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【薬剤師が解説】紫外線がアトピー性皮膚炎にもたらす影響

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

紫外線は
『アトピー性皮膚炎(以降アトピーと略)の悪化につながる』
『ステロイド外用剤塗布部は紫外線に触れさせるな』
といった意見を耳にしたことはありませんか。

実際はどうなのか
正しい情報をもとに勉強していきます。

1.アトピー性皮膚炎と紫外線

結論から言うと
過度の太陽光(紫外線)の曝露は
アトピーの悪化につながると言われています。

これは、紫外線により皮膚バリアが
低下する
可能性があると報告されています。

また、紫外線のみならず
太陽光の一部である赤外線の作用によって
皮膚表面温度が上昇し発汗
することで
湿疹病変の紅斑や痒みが増強する可能性もあります。

そのため、以下の対策が必要です。

・紫外線の強い季節は長時間の外出を避ける
・帽子の着用、なるべく日陰を歩く

5月から8月の時期、日中は10時から14時頃は
紫外線が強くなりやすいため注意しましょう。

一方で
紫外線には皮膚の免疫に関する
細胞の働きを抑制する作用があります。

この作用で
アトピーの皮疹を軽快させる効果が
期待できるとも言われています。

実際に
医師の管理下のもと紫外線療法
行われることもあります。

2.日焼け止めはアトピー性皮膚炎悪化予防になるか

日焼け止めの使用は
ガイドライン上でも勧められています。

その中でも
紫外線吸収剤を含まない(ノンケミカル)
サンスクリーン製品
を使用すると良いとされています。

今回の議題には挙がっていませんが
日焼け止めの選択ポイントも下記に示します。

①日焼け止めを選択する方法

紫外線防護指数(SPF,PA)ある程度高く
ノンケミカル、紫外線散乱剤を含有した製品とされています。
※「SPF」は紫外線のうちUV-Bを
 「PA」はUV-Aの防止効果を示す指標

②日焼け止めを選択する際のポイント

日常生活ではそれほど
数値の高くない日焼け止めで十分
です。

日焼け止めとは表示されていなくても
日中用の乳液・クリームなどで
SPF・PA表示のあるものも有効です。

一方、紫外線の強い季節に
かなり長時間戸外に出る場合
炎天下でのスポーツ 、 海水浴などには
高い効果を持つものが有効です。

汗をたくさんかいたり水に入る場合には
耐水性の高いものを使いましょう。

環境省「紫外線 環境保健マニュアル」参照

塗る際の注意点
①ジュクジュクした部位
激しいかゆみを伴う部位は避ける。

②初回は耳の後ろや腕の狭い範囲で使用し
異常がないか確認することが大切です。

3.ステロイド外用剤と紫外線

今までの話から
ステロイド外用剤使用の有無に関わらず
湿疹をはじめとする炎症性皮膚疾患の部位は
日光に当てない方が良い
と言えます。

炎症のある部位に紫外線が当たると炎症後に
色素沈着が強く出てしまう可能性があります。

ステロイドを塗ったことで
色素沈着を引き起こすのでないと考えられています。

4.いつき博士の考察

今回勉強したことから
以下のことがわかりました。

①過度の紫外線がアトピー性皮膚炎の
悪化につながる可能性が高い


ステロイド外用剤の有無にとらわれず
炎症部位を紫外線にさらし過ぎないことが大切

③夏場や日差しが強い時期は皮膚に合うもので
紫外線防護指数を考慮した日焼け止めを使用

間違った情報にとらわれずに
信ぴょう性のある情報を入手することが
治療を円滑に進めるために大切ですね。

《参考文献》
アトピー性皮膚炎ガイドライン2021
環境省「紫外線 環境保健マニュアル

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