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イールバース

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すべてはイールなのだ
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#イール小説

アナゴーゴン退治

アナゴーゴン退治

「YRRRRRRRRRR!!!」

ハルパーの曲がった切先が鰓穴に突き刺さり、ケルベモレイウスは身悶えた。最後の力を振り絞って、切断された2つの首と体でペルセウスに絡みつき締め付ける。アーマーの外から圧迫して中身を潰そうとしている。

ペルセウスは腰と肩を安定させ、ハルパーを発振させた。刃から発する高周波が筋肉を弛緩させて拘束をゆるめた。ペルセウスはハルパーを一気に引きぬいた。

「YRRっ」

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I became SAGA in 佐賀 4

I became SAGA in 佐賀 4

 海鮮旬菜酒家壱壘(いるい)は地下一階にある地元の食材を使った料理を提供する居酒屋だ。Googleの口コミも概ね高評価。さらに地ビールも出している徹底的な地元アピール。時間がまた早いのか俺とタイラダ以外にサラリマンの二人組しか客がいない。我々は注文を決め、料理を待ってる間に透き通った銅色のクラフトビール”IMARISI IPA”を堪能していた。

「お待たせしました。ワラスボお造り4つでございます

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我々がイブにウナギを食べるわけ

我々がイブにウナギを食べるわけ

 サイレンナイ、トホリーナイト。光害に毒されていない現代の都会人が想像するより万倍輝いている星空の下、走る影二つ。

 旅装束、布を紐で結び付ける異国身のなり。二人とも背に結構大きな荷物を背負いながらも、上半身が前のめりで、両腕を後ろに伸ばして振るわず、極めて特異な走り方で疾駆している。

「おい!そこ止まれ!」

 道路の先、関所からた衛兵がたいまつを持って立ちはだかる。年の瀬の時期に往来する人

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過激環境保護団体『オーシャン・クラフター』闘士へのインタビュー

過激環境保護団体『オーシャン・クラフター』闘士へのインタビュー

『実家はね、養鰻でしたよ。毎年のシラスウナギシーズンになると、家の手伝いをやらされたんだ。よるの川口で、凍るような風に耐えながら、黒い川水をライトで照らして、目を凝らしてウナギを掬いあげてた』

 とソファに座っている男、オーシャン・クラフター(OC)成員のY氏が語った。顔はモザイクで隠しており、声もボイスチェンジャーによって変えられていながら、物々しくタコとクラゲのタトゥーを彫り入れた両腕を胸の

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イールの愛と憎 #ppslgr

イールの愛と憎 #ppslgr

「今年の土用の丑は二日もあるってよ。今年はどんなイール小説が出来上がるか楽しみだぜ。なあホイズゥ。むしゃむしゃ」

 白い海軍制服の男はマヒマヒタコスを頬張りながら言った。同じにテーブルに座っている黒いチャイナ服のホイズゥはCORONAを呷り、「はぁー」とため息した。

「悪いけど。今年のイール小説は無しで」
「は?」

 海軍服は驚いて動きが止まった。生野菜とソースがトルティーヤ端からボロボロ落

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毎年の夏に起こるウナギ議論に対し私のスタンス

毎年の夏に起こるウナギ議論に対し私のスタンス

 こんばんわ。恐らく世界唯一のイール小説家のアクズメさんです。

 今年の夏は土用の丑が2日もあります。7/21と8/2です。漁師さん、養殖場、食品会社、職人さんが忙しくなり、飲食店にうな重のポスターが見られる頃、そしてSNSではそれを否定する言論が蔓延する。

 最も食用されているニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギのどれも絶滅危惧種にされている。ウナギの生態は未だに明らかになっていな

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箱入りイールズのライジング

箱入りイールズのライジング

「なぁ、錦野。この状況、どう思う?」
「ふむ……」

 くろだ水族館、太平洋エリア内にあるガーデンイール達が住む水槽の中、チンアナゴの長、花園とニシキアナゴの長、錦野がガラスの向こうを見ながら会話していた。

「一ヶ月まえから、外から我々に指差し、口をパクパク動きながら長方形の機械を向ける大きな人間と狂ったのように境界を叩く小さな人間が消えた。来てくれる人間は食事を運ぶ奴隷だけとなった。若者は脳が

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やはり旅は一人に限る【DAY2】【暗黒イール真実】

やはり旅は一人に限る【DAY2】【暗黒イール真実】

【DAY1】

二日目、朝8時30分。我々はパシフィコ横浜にいた。

一部のnoteユーザーの間はミーム汚染によって堕天使の根城だと認識している。詳しくはお望月さんへどうぞ。

さて今日はなにしに来たのかていうと、法王ダライ・ラマが今日から3日間、ここで説法を行うからだ。こん回はこれがあったから日本に来れたと言っても過言ではない。

開演はまだ半時間あるが、既にいっぱい並んでいた。ライブなど大型活

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