第6回「文体って何?」
文章に表れる癖
文章には「文体」というものがあります。
これは文章の様式を示すもので、「和文体」とか「漢文体」などがあることは、中学校や高校の国語で習ったことがあるでしょう。
しかし、そんな堅苦しいことなど考えなくてもかまいません。
「文体」というのは、言ってみればそれぞれの書き手の癖みたいなものです。
技アリは癖アリ
小説家などは、みんな自分の文体をもっています。
長い間書き続けているうちに、自分が好きな文章が見つかってきます。あるいは個性を出すために自分だけの文体を見つけようとする人もいるでしょう。
いずれにしてもプロの書き手はみんな自分の文体をもっているものです。
それにより作品を特徴的なものとしたり、読み手が受け取る印象をコントロールしたりしています。
文体さがしの旅
◯◯風に書いてみよう
ではプロではない人たちは、どのようにして自分の文体を身に着けて行けばいいのでしょう。
その方法の一つは、好きな作家の文章を真似ることです。
たとえば好きなエッセイストがいます。理屈ではなく、何となくそのエッセイストの書くものが好きということはあるでしょう。
そんな好きなエッセイストがいるのなら、もう一度その人の書く文章を細かく読んでみてください。
何度も繰り返して読んでいると、自然とその人の文章の癖がわかってきます。句読点の打ち方や、改行のリズムにも癖があるものです。繰り返し出てくる言い回しもきっとあるはずです。
そんな文章の癖を真似てみる。
好きな作家の文章の癖を真似して、特徴的な言い回しを使ったり、よく出てくる単語を使ってみたりしてみることです。
オリジナルの「選び方」
考えてみれば、「文体」には新しいも古いもないと思います。「これまでにない文体」を生み出すことなど、実はできません。
新しい表現のように見えても、実はその文章は昔からある文体の組み合わせや順番を変えただけなのです。
その言葉の組み合わせのなかから、自分の好きなものを選んでみること。その気に入った言葉の組み合わせをいつも使ってみること。
そうしているうちに、自然と自分の文体みたいなものができてきます。
あちこち旅して見つけよう
さらに言えば、プロの文章家でないのなら、ころころと書く文体が変わってもいい。
プロであれば文体が書くたびに変わることは不味いのでしょうが、素人なら自由自在に文体が変わってもかまわない。自分で楽しみながらいろんな文体を書いてみてください。
「今日は誰それの真似をして書いてみよう」。そんなふうに文体を意識しながら書くことも文章上達の一歩になるものです。
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