短編小説 『声の紙飛行機』
「たまには会うか。」
私は彼からのメッセージに既読を付けるも、しばらく返信をしなかった。早く返してしまうと、自分の気持ちを見透かされてしまう気がした。でも返信を先延ばしにすればするほど、自分の気持ちが炙り出されてしまう気もした。
不意に、携帯を持つ自分の手が微かに震えていることに気づく。自分の身体のことなのに、目で見て初めて震えに気付くだなんて、頭と体が二つに裂かれてしまったような気がして、うすら寒い。
私は小学校の頃に一度だけ、彼と手紙のやり取りをしたことがある。やり