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地域・コミュニティ活性の鍵は「目的外利用」に寛容になることだと思う

さまざまな地方で私が感じていること。

地域の公共施設や公共空間、もっと言ってしまえばコミュニティそのもの。従来の目的に特化せず、多目的な利用をOKとすれば良いのにな、もったいないなと思うことしきり。

ある地方都市での出来事をお話しします。
水辺の景色の良い公園があり、その一角をトライアル的にでもワーキングスペースやラーニングイベントで利用できないか? こんな話が地域のイノベーターと盛り上がりました。市の担当者も乗り気で、検討を試みたものの……

公園の管理を市から受託している、指定管理業者が難色を示して頓挫。

市の担当者が頭を下げても(なぜそこまで低姿勢なのか謎ですが)、首を縦に振ろうとしない。

「従来の公園の利用目的にそぐわない」
「前例がない」
「例外的なことをやりたくない」

ううん……。なんだかなぁ。

この指定管理業者の気持ちもわからなくはないです。
いままでのやり方で維持運用していれば、稼ぎは得られますからわざわざ新しいことをやる理由などない。「言われたことしかやりたくない」マインドセットも強いのかもしれません。

しかし、地域で新しいことにチャレンジしたい人や行政の担当者とのディスカッションに応じようともしない。それってどうなんですかね。

「こういう人たちが、地域やコミュニティの発展を阻害するのだろうな……」

私はなんともやるせない気持ちになりました。

せっかく良い施設があるのに、もったいない……

この手の話はさまざまな都市で見聞きします。

施設を従来の目的外で使わせたくない。もちろん、地域や施設のブランドイメージを守るため、事故を起こさないため、あるいは既に目的内の利用客で繁盛している……など合理的な理由があるなら分からないでもありません。

しかし、そういう施設はたいていの場合閑古鳥が鳴いている……

巨額な投資をして作った立派なハコモノや、維持管理費を投じて整備している公園が、(特に平日は)空気だけを保持しているのです。

これこそお金の無駄遣いではないですかね。

私は、地域やコミュニティ活性の鍵の一つは「目的外利用に寛容になること」だと思います。

たとえば学校の校舎の一部を大人の学び舎として活用したり、市役所の庁舎の一部をワーキングスペースとして一般の人(民間企業に勤務する出張者など)に解放したり、そのような「目的外利用」を促している地域施設もあります。

施設や維持管理費の有効活用になりますし、利用者(地域内外の人)とその地域との接点や滞在時間が増えることで、地域活性にも間違いなくつながるでしょう。

「シェアリングエコノミー」なる言葉があります。それは何も「カーシェアリング」のように、ものの所有をやめることだけではなく、施設の目的外利用のように、目的の異なる人たちがものや施設や空間をシェアすることも意味するのではないでしょうか。

その意味での、シェアリングエコノミーの考え方が地域やコミュニティにも広まって欲しいと切に願います。

ホント、地方をクルマで走っていると「もったいない」施設をたくさん見かけるんだよなぁ。お願いだから、もっと解放してくださいよ……
(せっかく、きれいなトイレも、電気も空調設備もあるのに、そして係員もいるのに)

※このテーマ、2022年3月発売予定の新刊(「越境」がテーマ)でも詳しくお話しします。

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