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【ショートストーリー】男友達、その後

私が結婚すると知らせた時、
あいつは柄にもなく泣き顔の絵文字を送ってきた。
そして食事に誘ってきて
「相手はどんな奴なんだ。
  そいつで本当に大丈夫なのか」
なんて父親みたいに、私に問い詰めた。

結婚式では遠慮がちに隅の方にいた。
でも仲間に混ざって祝ってくれた…と思う。

結婚してからも仲間たちと一緒に何度か会った。
あいつの奥さんとも話したし、子どもにも会った。
お互いに出産祝いなんかも送り合った。
うちの子はあいつが送ってくれたおもちゃを
特別気に入った。
少し大きくなってから
「これ、くれた人だあれ?」
と聞くので
「ママの高校時代の友達でね…」
って教えると、
「その人、ママと結婚したかったんじゃない?」
なんて無邪気に言うからドキッとした。

子どもも大きくなって、
久しぶりにまた食事に行くようになって
仲間と15年ぶりに会ったけど、
会えば高校時代の私たちだった。
段々みんな帰って、
あいつと2人になっても何も変わらない。

ただ、一度だけあいつが
「昔、おまえのことが好きだった」
と、私が結婚する前に言ったことがあった。
私も昔はそうだったけど、
そのタイミングで言われても、
何もどうすることもできないと思って
笑ってはぐらかした。
少しだけ嬉しかったけど、
あいつの家族を壊してまで
突っ走れるような若さと情熱はなかった。
私には愛情にも似た友情が
着実に育っていたんだ。

時は過ぎて時々会っても
まだなんでも話せる私たち。
お互いのパートナーより長い歴史があって
制服のままファーストフードで
煙草を吸う練習なんてしていた頃を
お互いに知っている私たち。
多分おじいさん、おばあさんになっても
なんでも話せる間柄なんじゃないかな。

パートナーでもない、
昔の恋人でもない、
男友達という立場のあいつ。
なのに私の人生で重要な位置にいる
親友とも呼べる男友達。

©2023 alice hanasaki

こちら👆🏻の作品の続編です。

※この作品は創作であり、
私生活とは関係ありません。

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