第157回:辛い時も「可愛い」は応援してくれる(卯月みか:幸せスイーツとテディベア)
こんにちは、あみのです!
今回の本は、卯月みかさんのライト文芸作品『幸せスイーツとテディベア』(一二三文庫)です。
数ヶ月前、本屋で新刊を物色していて「カバー可愛い~♡」と思ってたら、以前読んだ『京都桜小径の喫茶店』の作家さんの新作だったことが判明し、即購入しました。
テディベアをはじめとするハンドメイド雑貨が物語のカギとなる作品。魅力的なスイーツもたくさん登場します。可愛いものが好きな人はもちろん、自分の将来に悩んでいる人にも届いてほしい1冊です。(作品の舞台は大阪だよ)
あらすじ
感想
可愛いハンドメイド雑貨と美味しそうなスイーツ。それからちょっぴり恋愛も?私の好きな要素が満載のストーリーで、とても面白かったです!
周りの同級生が次々と内定をもらっていく一方、主人公の明理はなかなか内定をもらうことができず、就活に疲れていました。そんな彼女が出会ったのは、テディベア作家の慎さんとテディベアの姿をした不思議なオーナー。
慎さんが心を込めてテディベアを作る様子に感動したり、オーナーの優しいおもてなしに勇気をもらったりしながら、明理はこれから自分はどんな仕事をしたいか考え直していきます。
実を言うと私も明理と似た悩みを現在抱えています。今の仕事もやりがいがあって楽しいけど、他の世界も覗いてみたい。でも何社も落ちた経験があって前に進むのが怖い。明理が就活で周りのみんなに置いていかれることに焦る気持ち、私もよく知っています。
物語の中盤で明理は、ハンドメイド作家が集まる通販サイトとイベントに出会います。通販サイトの閲覧やイベントへの参加によってハンドメイド作家への親近感がよりわいた明理は、次第にサイト・イベントの運営会社で働いて作家さんたちを支えたいと思うようになります。
明理には小さい頃から大切にしているテディベアがあるというちょっとしたきっかけで、慎さんたちがいる世界に踏み出しました。これまではただ「可愛い」と思っていたテディベアですが、予想以上に作り方や歴史が深い世界であることを明理は知りました。更にそれが将来何がしたいのかにも繋がっていきました。
ちょっとでも「好き」と思える世界にはどんどん踏み込んでみる。もしかするとそこで今まで出会えなかった自分と出会えるかもしれない。
明理の就活に対する気持ちの変化からは、そのようなことを感じられました。私もちょっと興味のある分野に踏み込める機会があれば、積極的に入っていけたらいいなと思いました。
またラストの明理と慎さんの動物園デート?のシーン、めちゃくちゃときめきました!それぞれの思い出や動物の知識を語り合うデートは凄く楽しそうでしたし、明理の嬉しかった動物園の思い出と慎さんの辛い過去がデート中ひとつに重なる展開もこれまた熱かったです。
私も小さい頃からぬいぐるみが大好きなので、明理が友達のようにあるいはお守りのようにテディベアを大事にする気持ちにとても共感しました。作中で慎さんが作っていたテディベアたちも誰かの大切な「友達」になったら慎さんはもちろん、テディベアもとても嬉しいだろうなぁと思いました。
テディベアから始まる自分探しの物語。読んで優しい気持ちになれたのはもちろん、私の将来についても少しずつ考えていきたくなった1冊でした。
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