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【神奈川】ノスタルジックな風景を求めて真鶴へ行く
2021年の夏、神奈川の南西にある真鶴(まなづる)という町に行ってきた。
私は「ぼくのなつやすみ2」というゲームが好きすぎて、作中に出てくるあの海辺の民宿が実在しないことが受け入れられない人間なのだが、その気持ちを少しでも鎮めるために妥協案を探した結果、この小さな港町をインターネットの海から発見したのだ。
全然「ぼくなつ」の舞台と似ている訳ではないが、普段生活している町と比べると圧倒的に近いエッセンスを感じる。
横浜駅から電車一本で行けるというアクセスの良さも魅力的だ。藤沢駅や小田原駅を通過し、1時間ほどで真鶴駅に到着する。
今回は、岬の端にある「三ツ石」を目指して駅から4kmほど歩いていくことにした。
さっそく地味に道に迷ったが、見える風景が既にノスタルジックでテンションが上がる。
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テンションは上がるが、わりと早々に歩道という概念が無くなり、車道の端を歩いていく形になる。
たまに車が通り過ぎるが歩行者は一人もいなかったので、普通の服とスニーカーでひとり淡々と歩いている私は不気味だったかもしれない。
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今回、半島の中心あたりの道を突っ切って南下していくルートを取ったのだが、途中何度かガチの森を抜けなくてはいけなかったので、私は無課金ユーザーファッションでノコノコやってきたことを心底後悔した。
しかし、森に至るまでも炎天下をまあまあ頑張って歩いてきているので引き返すのも嫌すぎて突き進んだ。
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誰もいない森の中は怖すぎて(二度と!徒歩で!来ない!!)と唱えながら小走りで通り抜けた。
攻撃的な野生生物や、何かしら悪意のある存在が現れたら最悪死ぬという純粋な恐怖を覚えた。
真鶴に何しに来たんだコイツ・・・?
ともあれ、最終的には何事もなく目的地に辿り着くことができた。
人の気配があるエリアに辿り着いた時、心底安堵した。帰りはバスに乗ることを誓い、スカスカの時刻表を確認しておいた。
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眺望の良い場所に喫茶店があったので、かき氷を食べた。
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(あ、今メッチャ夏休みだ・・・)
ここに来て、感慨が押し寄せてきた。岬の先端にある店で海を見ながらかき氷を食べる———こういうことを自分は求めていたのだと思い出した。
ただし、デカい虫が近くをブンブン飛んでいる。
店のおばちゃんに「これで追い払うように」と渡された団扇を振り翳しながらぼうっと海を眺めた。虫ぐらい別に良い。人気の無い森で感じた恐怖と比べるとマジでどうでも良い。
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かき氷を食べ終え、長めの階段を下って三ツ石を見に行く。
この海岸も中々エグい場所で、歩くたびに石の隙間から大量にフナムシが出てくるのだが、人気の無い森で感じた恐怖と比べると(以下略)
フナムシもフナムシで人間から逃げているだけなので、ここはパワーバランスをキッチリ理解して「踏んじゃうぞ〜☆」と思いながら歩けば怖いことはない。
虫のことばかり覚えていて情けない・・・
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ここで、16時過ぎに来る最終バスを早めに待ち構えていた私の前に一台の車が止まった。
すぐそこの施設で働いているというおじさんが、駅まで送ってくれると言う。
一応遠慮する姿勢を示したが、強く勧めてくるので結局乗った。いざとなったら車を奪う覚悟で戦わなければならないと思っていたが、結局おじさんは親切なだけだったので戦闘は生じなかった。
おじさんは、港の写真を撮りたいので一旦良い場所で下ろして欲しいという注文を聞いてくれさえした。
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素晴らしい・・・
「ノスタルジー感のある小さな港町」を絵に描いたような風景を拝むことができた。
地元の人たちが釣りをしているという生活感もたまらない。
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おじさんは、写真を撮るためだけにふてぶてしく注文までつけてくる私の態度に感心したらしく、駅に向かう前に海が見晴らせる高台や、紫陽花がたくさん咲いている場所も紹介してくれた。
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そもそもおじさんは、岬の方に一人で来ていた私を自殺志願者か何かと思って心配していたらしい。過去、実際に自殺しようとしていた人を保護したのだという話も聞いた。お騒がせして申し訳ないと言うしかない。
結局、真鶴より一つ先の駅まで送ってもらっておじさんとは別れた。
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ただ風景を求めていただけなのに、色々と思わぬことが起きて楽しかった。
今度行く時は魚を食べたい(食べ逃した)。
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