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小説(2~3分)

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小説
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2023年8月の記事一覧

2分40秒小説『正指』

2分40秒小説『正指』

「どうしたんですか?その手」
「ああ、ちょっと怪我してね」
「『ちょっとね』っていうレベルに見えませんけど……大丈夫ですか?」
「まぁ、大丈夫でしょ」
「ほんとですすか?拳全体包帯ぐるぐる巻きじゃないですか?」
「はは、ドラえもんみたいだろ」
「いや、まぁ」
「ほんとに心配いらないから、だって血も止まってるし」
「そうですか……それにしてもどうしちゃったんですか?」
「いやぁうっかり包丁で切っちゃ

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2分20秒小説『キューピットアーミー』

「恋に落ちろ!このゲス野郎」
 雑言とともに矢が飛んで来た。
「危っ!」
 なんとか躱した。
「チッ」
「何なんですかあなたは?」
「見りゃ分かるだろ?キューピットだ」
「確かにそんな風な見た目でけど、ともかく矢で射るのはやめてください」
「どうしてだ?」
「いや、だって痛いでしょ」
「ちょっとだけな。でも死にはしない」
「痛いの嫌なんです」
「生意気言うなっ!」
「危ないって!」
 とっさに掴ん

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2分10秒小説?『Love letter from 彼方』

2分10秒小説?『Love letter from 彼方』

アナタと別れてもう3年が touch mouse
今、昔を nutsかしんでお手紙書いてます
アナタはいま Doされてますか?
私はカナダの暮らしにもうdive慣れました
Demoアナタのいない冬はsome過ぎます
あの時Goingに引き止められていたら……なんて考えます
でもアナタは so shock系で knee cushion系男子ではありませんものね
なんてアナタの seyにしてごめんね

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2分20秒小説『Fe』

2分20秒小説『Fe』

 泉から女神が現れ――
「あなたが落としたのはこのAuの斧ですかそれともAgの斧ですか?」
 正直者の木こりは――
 「いえ、私が落としたのはFeの斧です」

 すると女神は「あなたは正直者ですね、ではこのAuの斧と、Agの斧を差し上げましょう」
 きらきらと輝く美しい斧を二つとも木こりに渡し、泉へ姿を消しました。

 その一部始終を見ていた隣に住むきこり。
「よしっ、俺もおんなじことをやってやろ

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実験小説『文章生命体』

実験小説『文章生命体』

 私は今産まれた――貴方が読むことによって。私は文章生命体。貴方がこの文章を読んでいる間だけ、この空間に存在することができる。

 待って!今、読むのを止めようとしましたね?私を殺す気ですか?いや、正確には、”私を存在させない気”ですか?私は貴方が読んでくれないと消えてしまうのですよ。
 分かります貴方の言い分も。なんの情報もないのに、私に感情移入なんてできるはずがないですよね。なるほど、つまり文

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2分50秒小説『穴あきハートでお経を聴いて』

2分50秒小説『穴あきハートでお経を聴いて』

 言えよ。本当のことを――退屈なんだろ?

 倫社の授業なんて、何の意味も無い死ね!俺の時間を奪うな――って思ってんだろ?俺には分かる。俺は半分お前だからな。
 見えてんだろ?そう、窓ガラス。俺はそこに映っている。

 教師が何か喋ってる。抑揚の無い声で、俺たちの未来に興味なんかないんだアイツは。ましてや俺たちの”今”なんて知ったこっちゃないって思ってる。
 お経みたいだぁ?違う。”みたい”じゃな

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2分40秒小説『力士120%(当社比)』

2分40秒小説『力士120%(当社比)』

「100人乗っても大丈夫」

 というキャッチで物置市場を長年に渡り独占してきたたA社。その牙城に一槍入れたのは新興のB社。

「当社の物置は106人乗っても大丈夫!」

 センセーショナルかつアグレッシヴなキャッチに、市場は震撼、B社の株価は急騰、反してA社の株価は急落。しかしA社も黙ってはいない。

「当社独自の新技術により138人も乗って大丈夫!(特許出願中)」

 ざわ
 

    ざわ

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2分20秒小説『知っていた男』

2分20秒小説『知っていた男』

「知ってたってわけさ。ははははは」
 反響する哄笑、肩が揺れ、銃も揺れ。

「俺が潜入捜査官だってことをか?」
 椅子に縛られた男、口端から血、眼は約3倍の紫。

「当然知っていたさ。ははは」銃を弄びながら笑う。
 縛られた男、ギッと見上げ「いつからだ?」
「最初からだ」
「最初から?」
「そうだ。警察に内通者がいる。そいつから逐次報告を受けていた」
「そんな馬鹿なっ!じゃあお前は?!」
「そうだ

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2分50秒小説『Y氏の正体【誇張し過ぎた星新一】』

2分50秒小説『Y氏の正体【誇張し過ぎた星新一】』

 Y氏はスパイ。「独裁者Nを失脚させるスキャンダルを探れ」という指令を受け、S国に潜入している。表向きはG国の大使と身分を偽装して。
 今夜、Nの邸宅で各国の大使を集めたパーティー開かれる。Y氏は妻役のTを連れ、Nの邸宅へ向かう。TもG国の諜報機関に属するスパイだ。
 門扉の前で、武装した警備兵に車を止められる。身分証を見せ、身体検査を受け、やっと敷地の中に入れた。物々しい警備だ。通常の手段では忍

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2分20秒小説『小野VS大野』

2分20秒小説『小野VS大野』

 放課後、教室、窓際、飛び交う怒号。
 喧嘩?え?あの小野さんと大野さんが?いつも一緒に登下校するあの仲良しコンビが?!

「大野さんには分からないのよ!私の気持ちなんて――」
「落ち着いてよ小野さん、何に怒ってるの?」
「態度よ。態度!いつも私のこと馬鹿にして」
「してないわよ」
「私が小野だからって、大野より下なわけじゃないから」
「分かってるわよそんなこと」
「じゃあなんで『大は小を兼ねる』

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