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【読書感想】タリアイ・ヴェーソス『氷の城』

こんにちは、天音です。

今回は読書感想記事。
ノルウェーの小説『氷の城』を読みました。

それではまず軽くあらすじを。

ノルウェーの田舎町に住んでいる11歳の少女シスは、クラスで中心的な存在。ある時、シスの通う学校に同い年の少女ウンが転校してくる。独特な雰囲気を纏ったウン。ふたりは運命的とも言えるほど強烈に惹かれ合い、お互い探りを入れながらも友人となる。
しかしウンは、“氷の城”と呼ばれる氷瀑に行ったきり、忽然と姿を消してしまい……。

みなさんはノルウェーの小説を読んだことはありますか?

わたしの場合どうしても読む本のジャンルや国が偏ってしまうために、この『氷の城』が初めて読んだノルウェーの小説でした。
タリアイ・ヴェーソスという作家も聞いたことがなかったです。

本屋で偶然目にして気になっていた本で、ようやく読めました。

前情報が一切入っていない状態で、「雪の女王やアナ雪みたいなお話かな〜。幻想的な表紙だし」なんて思っていた始末。

全然違いました。
すごい勘違いです。

読んでいる最中、割と早い段階で「えっそんな?!」と声が出ました。
少女たちの運命と決断を食い入るように読み進めます。

端的に表してしまうと味気なくなりそうですが、「少女の出会いと別れ、喪失、そして克服」の物語になります。

なんといっても文章がとても美しかったです。

訳者あとがきでヴェーソスの文はショーイング(showing=見せる)であるとありました。
こんなにスコンと納得したことはありません。

この本を開くとわたしはノルウェーの雪に閉ざされた冬を感じられるし、全てが凍りついた“氷の城”の中に入ることができます。
わたしは分厚く凍った湖を見ましたし、暖房が効いた部屋にいるのにずっと寒かった気すらします。

そう思ってしまうくらい、幻想的な描写なのにリアルでした。

時計も凍りついていたのかもう一気読みです。
寒い夜に読むには凍えないようご注意を。なんて。

少女は氷が溶ける時、もう一度歩き始めます。

彼女の切ない歩みを見守ることができてよかったです。

国書刊行会さんのnoteでもっと詳しいタリアイ・ヴェーソスに関する記事があったので、もし興味をお持ちになった方がいらっしゃればそちらも読んでみてください!

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