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Alma
2020年5月4日 22:01
父・縁側・光 「眩しい!」私は叫んだ。 せっかくの土曜日だというのに、部屋に入り込んだ無慈悲な光によって起こされた。 おかしい、この部屋には窓が無い。日差しなど入るはずがないのだ。 だが、次の日も謎の光は私の眠りを妨げた。優雅な休日を守るためにも、なんとかしなくてはならない。私は調査に乗り出した。 調査の結果、光が差すのは休日の6:00〜6:05分の5分間だけであるこ
2020年5月4日 21:57
雷雨 怪物 コーヒー 「ゴロゴロッ!」どこかで雷が鳴る音がしている。確か今日は雨の予報だったが、雷雨だとは。 「吉岡さん、今日はもう閉めようと思うから前にある看板片しちゃって。」 私はアルバイトの学生に声をかけた。この雨ではお客さんも少ないだろう。彼女には申し訳ないが、閉めたほうが店のためというものだ。 彼女は、了解しましたと元気な返事をして、軒先にある「野崎コーヒー店」
2020年3月17日 18:46
猿 魔法使い 市場 私がはじめて魔法を見たのは街の初等科学校に通いはじめたころ、母に連れられて行った市場でだった。市場には色とりどりの野菜や果物が売られており、中央にある広場では旅芸人がさまざまな芸を披露していた。 私はそのなかで一際目立つ格好をした魔法使いを見つけ、母を引っ張り、連れて行った。 魔法使いは私を近く呼び寄せると、檻に入った猿を指差し、 「いまからこの猿に魔法