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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫 第十一話 変化の現れ

前話

 あれから数日、カタリーナは何もフィーネペルルにもヴァルターにも言わなかった。いつものように朝、一緒に食事を取る。その前にフィーネペルルはエルマとエルフィの散歩にヴァルターと共に行く。
 今まで、朝食の席には暗い表情で来ていたが、最近、目に見えて明るい表情を見せるようになっていた。ヴァルターを護衛につけたのがいい結果として現れ始めていた。フィーネペルルも、起きて一番自分の顔を見ると気が憂鬱になっていたが、すぐに切り替えられるようになっていた。ヴァルターは異端の力があっても毛嫌いしない。そっと見守って昔、父と姉と三人で暮らしていた穏やかな生活の事を話しなどして、フィーネペルルは気が楽になっていた。優しく楽しい家族の生活を聞くと自分もそんな気になるものだ。
 そして、フィーネペルルは自分の家族を思い起こす。これまで優しく見守ってくれていた両親。そして従姉妹のカタリーナ。カタリーナはヴァルトと同じように両親がいない。自分には両親がいる。それがどれほど恵まれているか、この戦のある世界の中で思い返すようになっていた。そしてそれは行動にも表れていた。より一層、フィーネペルルは優しい態度で家族や侍女達に接するようになっていた。
「フィーネ」
 父が呼ぶ。ここは穏やかな朝食の場だ。手を止めて小首をかしげて父を見る。
「最近、明るくなったな。ヴァルターは役に立っているのか?」
 父親の言いようにフィーネペルルは目を丸くする。
「役にとは……。ヴァルトは人間ですわ。もののように扱うのは……」
「物のように扱うわけではないが、少しフィーネが変わった。それはヴァルターが護衛に付いてからだ」
 そう……、とフィーネペルルは考えながら言う。
「そうですわね。少し変わったこともあると思います。あれほど嫌だった鏡がそんなに嫌ではなくなりました。ヴァルターの助言で泉の水面に映る自分の顔が普通の女性の顔に見えるような時もあります。心が少し、すっきりしたというか、なんというか……」
 フィーネペルルが言いよどむと父はにっこり笑う。
「そんなに考える必要はない。良い方に傾いたのだろう。引き続き、ヴァルターをお前付きとしよう」
 そして、母と同じように優しい表情でフィーネペルルを見ていたカタリーナの方に向く。
「あの、記憶を失った側女はどうなった? カタリーナ。記憶はもどったか?」
 少し心配げな表情を浮かべてカタリーナが言う。
「まったくですわ。考え出すと頭痛が始まるのです。ただ、ヴァルター様のお姉様と同じほくろを持っているとわかりました。ヴァルター様と会わせてよろしいですか? 陛下」
「陛下はやめなさいと言っているだろう? おじ様ぐらいにしなさい。そうか、ヴァルターの言っていた姉と特徴が似ているのか。フィーネ。一緒に立ち合って会ってみなさい。何か、わかるかもしれない。ただ、ヴァルターが弟というのではなく、ただ、話を聞いてみなさい。刺激は無用だ」
「お父様。いいのですか?」
「マリアにも記憶がないとつらいだろう。何かのきっかけで戻って元の暮らしに戻らせた方がいい。あの側女は生粋の町娘などではない。おそらく……、騎士の娘だっただろう。武術の心得がありそうだった。手にまめがある。剣を握ったことがあるはずだ」
 父の観察眼に恐れ入るばかりのフィーネペルルとカタリーナである。
「それでは、さっそく」
 慌てて立ち上がったフィーネの香茶のカップが揺れた。香茶がはねる。
「あら。私ったら……」
 以前なら、自分の失態を一片たりとも許せなかったフィーネペルルは今の出来事に寛容になれた。自分でそんな自分を驚いて、シミの付いた袖をじっと見つめる。
「あらあら。フィーネったら。慌てなくてもヴァルター様は逃げないわよ。フィーネしか目に入ってないもの」
 カタリーナの言葉に驚愕の表情になるフィーネペルルだ。
「まだ、気づいてないの?」
「え?」
「面白いから、種明かしはまだしないわ。さぁ。二回目の泉の散歩に行く前に服を着替えましょう」
 最近、朝一の散歩と朝食後にもフィーネペルルは散歩に行っていた。その方が心が落ち着くのだ。普通の自分の顔を見て納得する。これがここ数日のフィーネペルルの決まり事だった。
 カタリーナに手を引っ張られ朝食の間を出て行くフィーネペルルである。両親はその後ろ姿を微笑ましく見つめていた。


あとがき

あとがきを入れるのを忘れてました。今日は漢検のテキストを始める日ですが、なんだか執筆に向きそうな。昼寝はしますが。足が痛くて買い物にも行けなくて休んだのですが(足が動かないとできない仕事)頭痛も吐き気もあり、いろんな症状がごったがえし状態です。

「緑の魔法恋の奇跡」割ったら一度寝ます。流石の朝三時起きは辛い。
朝も少し寝たのですが。ああ。ハードディスクが欲しい。2TBぐらい。家電量販店に行きたい。ハブも買いたいし。データーを新しく入れ直したい。

買い物に行こうかしら。と思うけれど足が……。甘い物が食べたい。家電量販店の一階にはスーパーが入ってます。というかホームセンターがオーナーでそこにスーパーやらいろいろ入ってるのです。

昨日ポータブルSSD買って入れたので他も新調したい。インクも買いたい。なんと、昨日クーポン見ればインクもSSDも割引があったんです。いつもの所でなく、面談の帰り際に寄ったいつもの所じゃないので知らなかったんです。いつもの所なら聞いてくれるのに。

しくしく。

今、パソコン病にとりつかれています。

治めなければ。

ここまで読んで下さってありがとうございました。。

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