映画「最後まで行く」感想
※個人的な感想メモと落書きです。
本編の重大なネタバレはしていませんが、あらすじを引用しているので、先入観なく見たい方はご遠慮下さい。
以前ヴィレッジを観に行った際、予告編で気になっていた作品[最後まで行く]
この物語は12月29日の、急かすような年の瀬から始まった。
たびたび映画では、
あぁ、もう駄目だ。
終わった。
詰んだ。
と、思わせる展開が1、2度出てくる。
しかしこの映画では10回以上そんな場面が畳み掛けるように出てきては、主人公の刑事、工藤祐司(岡田准一)を追い込み、私たちを巻き込んで、
「もう、行けるとこまで行くしかないい!!」
と暴走する車に押し込んでしまう。
ヤバい日の始まりだ。
終始落ち着かないテンポ展開で飽きさせず、基本はバイオレンスな表現とシリアスな展開ではあるものの、
苦し紛れにその場をやり過ごそうとする工藤の手法や表情はコミカルだ。
コメディ要素バッチリあったのね。
理屈は捏ねずに楽しみたい。
いつしか「あんたって子は…!」と工藤母の気持ちになって話を追いかけていた自分がいる。
彼女も、呆れて"ものも言えない"気分だろうか?
なにせ工藤は癖が強く、しぶとい。
これの対極に居て、なおかつ似たもの同士の相手は、それ相当のパワーがいる。
そこで出てくるのが監察官の矢崎貴之(綾野剛)だ。
冷静に淡々と物事を進めてくる前半は、まさにフリで、後半になり激情する姿が見られる。
この2人の演技だけでもワクワクしてしまう。
そして日本版オリジナルの登場人物がいる。
オブザーバーのような役割の元ヤクザ、仙葉(柄本明)が静かに、状況を掻き回していく。
キーマンになるのは威勢のいい尾田(磯村勇斗)だ。
味付けが濃い、メリハリの効きまくった(むしろ張りがほとんど)ややオーバーな演技も本家韓国版のエッセンスを思わせる。
とは言え、韓国版の方を後で観たが、静かにシーンが進む事もあり、こんなに工藤がジタバタのたうち回っていたのは日本版オリジナルらしい。
観るものは、彼に変な愛着が湧きそうだ。
クライマックスではロケーションが凄い。
思わずロケ地を探してしまった。
ラストもうひと推し欲しい、と思っていた矢先におかわりを何杯も出してくるもんだから、
「はい…もう、お腹いっぱいです。」と言わざるを得ない。
怒涛のわんこそば状態である。
気を抜いたら徹底的に追い討ちがかかるので、
ここで本当の、
こうなったら「最後まで行く!」である。
気になっている方は是非、ブレーキのぶっ壊れた車に同乗して欲しい。
ドアを閉めたら、カウントダウンが始まるはずだ。
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