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#短編小説

人生で一度は、眠れない寒い夜に外を歩くといい

人生で一度は、寒い夜に、寝るのを諦めて外を少し歩くといい。お気に入りのコートを着て、服は…

北木 鉄
3年前
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『耳をすます』

北木 鉄
3年前
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鬱花 [短編]

 歩けども歩けども、右から左から百合の花が押し迫り、いよいよ怖くなってきた。振り返れば、…

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『罠』

北木 鉄
4年前
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【短編】みず

「それそこらですくった泥水です」  一杯千円をとるログハウスのしつらいをした喫茶店の初老…

『私の知らない夫』(短編小説)

「ねえ・・・」 「・・・」 「ねえ? ねえってば! 」 「ん? 」 「もうっ、さっきから呼んで…

『たいら』

【短編】観察

 休日出勤。その帰り道。人生の栄光を手にしたことがない三六歳。男。ぬるい夜風に絡まれ住宅…

短編小説 『僕らの銀河鉄道の夜』

『天の川銀河系 Z4016号特急列車にご乗車の皆様にご案内申し上げます。本列車は間もなく、次…

考え之介
4年前
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『通り雨』(短編小説)

「また雨か。ああ、最悪や」 明日の天気予報を見た風花はそう呟いた。気象予報士のお姉さ…

【短編】ヨハンとアデルの朝

早朝の広場で青果店の店主が腰を抜かしたとき、ヨハンとアデルはまだ目を覚ましていなかった。…

明後日
4年前
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『漂流』(短編小説)

私は「文庫本」である。 背中には値札シールの剥がし跡が残っている。そう、私はブック…

泡沫のゆめ

はばたきを忘れないで。 と先生は言った。最後にそれだけ言って、もやで覆われたとびらのむこ…

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短編小説 『声の紙飛行機』

「たまには会うか。」 私は彼からのメッセージに既読を付けるも、しばらく返信をしなかった。早く返してしまうと、自分の気持ちを見透かされてしまう気がした。でも返信を先延ばしにすればするほど、自分の気持ちが炙り出されてしまう気もした。 不意に、携帯を持つ自分の手が微かに震えていることに気づく。自分の身体のことなのに、目で見て初めて震えに気付くだなんて、頭と体が二つに裂かれてしまったような気がして、うすら寒い。 私は小学校の頃に一度だけ、彼と手紙のやり取りをしたことがある。やり