味が違う

 二週間経っているじゃないか、と。

 ここ数日空いた時間でデスクトップの前に缶詰になりながらLogic proとキーボード、時々ベースと時々ギターを繋いだり繋がなかったりしながら、ああでもないこうでもないと日進月歩してるんだかしてないんだかわからない日々を送っていた。気がつけばプライムセールで買った二十四本入りの炭酸水は残り十本を切った。燃料切れが近い。

 炭酸水といえば、今回セールでの注文時にうっかりと「レモン風味」を選んでしまった。
 だが私の頭の中では通常の炭酸水を頼んだつもりでいたので、我が家に到着した時に何気なく飲んで思ったことは「なんだこれ、古くなってる?」だった。古くなっているわけなんてない。そもそもただの水なのに古くなると酸味が出てくると思っているのは偏見でしかない。全くもってレモン味の炭酸水側からしたらとんだ営業妨害だ。

 それはともかく、思い込んだものと違う味がするというのは結構な苦痛で、ガブガブと毎日のように口にしている炭酸水でさえ、無味のものを想像してレモンのような風味がしただけで半分くらいで調子を崩してしまった。思えば昔も似たようなことがあった気がする。視覚と嗅覚によるイメージで味の大半が決まっているそうだが、やはりその前提部分に異常を来すといけないらしい。なんだったか、かき氷のシロップも全部同じ味だよ、という噂を夏祭りの度に聞いた気がする。実際どうなのかは知らないが、その辺は夢と浪漫とシチュエーションだから崩さないで欲しいと思った記憶がある。

 まあ、そんなわけで今日も私は意図せず注文してしまったレモン風味の炭酸水を片手に携えながら曲を作り続けている。進捗としては、フルコーラス+アレンジ最中のものが一曲、その他に二曲ほどぽろりと転がり出てきた。
 なんだかんだで「You & i」と「傘の惑星」を作った時にひと段落してしまったところが大きかったようで、そこから再びアクセルをかけるのが非常に難しかった。何作ろう、と思っても何も思いつかないのだから、活動まもないくせに出涸らしになり、諦めて好きな曲の断片をコピーしたり、あまがさの外側でやっている楽曲を弾いて「うおー、弾けてるぞー!」と気分だけ乗せていた。練習も兼ねてはいたけれども。

 ただ、まあどれだけやっても出ないものは出ない。仕方ないし、元々自分の好きな曲を作って出すと決めた以上、無理くりに何かを出すのも嫌だな、と思っていたのである意味では良い休息期間だったのかもしれない。それこそ聴いてもらえる曲とはなんぞや! みたいなところから着手してみたりもしたけれども、前述の「自分の好みと乖離している」感覚で調子を崩し、結果うまく形にもならなかったり。こういうところでしっかりと自分の好きとトレンドを融合できる人は強いなあ、と思いながら少し曲作りから離れてバイオハザードやったりして回復を待って、今に至る。

 今一度自分の好みに立ち返ろうとapple musicのランキングから自分のライブラリに切り替えてからも調子が良かったりする。the band apartの新譜良かったし、Alexandrosも良かった。スーパーオーガニズムとか名盤だった。Nothing but thievesとかROYAL BROODとかめちゃくちゃカッコ良かった。
 何事もやり過ぎて意識と身体が乖離するのは良くないんだなと思った数ヶ月だった。勿論自分を客観的に見られるビハインド視点も良いけれども、たまには一人称にも戻るべきだと思う。バイオ7プレイしてそう思った。

 夏に爽快な曲を、とか思っていたけれども果たして出来るだろうか。感覚的に秋ぐらいに何かあまがさで出せるのではないだろうかと思っている。この名前で未だに梅雨の時期に何も上げられていないところがなんだかなぁと思っているが、元々シーズン狙えるほど器用でもないので偶然と奇跡が合致する"いつか"を待ちながら作業を続けることにする。
 最近はようやくレモン風味の炭酸水にも慣れてきた。違和感を馴染ませるのも大事な作業なのかもしれない。

 さて、ようやく先日バイオ7が終わった。
 今年の夏はバイオ8で暑気払いだ。



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