳え立っていたというだけで、CAさんもとてもよい人だったということだけはお伝えしたいです。
私は、トコジラミ対策にと直前にドラッグストアで買ったハッカ油を、席の後ろも後ろに落としてしまいました。いちばん後ろの席だったので、壁と席に挟まれて全然とれません。終わった。詰んだ。まあもう諦めるか……と思いつつ、飛行機を降りるときに落としたことをカタコトの英語で先ほどのCAさんに伝えると、ものすごく頑張ってその長い手を伸ばし、拾ってくれました。
「サンキュー!」日本語訛りにもほどがある英語でお礼をすると、CAさんは眩いばかりに微笑んでくれました。キュンです。
隣のオンマにも重ね重ねお礼を。本当に助かりました! と日本語で伝えると、「よい旅になりますように!」と柔らかい声で仰ってくださりました。
こんなの、もう、よい旅じゃん!

https://twitter.com/anagramargura
https://www.youtube.com/@nAgra_aM

ここから先は

127字

あなぐらまえすとろ

¥200 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

この記事が参加している募集

#わたしの旅行記

101件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?