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ワーケーション=バケーション色強めるから毛嫌いされるし定着しない。業務プロセスとしての正しい活用方法

0.ワーケーション=新しい旅のスタイルではない

ワーケーション(ワーク+バケーション)。観光庁は「新たな旅のスタイル」を打ち出していますが、旅や休暇のイメージが強いからワーケーションがネガティブな目で見られたり、日本ではなかなかワーケーションが普及浸透しないんだと思っています。

僕は、ワーケーションは「新たなワークスタイル」であり、企業が生産性を高めたりイノベーションを興すための(平日に実施する)「新たな業務プロセス」と定義して発信および実践しています。

なぜそう思うか、具体的にどう活用すればよいかについては書籍『新時代を生き抜く越境思考』の当該章をじっくりお読みいただくとして、ここではワーク重視のワーケーションの活用イメージを、「経営者・個人事業主向け」「個人(会社勤めしている人)向け」「チーム向け」の3つのターゲットに細分化し発信します。すべて僕自身の体験をベースにしています。

僕の推奨するワーケーションは、平日に業務として実施する働き方です。よって「ワーケーション?休日に仕事させるのか!けしからん」的な反論は無効としてこの先を読み進めてください。休日や週末は、レジャー客がうるさかったり、お昼時の待ち時間も長くてそれこそ仕事に集中できなかったりしますから。

1.経営者や個人事業主向け

最もワーケーションが馴染みやすいセクター。小うるさい労働法も適用されないですし、自己判断と裁量で時間や場所を選ばずに仕事しやすいです。
忙しい経営者や個人事業主にとってワーケーションは、ぶっちゃけそうでもしないと旅なんてする時間のない人たちに対する優しさの選択肢であり、福利厚生的な意味も大きいと思います。

僕もそうですが、忙しい経営者はスタンドアロンで(仕事と完全に切り離して単独で)のんびり旅行する時間的余裕なんてありません
とはいえ、ずっとオフィスに籠って激務をこなしていたら、心も折れます。にんげんだもの。

出張先で、または旅先で激務をこなしながら、合間にいつもとは違う景色を見てリフレッシュをしたり温泉に浸かる。そのくらいの社会の優しさがあっても良いのではないですか?

もちろん集中力やクリエイティビティが高まるなど、本業の成果を高める効果もあります。そうでなければ、ワーケーションやっていられませんって(本音)。

2.個人(会社勤めしている人)向け

会社勤めをしている個人が、一人でワーケーションをするケース。

(1)作業や発想に集中
普段とは景色の違う環境に一人で身を置くことでで、集中力が高まったり、発想が捗ります(もちろん個人差や環境差はありますし、慣れもあります)
。個人的には「なにもない」ところがお薦めいわゆる観光地は気が散りやすい。この辺りの詳細も『新時代を生き抜く越境思考』でじっくり。

(2)「イヤな仕事」「ニガテな仕事」「大変な仕事」を引き受けるトレードオフとして:『その代わりワーケーション』
誰のやりたがらない仕事を渋々あなたが引き受ける。ニガテな仕事(僕だと事務作業とか)に取り組む。大変な仕事に取り組む。その代わり、せめて好きな環境で仕事させてください。こんな発想です。

満席電車や渋滞で時間も気力も溶かされた挙句、イヤな仕事、ニガテな仕事、大変な仕事に取り組まなければならない。いったい何の罰ゲーム、嫌がらせでしょう。しんどさ倍増、ワークエンゲージメントやメンタルヘルスやWellbeingの面でもよろしくないですね。

「その重荷、引き受けます、取り組みます。その代わり、ワーケーションでやらせてください」

このトレードオフの要求は、上長や会社に堂々と持ち掛けてみる余地ありだと思います。

僕はこれを「その代わりワーケーション」と呼んでいます。
(「その代わりテレワーク」もありかもしれません)

労務管理が心配、セキュリティが心配などの事情があれば、チームごとワーケーションしてしまうのもアリでしょう。

3.チーム向け

企業組織のチーム単位でワーケーションをするケース。

(1)チームビルティングやキックオフ
(2)アイデア出し、集中討議
(3)テーマを決めた越境学習・人材育成

この3点は以下の関連記事に綴りましたので、参照してください。
(友情出演:島田由香さん)

4.観光事業者にお願いしたいこと

仕事に集中するワーケーションを利用者が快適に行うためには、いままでのレジャー向け、観光客向けのサービスをそのまま提供していては不十分です。電源とWi-Fiさえ用意しておけば良いってものではありません

「10時チェックアウトで居場所難民になる」
「毎食、食事が重たすぎて胃がつらい」


これらは仕事に支障をきたします。ぶっちゃけ、ワーケーターの行動や気持ちがわかっていないなって思います。
まだまだ問題はありますが、それらもすべて提言とともに『新時代を生き抜く越境思考』にたっぷり書きましたので読んでください。

5.平日はワーキング重視、休日はレジャー客重視。そんな幸せな共存があって良いと思う

休日の観光地や山間地は遊びの観光客やレジャー客が多く、ワーケーションしたくても煩くてなかなか仕事に集中できないって人も多いでしょう(僕は周りを気にせず無心に集中する派ですが(苦笑))。その逆に、観光客やレジャー客も仕事をしている人に冷ややかだったりもします。

(世の中には、観光地や自然の中でPCをカタカタやっていると、嫌な顔をする人もいるようです。僕はむしろそういう人種の人たちに共感&親近感湧きまくりですが(笑)。ていうか、観光地で仕事するななんて言ったら、それこそクソ忙しい人の観光地嫌いが加速し、旅行からどんどん遠のきますよ。忙しい人に優しい社会を!)

これって、お互いが不幸ですよね。

ワーケーション(僕が主張している、ワーク重視&平日実施のほうね)の普及と一般化は、ワーキング重視の訪問客と、遊び&レジャー重視の訪問客の幸せな棲み分けにもつながると考えています。

平日は仕事をしに来る人がマジョリティ。煩くない環境でのびのびかつガッツリ仕事できる。休日は観光客やレジャー客がマジョリティ

そういう雰囲気も創っていきたいものです。

「え、平日に仕事してて何が悪いんですか?(キリッ」

※個人的には、平日休日関係なく、時間や場所も関係なく自分の「勝ちパターン」で仕事もオフも楽しめるのが理想の社会像だと僕は思いますが、「そうはいっても」ということで。この国のカルチャー変えるのには時間かかりますから。。。

6.おしまいに

繰り返しますが、ワーケーションは適切に使いこなせば、仕事の成果を出すための強力な選択肢になりますし、組織のあたりまえの業務プロセスイノベーションプロセスの一つとして機能します。

ワーケーション=レジャー旅や休暇ととらえて(思い込んで)ネガティブな脊髄反応をするのでなく、仕事を主軸にとらえてみましょう。
ワーケーションにより会社の経費を地方都市に落とすことで、平日の地方都市や中山間地の経済の活性化にもつながります。なによりのCSRではないでしょうか。

えっ、「遊びとの境界線があいまいだからダメ」「ワーケーションできない職種の人と不公平だからダメ」ですって?

そうですか。それはそれは、ごきげんよう。
(意訳:そんな頭古いこと言って思考停止しているから、いつまでたってもイノベーションもDXもできないんじゃないっすか?