小松正樹

小松正樹

最近の記事

自由律俳句(8/27)

溜め込むばかりも勿体ないので 反射に基づく浮遊 寝起きは魂が柔い弱いともいえる ×を入れるために仕上げる書類 実はこっちのポッケの方が安心なのだ 膣液の香を纏った左手 帰路を掻き分け出勤する 不在の在もまだ遠く 普通に引くわってなんだちゃんと引けよ 命と野球とお笑いと恋と 何万回してもオナニーのしょうもなさって変わらないよね 早朝にも蝉は鳴くんだな 脳内落差は愉悦の肴 じゃあ君は生活を進める係ね 覚えてたというより思い出したんだ 泣いたふり初心者

    【散文】 オリオンの透ける朝焼けに

     これで最後にする。  結果を残せなければ、僕の文章は自己満足に過ぎない。  ほら何も変わらなかった。何も終わらなかった。  どんな理屈をつけようと、やめたらお前の負けなのだ。  敗者に言葉など許されない。  それでも、ただ一人に届いてほしいと願ってしまい、  この文章を、この場所に捧ぐ。  だらしのない現在地を、露呈する。  僕は未だ、何も分かっていないようだ。  どこにも進めていないようだ。  だから、この重さに、さらに深く潜る。

    【散文】 オリオンの透ける朝焼けに

    今週の自由律俳句(8/3)

     はじまりが絶頂の季節ばかりで  バカのふりしてるバカだバーカ!  みなまで言えよバカなんだから  そんなんもあるけどそんなんだけじゃない  聞き返した時点で腐らせていた君の愛  一番浅はかだろ泣いてるときの僕なんて  えほんがきびしい  寝よう追い縋るほどの今じゃない  ポッケん中の家鍵みたいな貧乏自慢だね  ひどいこと言いたくないからあっち行って  今この瞬間もきっと、何かを間違い続けている  汚部屋の隅で入念に洗う鬼頭  てんきがよすぎる  妬

    今週の自由律俳句(8/3)

    【散文】 重たい反射

     悲しみを感じることはできても、悲しみを纏うことができない。  容易に「本当」などと抜かすくせして、とことん本当に弱い。  現実の事だ。  こんな夜に手を伸ばす現代作家がいる。  彼女は今も、この世界のどこかで、息をしている。  彼女に手足を縛られ、硬い髪を撫でられ、強く鬼頭を握られる。  雨雲のような両腕に抱きしめられる間、お利口にも僕の性器は反応し、その癖涙を流し、  ああと喘ぎ、ああと叫ぶ。  怖くて、ああ気持ちよくて、「今」が怖くて、本当に、本当に気持ちがよくて、

    【散文】 重たい反射

    今週の自由律俳句(7/27)

     言葉を追っては綴れないのよ  風は吹けども悲しみは纏えず  貧乳美尻か猫背巨乳しか勝たん  美乳に逃げるなはっきりしろ泣くぞ  しばしご歓談の絶望  イチローと永野は笑わない  あー大谷翔平はそこのゴミでも拾っといて  ミスした根暗がツボに入っている  その二の句が殺した命に気づいているかい?  故郷からの枇杷を腐らせ捨ててしまった  別居と死別の前では童貞が霞む  喪失を奮い立たせるなんて変な話ね  致命的な改行も笑える今日は貴重だ  朝焼けに透

    今週の自由律俳句(7/27)

    【随筆】 大阪旅行

     僕の内側にささやかな決定を施した、そんなバンドに会いに行った話。  煙が目に入るからと、正面を見ながら俯く術を覚えた話。  即ち、「今」の話。  大阪城公園に着くと、まず喫煙所を探した。調べてみると、マナーさえ守れば禁煙というわけではないと分かった。木々に囲まれた道を奥へ進み、出来るだけ目立たないベンチに腰を下ろしたが、それでも周辺には何人かいた。  灰皿がなかったので、飲みかけのペットボトルで代用する。赤子を抱いた父親が、こちらに乾いた視線を投げ、通り過ぎていく。検索し

    【随筆】 大阪旅行

     一人では存在意義を発揮できない、残念な言葉達  これ以上は手に負えぬと毒親にこじつけられた  憐れで不幸な言葉達  居処を求め、身を寄せあい、束になる  「間に合わせの盾にするくらいならば」と  毒親は、唄で耳を塞いでしまった  晴空へ放たれ浮遊する  花まで遠い、言葉達

    今週の自由律俳句(7/20)

     おじさんとチャットしてたのかもしれない!  地団駄踏んでもあの人はそうなんだよ  眼前の果てに机  手持ちの果ては逃避の末路ばかり  足跡を反対に踏むここにいたいからだ  溺れても委ねることはないように  冷静に考えれば希望が見えてないだけ  披露宴ではハメ撮りを流すそれで全部わかる  スピーチ中に2番手の友を探す  むうメンソールはなかなか減らないな  素人ものしか勝たんとほざいてたあいつ  若気の至りかぁこないだそんなAVみたわ  この未達をどん

    今週の自由律俳句(7/20)

    【随筆】 区民プールにて

     半年ぶりに訪れた区民プール。  コンタクトをしてくるのを忘れたから、仕方なく裸眼で泳ぐことにした。「迷惑だけはかけないように」と数秒善人ぶり、帳尻を合わせた。せっかく来たのに、泳がずに帰るわけにはいかなかったからだ。  プールサイドに出ると視界が拓けた。ぼやけた世界が思いのほか心地よく、エゴイズムが軽やかに移動する。高揚が大きい。  変哲のない25メートルプール。 屈伸に伸脚、アキレス腱と肩回し、腕回し。入水。  勢いよくクロールしたが、最初の息継ぎで、首に衝撃が走る。  

    【随筆】 区民プールにて

    小松

     気づけば喪失にすら、安心感を求めてる。  踏ん張ってたはずの「軸足」が、こうも容易に霞む。  そうじゃない。  ちゃんと両足で立て。両目で見ろ。  中身なんかいらん。  背負うモノなど、もう何もないだろう?  お前の「一生懸命」が、つくってきた歴史だろう?

    今週の自由律俳句(7/13)

     氷すら解けていなかった  朝から見限るようなこと言うな  消すために点けた蛍光灯  触っても舐められても主役ヅラの女優  死ねと言ったら生きると言われ泣いた  トマトの代わりに擦りむいたよ  ユニカビジョンに苛つけるまだ余裕がある  二階から落とす不誠実の亡骸  徹夜をしたドジョウ味の口だけ残った  それがあなたの一生懸命の結果です  拭き取る前に雨が流してた  恥≒無様  恥ずかしいこと≠カッコ悪いこと  ニアリーイコールって言いたいだけだろ

    今週の自由律俳句(7/13)

    【散文】 鳩も呻くから

     考えない時間を、つくろうと決めた。  不眠に見舞われ、社会生活に支障をきたしたからだ。  恥ずかしいほどにありふれた、つまらないきっかけだった。  眠れない間、脳味噌は嘘のように熱くて、電源を奪われた扇風機のように、猛スピードで回り続けていて、とても怖かった。  四肢は全く動かないのに、首から上だけが生きているみたいで。  でも本当はそこだけが死んでいたんじゃないかと、全く理に適わない道のりで「脳死」という言葉を、初めてリアルに連想したりしていた。  一連の苦節に満

    【散文】 鳩も呻くから