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読み聞かせは最強!? 小学校受験特有の審査方式「お話の記憶」

【カズキチ】私立学校法人勤務の32歳/三度の飯より車のタイヤが好きな3歳児の父/息子に最適な"学校キャリア"(子供が社会人になるまでの進学プロセス)を考えるため、保護者+本業目線で都内の学校情報を収集中

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「絵本の読み聞かせ」

皆さんのご家庭は、子供に絵本の読み聞かせをしていますか?

息子の"学校キャリア"の選択肢として小受(小学校受験)の世界をもっと知りたいと思い、最近書籍やYouTubeなどを漁り始めた私ですが、そこで知った小受特有の審査方式「お話の記憶」について、今回はまとめました!


「お話の記憶」とは?

「お話の記憶」では、まずイラストなどが描かれた解答用紙が初めに配られ、先生またはテープレコーダーが物語を読み上げます。その後、物語の内容に関するいろいろな質問に解答していくというものです。
詳しい実例は↓の記事などで紹介されていますので、イメージが湧かなければぜひご参照ください。

私が過去に経験した中学受験と大学受験には、このような試験ジャンルはありませんでしたので、これを知った時は「こんなものもあるのか!」と心の中で驚きました。と同時に、もし子供の頃の自分がこれに挑んでいたら、だいぶ苦戦していただろうなとも思いました。

というのも、私は大人になるまで読書が大の苦手でした。
嫌いな宿題ランキング1位はもちろん「読書感想文」で、中学受験では「国語」に大苦戦。高校までに人生で読んだ本の数は冗談抜きで10冊程度です。

幼少期に絵本にほとんど触れてこなかったのがその原因だと思っているのですが、それゆえに物語の流れをつかむ力や、登場人物の心情や行動の意味を理解する力が悲しいほどに欠落していました。
子供の頃の私にとって「お話の記憶」は間違いなく苦手ジャンルだったと思います。

逆に妻は本の虫

そんな私とは異なり、うちの息子は毎晩家で絵本を読んでいます。もちろん自分でではなく親の読み聞かせなのですが、最近では日本昔ばなしアニメ絵本セットが家に来たので、「今日はもも太郎にする!」みたいなノリで物語を楽しんでいます。

永岡書店 日本昔ばなしアニメ絵本

このような習慣になったのは、私が過ごした幼少期の反省から――ではなく、妻の影響です。

妻は幼少期からたくさん本に触れており、とにかく読書が好きです。
最近では子育てをしながらいかに本を読み進めるかを追求し、洗面所とトイレに本を常備して、隙間時間を使って同時に複数の本を読み進めるという荒業に挑んでいます。(案外いけるとのこと。)

幼少期からの読書に大きな効果があることを妻は実体験として知っているため、息子がお腹の中にいる時から絵本の読み聞かせをしていました。
大の大人が静かなリビングで独り音読をするという一見奇妙な光景に、正直私は「そんなに早くから読んで意味ある?」と半信半疑だったのですが、習慣とはすごいもので、実際に現在3歳の息子は高校時代の私よりも確実に本への関心度が高いです。

私が今読み進めている小受の書籍には、「お話の記憶」の対策には読み聞かせが一番良いと書いてありました。
「お話の記憶」では、人の話を正しく聴き取る力記憶力が試されます。こうした力は一朝一夕に身に付くものではないため、日頃からの積み重ねが大切だということです。

ウサギとカメ

皆さんも何かしらで経験があると思いますが、物事には付け焼刃でなんとかなるものと、どうにもならないものがあります。

「歴史」は直前期に気合いで丸暗記すればいけるけど、「数学」は普段から演習していないと解けない、みたいなやつです。

「お話の記憶」の内容を知った時、私は「これは家庭を分けるな」と思いました。

私のようにほぼ絵本に触れない幼少期を過ごした子供と、息子のようにたくさんの絵本に触れている子供では、「お話の記憶」に直面した時のパフォーマンスに大きな差が出るはずです。
まさに日本昔ばなしの「ウサギとカメ」で、必要になってから急いだところで、コツコツ積み上げてきた「カメ」に勝つことは難しいでしょう。

そして小受における「ウサギとカメ」の恐ろしいところは、助走期間がとても短いことです。
例えばこれが中学受験のお話であれば、そうはいっても受験本番は12歳ですので、それまでに必要な準備に気付ければ、まだなんとかなるでしょう。

しかし小受の本番は6歳です。
6年なんて、日々の子育てに翻弄されているうちにあっという間に過ぎてしまいそうです。今の私のように、やっと少し子供に手がかからなくなってきて「そろそろnoteでも……」と思った頃には、もう2年半しか残っていないわけです。

読書習慣ができている家庭とそうでない家庭を、この「お話の記憶」ははっきりと分かつ――そんな気がしてなりません。親の潜在意識が試される、なかなかに恐ろしい審査です。

恐ろしいが優れたふるい

しかし入学者選抜の観点から考えると、この「お話の記憶」は優れた審査方法のようにも思えます。

以前私は勤務先で大学入試を扱う部署におり、入学者選抜ではどのような問題が"良問"とされるかについて、議論に触れたことがあります。
細部については教育指導者によって見解がさまざまですが、概ね一致するのは、日々の勉強で身に付けた知識や考え方を活用して、初めて見る内容であっても解が導き出せるような問題です。

たいていそのような問題は、付け焼刃の準備ではどうにもなりません。
これによって受験生たちはふるいにかけられ、コツコツ下地を形成してきた「カメ」が多く選抜されるように考えられています。
「お話の記憶」も、これに通じるところがあります。

ただでさえ受験は、「親の資本力で結果が決まる」と言われがちです。
せめてこうした「カメ」を見抜く審査が少しでも取り入れられて、直前期に対策講座にたくさん金をつぎ込めた家の勝ち、みたいな入試にならないようになっているといいなと思います。

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