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夏と蝉


とある夏の日、朝から雨が降っていた。

いつの間にか雨は上がって見上げれば少し眩しい

雨のせいで涼しくて夏らしくない夏の日

いつもとかわらずミンミンと鳴く蝉の声を聞いて思った。

蝉は夏しか知らないのだと。


桜の咲く春も、段々と寒くなる秋も、冬には雪が降ることも知らない。

4つのうちの1つしか知らないしその中でも1週間しか知らない。


抜け殻から抜けて初めて飛んだ空で蝉は何を思うのだろうか。



年々増していく夏の暑さに拍車をかけるような蝉の声

1週間しか生きられない彼らと80年 もしかしたら100年生きるかもしれない私たち。

もしかしたら生まれ変わった蝉に何度も出逢っているのかもしれない

何度も生まれ変わるかもしれない夏の間の一週間の命と80年もしくは100年続く命

どっちがいいかな

私は蝉がいいかな


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