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福岡市と「アジア」と美術館と

全国的な知名度は不明ながら、福岡市には「アジア」と名の付くモノがたくさんあります。アジア文化賞、アジアフォーカス・福岡国際映画祭、アジアンパーティ(旧アジアマンス)、アジア太平洋こども会議、福岡アジア都市研究所などなど。

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直接的には、1989年の「アジア太平洋博覧会福岡‘89」が契機となりましたが、背景には、1987年に福岡市が基本構想として打ち出した「活力あるアジアの拠点都市」があるのでしょうし、さらに遡れば、1979年に開館した福岡市美術館の開館展「アジア美術展」も、そうした流れの源流の一つかなと。

当初は開館展として「アメリカ現代美術展」が準備されていたようですが、福岡市美術館建設専門委員であった小池新二さん(旧九州芸術工科大学学長)が、当時の世界的な美術界の潮流をみて、進藤一馬福岡市長に「アジア美術展」を提案。

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これに賛同した進藤市長は、1977年 、福岡市美術館をアジア文化交流のセンターにすること、また開館記念として「アジア美術展」を開催することを発表しました。

桧原桜の「花守り市長」のエピソードで知られる進藤市長。実は、戦前「大アジア主義」を掲げて、国内外に大きな影響力を持っていた政治団体「玄洋社」の最後の社長でもありました。それだけに、小池さんが提案した「アジア」という視点に惹かれたのかも知れません。

福岡市美術館の「アジア美術展」はその後回を重ね、そこで収集されたコレクションを母体に、1999年、福岡アジア美術館が新たにオープン。世界に唯一のアジア近現代美術専門館として、国内外の注目を集めています。

福岡市が「アジアの玄関口」という言葉は、当初は歴史的な意味合いが強かったように思いますが、現在では「外国航路乗降人員数」&「訪日旅行者(中・韓・台)の訪問地満足度」が全国1位など、その言葉にも説得力があります。海外旅行もままならない今だからこそ、福岡に「アジア」を感じに来てはいかがでしょう?

なお、以下の参考サイトは、元福岡アジア美術館初代館長の安永幸一さんへのインタビューと、同館で国際交流コーディネーター経験のある、広島市立大学准教授の石松紀子さんの論文です。




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