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詩を書く授業をとりました。その記録です。
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循環

レシートが長いなと感じたので
少し焦って眺めると半分以上は割引券でした
ああと声を漏らして捨てました

捨ててあったくしゃくしゃのレシートを取り出して
まっすぐに伸ばして
綺麗に折って財布に入れました

朝靄

ざらついた
くすんでいる
にじむ

それくらいがいい

見えすぎてもいいことない

それくらいがいい

開いたままの玄関から

お久しぶりですと正座をしながら挨拶をして
大きくなったと声を掛けられて
時間の流れは速いなんて話して
若いうちに何でもやりなさいと言われて
座布団を並べながら部屋に漂うお線香の香りに包まれ
冷えた足が沈む畳

部屋全体を見渡してこの空気を吸ってみると
戻るんです

背伸びしなくても届くようになりました

臨時で犬がいる

私が家を出る分、もう1人増やすのはどうだろう

7時間勤務という言葉におびえ終えて店を出ると日が落ちていた
顔が瞬く間に冬に覆われた 

家に帰ったら犬がいるらしい
お試しでおばあちゃんの家から来るらしい
わんと吠えられたら
慣れていないです吠えられるのに
という顔になりそうです

臨時で犬がいます
今日も私の視界に犬がいます
人間みたいだなと思います

来世は犬になる

ガムに噛まれた奴

擦れたかかとに気を取られていると
目の前に車が止まった
行く道を邪魔してきたような気がして
いらいらした私は
バックミラーをばれないように軽く殴った

銀のスパンコールと少し伸びた睫毛

シャンプーの匂いがすると言われた日は
自然と前を向くことが出来る

寝ている睫毛を指でなぞると冬になるから
一緒に布団にもぐりたくなる

自分と同じタイミングで鳥肌が立つ人がいる
嬉しさを噛み締めながらの帰路

いつもより高めの珈琲を頼むあのときめきと
年末の自分への甘やかしを
どうかお許しください

顔を見て微笑み合う日常
そんな銀幕の世界がくることを願って

靴下が濡れた話

時計を見飽きた頃
雨に降られた
と言って非常口から入ってくる

じめっとした味が好きなの

コーヒー片手に語る時間は湿地のようで
私たちはどろどろに溶けた

手のひら

目を開けると大きくて
目を擦ると声が聞こえる
上から見ている2人を思って呟く
畳と線香と布団の匂いが混ざり合う

おはよう

おはよう

二重構造

カラオケの履歴を無意識に見る
前のお客さんは50歳くらいの人かな

前を向くとピンクが笑っていて私も笑ってみる

うまくやってるじゃん
と感心してきてどんどん相槌をして
聞き上手に成り上がってみたり

手持ち無沙汰な時間を無駄にしていない気がするように文字を書いてるふり

洗濯物が揺れている

慈しみのあの感じ

鼓膜が膨張して
世界の音がねじれて
金箔が舞うあの光景は
あまり慣れない

流すのか発するのか

今日も合図を待っている人がいる

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黒のずっと奥
背中に流れる
水のように形を変えていく 

まだわからなくて

気がつくと夏になった

湯船

手のひらで触れたそれはひんやりと冷たく
同時に鼻の奥がつんとした
私と正反対なあなたは
私の無意識という演技に気がついていて
時計の針の音を大きくして

あなたを感じた日
白く濁ったお湯の中に頭まで沈んだ