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【詩】花が咲かないせいで

帰り道
小さい雲が重なって、空を二重に見えなくさせる
いままで持っていた誇り
もう無くなってしまった
この世の何処かに居る悪戯な子供が
彫刻刀で削って消してしまったんだ きっと

前を向いて歩けない
後ろを向いたら暗闇だけど
どうしてもそちらに体が向かう
黒い蝶々が小さな羽音で 僕の体を傾けているのだろう

何が僕にあるのかな
何が僕に出来るのかな
またあの頃に戻りたい
こぼした醤油の付いたTシャツ
僕がまたそれを着るのを 待ち望んでこうなったんだ

昨日に また一歩進む
一昨日に また一歩進む
体は今のここに居るけれど
僕の居場所は一年前だ
はやく一年前まで進みたい

今日は寝たくない
この夜を感じて
この夜に押しつぶされて
夜が毎日やってくるのは いまの僕を作る為だった
こんな僕になるように 夜は毎日ほくそ笑んでいた

ああ
僕は何も悪くない
いつも何かが僕をおとしめる
そんな嘘を付く自分を
作り出しているのは
多分、一年後の、僕なんだ

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