見出し画像

告白はグロい。

告白はグロい。
これは私の持論だ。
告白はロマンチックに描かれる。
相手と自分の思いが重なり、他人の2人の関係性が進展するきっかけだから。
しかし、私は告白ほど一方的なものはないと思う。

私は人生において2回告白したことがある。
(これを書いて思ったが告白を受けたことは殆ど無い、猪突猛進型だ。)
1回目は、片想いの人へ想いを伝えるため、
2回目は、元彼と付き合うため、想いを伝えた。

そして最もグロテスクだったのは、1回目の告白だった。

当時、私は恋に恋する盲目な大学生だった。
彼は同じ学科で、よく男友達と連む、恋愛と無縁な大学生だった。
初めて会った授業で私の一目惚れしたのをきっかけに、必死になってデートに誘い、会うことを重ねた。
会う度に、私は想いが積もり苦しくなる一方、彼はいたって普通に過ごしていた。
その時から恋愛的に見られていないと思っていた。


そして、ついに6回目のデート。
私は告白をすることを決意した。
デートが終わりに近づくにつれて、胸が締め付けられる。
告白しようと思う度、短期間で積み上げた想いたちが、喉元まで込み上げるが出てこない。
彼から「大丈夫?」と声をかけられるほど、顔も硬直していた。
吐きたくても吐けない状態が続き、1人で葛藤をしながら駅に着く。

そして、帰りの電車に乗った時。
私は「好きなんだ」と告白をした。
相手の気持ちがあるとは思えなかったので、
付き合いたいとは、言えなかった。

相手の顔を恐る恐る見ると、
「知らなかった」と驚いていた。

その時、私は想いを撒き散らしただけで、
何も相手を思てなかったことに気づいた。
気持ちを伝えているのではなく、吐いてるだけで嘔吐物と一緒。
なんなら、自慰行為と一緒だとも思った。
これが私の経験した最もグロテスクな告白である。

「付き合えなかったから、グロテスクだったのでは?」と思う人もいると思う。
しかし、私は、告白を受け入れ、付き合うことは、
嘔吐物に触れて「綺麗だね」ということと一緒だと思う。
(人生で2回目の告白の時、そう感じた。)

相手に届けているつもりが、最も相手を意識しない一方的な行為。
相手の意志を大切にできない、瞬間だと思う。

告白はグロい。だから躊躇する。
しかし、そのグロさを乗り越えなければ
何も生み出せないのも事実だ。

告白は想いの嘔吐物。
もし美しい告白があるとするなら
それはグロさを、相手が「美しい」と言ったときだろう。

この記事が参加している募集

#今こんな気分

76,740件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?