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|リノベーション|ポストモダン建築を生かした本社オフィス【あけぼの印刷社】

〇概要

茨城県水戸市に本社のある1946年創業の印刷会社さんである[あけぼの印刷社]さんの本社オフィスビルリニューアルに当たり、内外装のデザインディレクションをさせていただきました。吉阪隆正の弟子である磯﨑省二郎氏がデザインした、ポストモダン建築の建物のリノベーションです。間取りや部屋の区画等はほとんどそのままに、仕上げの選定や塗装色、グラフィックの要素であけぼの印刷社さんの現在とこれからを表現させていただきました。

道路に面しているエントランス側


〇デザインコンセプト

水戸駅や水戸市役所の近くにある、ポストモダン建築の本社を、今とこれからの使い方に合わせる為のリノベーション工事に際して、どのようなデザインや仕上げの材を選定すると「良く」なるのか、プロに相談したいというご要望をいただきました。基本設計は決まっていたので、コストパフォーマンスを意識しつつ、あけぼの印刷社さんらしさとデザイン性、使いやすさやお客さんへのPR効果等々、実際に使われる社員さんと一緒に考えながら提案させていただきました。
新しく塗り替えるリニューアルではなく、会社の歴史を経てきた建物の良さを残しながら、これからの在り方をインストールする事を意識しながら進めさせていただきました。

〇色

クライアントが印刷の会社さんであることと、補修や美化の価値以上の要素を持たせる為、内外装の塗装やサインの色味は、この場をこれから使用する方々と話し合いをしながら決めました。リニューアルや新しく見せる為に再塗装をする事は多くあると思いますが、選ぶ色で雰囲気やイメージが変わってくる為、全体のコンセプトや既存との兼ね合い、これからの方向性を考慮しながら基準色を選び、基準色のグラデーションを建物全体に使用し、各所バランスを見ながら選定ていきました。

〇BEFORE

特徴のある建物の形状が際立つ白色の外装で、切り文字の社名ロゴがバランスよく素敵な建物です。室内も、バランスの良い窓が良い雰囲気でした。経年した傷みは出ていましたが、建築物自体も空間も完成されていたので、良さを活かすことを考えて取り組みました。

BEFORE:ファサード


BEFORE:室内

〇構成

今回デザイン監修をさせていただいた箇所は、外観・エントランス・1階ホール・スタッフルーム・階段・2階のコワーキングスペースになります。

①外観/エントランス

元の建物のデザインを活かしつつ、あけぼの印刷社さんのこれからや新しさを伝える事を考え、通りから良く見える所に2階に加わるコワーキングスペースを示す看板を取りつけました。ロゴやスペースの名前は、スタッフの方々とワークショップ形式で考えた方向性を元に坪山励氏がデザインしました。先にも書きましたが、[株式会社あけぼの印刷社]という切り文字のロゴが既に建物とバランス良く在ったので、残す方向で、新しい装飾と看板の要素であるタイルやサイン、照明も黒で揃えました。
ベースの塗装色は、室内で使用しているサインや塗装色と同じ色味で濃さを変化させて使用しており、室内外で調和がとれることを考えました。

元の要素を残しつつ装飾を加えたエントランス
通りから新しい活動が見えるように設置した看板

②1階ホール、スタッフルーム

1階のホールやスタッフルームも、基本は既存を活かし、色味やサイン、照明で統一感と新しさを演出しました。黒っぽく見える塗装色も、基準色の低い明度の色を採用しエリアの雰囲気がグラデーションでつながっていく事を意識しています。

レトロな床タイルはそのままに、扉や受付の塗装やサインを一新
既存に馴染みながらデザイン性のあるペンダントライトを採用

③階段

2階のコワーキングスペースへ行く方が通る階段は、案内のサインでデザイン性を加え、塗装予定だった立ち上がりと踊り場の塗装は色の明るさを変化させる事で色味を加え、雰囲気に変化をつけました。印象は変えましたが、他と同じ手法で色味は変更せずに明るさで調整しているので、切り替わるのではなく続いていくようになっています。

2階のコワーキングスペースに上がる階段のサインと塗装
コワーキングスペースへ案内するサイン


④2階コワーキングスペース

2階のコワーキングスペースは白系統の色味で明るく清潔感のある色味で統一しました。壁面や窓枠の白色は、明度の高い基準色に近い無彩色を採用し、同じ白でも全体に統一感が出る事とチープに見えない事を意識しました。木天板の大型の家具や、観葉植物を置きたいとお伺いしていたので、明るく統一感のある空間を作り、この後設置する物がまとまりやすいようにしました。窓回りはウィンドウトリートメントを締めてご仕様になりたいとのご要望でブラインドを採用しましたが、元の窓面の存在感が残る形になり、シンプルでありつつも、画一的でない空間になったと思います。

元の建物の作る空間が残るオフィス
広く明かるい印象にリニューアルしたオフィス

〇まとめ

今回は、地元茨城県水戸市のあけぼの印刷社さんの本社ビルのリニューアルのお手伝いをさせていただきました!モダニズム建築の良いところを当時のまま活用しつつ断熱性や経年劣化箇所を改修し、これからのあけぼの印刷さんらしさをデザインで取り入れるという、素敵なプロジェクトに携わらせていたくことが出来ました。
時代背景的にも、既存ストックを活用する事やスクラップアンドビルドについては考えていかなければならないので、元の建物の事を考え未来に繋ぐことを実践させていただく機会をいただき、とてもありがたかったです。

内外装ディレクション:中村彩乃
コンセプト・サイン/ロゴデザイン:坪山励
クライアント:株式会社あけぼの印刷社
撮影:坪山励

中村彩乃建築設計デザインは、お客様のご要望やイメージを大切にした、オリジナルの設計やインテリア空間、デザインをご提案しています!
又、スタートアップや新規事業立ち上げ、ゲストハウスの運営の経験を活かし、おしゃれで機能的な空間だけではなく、お客様や社会にとっての成功に繋がるプランを共に作り上げることを目指しています。
コストパフォーマンスにも配慮し、ご予算内で最大限のご提案をする事を心がけておりますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。


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