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第137回:謎解きと旅行気分が同時に楽しめる1冊(中町信:追憶(recollection)田沢湖からの手紙)

こんにちは、あみのです!
今回の本は、中町信著『追憶(recollection)田沢湖からの手紙』(徳間文庫:トクマの特選!)という作品です。

先日感想を書いた『招かざる客』(笹沢左保著)と同じ「トクマの特選!」シリーズからの1冊。今作は過去に発売された『田沢湖殺人事件』という作品を改題したものとなります。改題したタイトルはとても今時っぽい感じですね。

この作家さんは「意外性」のあるミステリーを得意としているそうなので、どのような驚きが待っているのか興味を持ち、読んでみました。
充実した謎解きだけでなく、切なさが残るラストシーンも印象的な物語でした。

あらすじ

一本の電話が、彼を栄光の頂点から地獄へと突き落とした。——脳外科学会で、最先端技術の論文発表を成功させた大学助教授・堂上富士夫に届いたのは、妻が田沢湖で溺死したという報せだった。彼女は中学時代に自らが遭遇した奇妙な密室殺人の真相を追って同窓会に参加していたのだった。現地に飛んだ堂上に対し口を重く閉ざした関係者たちは、次々に謎の死に見舞われる。

カバーより

感想

今作は、富士夫の妻(美穂)が同窓会のために訪れていた田沢湖で溺死したというショッキングな出来事から始まります。

彼女の死は自殺なのか他殺なのか。事件を紐解いていくうちに、美穂が中学生時代に遭遇したある出来事が浮かび上がってきます。ひとつの物語で複数の謎が描かれるとか夢中にならないわけがない。

こちらの作品はほとんど一気読みでした。休日の午後に2時間ドラマを見ているような感覚で楽しめた作品でした。いろんな地名が出てきたり、電車の時刻表が謎解きで重要な役割を果たしていたりと各地を旅している気分が味わえたところも良かったです。

帯やカバー裏の作品紹介では「意外性」を大きく説明していましたが、個人的には意外性を楽しみたい人よりも本を読んで旅行気分を味わいたい人におすすめな作品だと思いました。

とはいえ、思わず「え!?」となってしまうような展開が途中にはあるので、結末を知った上でもう一度読み返すことで新たな発見もできそうな作品だなとも思いました。
ミステリーって、何回か読み返すことで登場人物の感情を深くつかめるところが個人的には面白いジャンルだと思います。

『死の湖畔』シリーズは今作の他にも何作かあるそうなので(トクマの特選シリーズでは現時点では今作のみですが)、機会があれば別の巻も読んでみたいです。私は今作を超える衝撃に出会いたい。

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