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茜
2018年1月22日 23:37
狂って見えるのか、狂って見せているのか、本当に狂っているのか、決めるのは誰なのだろう。狂っていると、果たしてその時自分で分かるのだろうか。 #コラム #本 #吉田修一
2018年1月5日 19:45
人生にも映画のように音楽が流れればいいのにと思う事がある。そうしたら救われるのに。井上さんの作品はそういう意味で、音楽のない文章だ。頑張っても報われないし、期待通りにはならないし。困っていても誰も助けてなんてくれない。すれ違った気持ちは伝わらないまま。怒っても喧嘩になることもなく、なんとなく過ぎていく。悲しみや憎しみはドラマチックなものなんかじゃなくて、もっと日常的なものなのだ。井上さんは
2018年1月6日 12:13
「博士の愛した数式」を、長い間読めずにいた。10年くらい。すごく悲しいお話な気がして手が出せなかった。老人と動物の話に弱いのだ。ところがある時、実家の本棚でこの本の文庫を見つけ、なぜだかふと読み始めてみた。たちまち引き込まれた。朗らかで可愛らしくてロマンチックで、温度があるみたいな文章だった。読み終わる頃には愛おしくて、宝物のように、そっとずっと大切にしたい一冊となった。続けて読んだ「
2018年1月8日 00:02
佐藤正午さんという人は、プラモデルを組み立てるような文章を書く人だ。全体の設計図をしっかり描いてから、細かい部品を一つ一つ丁寧に作り、それらを組み立てて全体を完成させる。面白い。構成も凝っているし、台詞も描写も隙がない。そして何よりこの人は捻くれている。捻くれ者の私は捻くれ者が大好きだ。主人公は津田さんである。「愛とスープは冷めるものだ」の。「困った時頼りになるのはやっぱり女だ」の。
2018年1月10日 15:35
他人の感情を、たとえばその後の行為は批評できても、その感情自体を否定する事は絶対にしてはいけないと思っている。どんなに此方からは理解できなくても、その時感じた気持ちはその人だけのもので、外からは分かり得ないからだ。怒ったでも、傷ついたでも、嬉しいでも、そして誰かを好きになったでも。九州の離島で暮らす主人公の30過ぎの女性は、夫を愛していて、愛されていて、しかしある時島に新しくやって来た、