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【舞浜戦記第2章】お祭り男が僕を呼んだ理由【後編】スプラッシュ・マウンテン053
前回のお話。
トレーナーは、必ずトレーナークラスという研修を受ける。
これは現場のトレーニングではなく、オリエンタルランドの本社で受講する研修だ。
その中で、トレーナーという役職がなぜ誕生したのかを教えてくれる。
昔々、本国のディズニーランドでは、新人キャストが入ると業務内容を教えるのは責任者の役割だった。
責任者であるリードは、自分の仕事の合間に教えるわけだが、空いた時間で教えるので、しょ
【舞浜戦記第2章】お祭り男が僕を呼んだ理由【前編】:スプラッシュ・マウンテン052
今日もクリッターカントリーは平和に営まれている。
グランマ・サラのキッチンの入口はお腹をすかせたゲストたちが吸い込まれていく。
滝壺は繰り返し繰り返し、ボートを叩き落としては水しぶきを上げている。
人々は奥へ歩みを進め、カヌー乗り場かチュロスを売るラケッティのラクーンサルーンへ向かう。
★
「キンちゃん、ちょっと」
シゲ坊が僕をそう、呼んだ。
ちょうどその日の勤務は外浮きで、屋外にいた時の
【舞浜戦記第2章】味方を作る天才【後編】:スプラッシュ・マウンテン051
前回のお話。
僕が早番シフトで、外浮きになったある日のこと。
その日は6月の温暖な時期で、天気もよく、穏やかな一日だった。
何かしらのアクシデントがあり、スプラッシュ・マウンテンは少しの間運営停止していた。
数分間の停滞の後で再び動き始めたが、列は詰まっていて動かない分、最後尾がどんどん伸びていった。
そんなタイミングで、間もなく勤務終了の時間が迫っていた。
僕は屋外で、クリッターカントリー
【舞浜戦記第2章】味方を作る天才【前編】:スプラッシュ・マウンテン050
その人は、ジミニークリケットにそっくりだった。
「ヨコちゃん」はリード(責任者)の1人だ。
一部の人たちが愛称を込めてそう呼んでいた。
小柄で体も顔も丸っこくて、穏やかな雰囲気をまとった男性。
そして彼は、僕が初めてキャストになった日に、マークトウェイン号の早番のリードを務めていた。
あの遅刻した当日の、早番のリードだった人だ。
マークトウェイン号時代の彼はとても機嫌が悪かった(ように見えた
【舞浜逗留亭:特別編】スペース・マウンテンのヘッドセットについての、誰も暴露してくれない話
みなさんこんにちはー!
あっくんさんです。
僕は普段、舞浜逗留亭というブログを書いています。
今回は特別編ということで、noteにお邪魔いたします。
今回テーマに取り上げたのは、ジャーン!
スペース・マウンテンです。
スペース・マウンテンの入口から入場し、列が進んで、いよいよ乗り場に到達すると、もうすぐ乗れるという期待感でいっぱい。
周りを見る余裕はないですよね。
おぉーロケットが動いて
【舞浜戦記第2章】カウントダウン・パレードの攻防:スプラッシュ・マウンテン049
超々々々〜〜〜〜〜長いよ。
初参戦時は少々先へ進み、1996年、年末。
恒例の年末年始が近づいてきた。
そして同時に、年末年始のシフト希望を出す時期だ。運営部は自分のアトラクション勤務か、またはカウントダウンパレード勤務がある。一応アンケートで本人の希望を聞かれるのだが、希望は約束されないのが原則だ。
僕は前年のことを思い返していた。
あれほど望んだカウントダウンパレードのシフトは、全然面白
【舞浜戦記第2章】「選ばれた男2」、岩の上に立つ:スプラッシュ・マウンテン048
辞めるか、辞めないか。
僕は悩んでいた。
日頃の不満はいつまでも消えることがなく、僕を悩ませ続けていた。
僕はいつまでたっても成長しない、その他大勢の一人だった。
1994年。
リード達は、また新たなトレーナーを誕生させた。
またか。
ベテランが退職し、さらに2人のトレーナーが選ばれた。もちろん僕ではない。
一人はオープニングキャストで経験3年目の人。二人目は、他のアトラクションから異動
【舞浜戦記第2章】全ての手順には理由がある:スプラッシュ・マウンテン047
スプラッシュ・マウンテンにいた頃の、ごく初期の日々。
勤務を重ねて1年くらい過ぎた頃だろうか。
どんな貴重な体験をしていても、毎日同じ作業を繰り返していれば、遅かれ早かれ「飽き」てくるのは正直、否定しようがない事実だ。
元々、いつまでやろうと決めて入って来たわけじゃないし、僕自身もいつまで続けられるかは気分次第だ、と軽い気持ちで続けていた。
一緒に入ったキャスト仲間たちは少しずつ去っていき、そ
【舞浜戦記第2章】リードに「殺すぞ」と言われた日:スプラッシュ・マウンテン046
前回のお話はこちら。
僕は、明らかに調子に乗っていた。
最近外浮きが増えたな、と感じたのはオープンから2年目を過ぎた頃だろうか。
相変わらずシゲ坊からは冷や飯を食わされていたが、他のリード達は時おり僕を選んでくれるようになっていた。
この人は活躍しそうだな、と思ったら、リードはまずそのキャストにチャンスを与える。
一度活躍の場を与えられたくらいで、その人の実力は分からない。日をおいて機会
【舞浜戦記・第2章】岩周りの攻防:スプラッシュ・マウンテン045
ディズニーのパークは日々進化している。
現在のパークもまた、時代に合わせて変化を遂げている。地面には間隔を空ける黄色い線が無数に引かれているし、それまでの常識ではあり得なかったキャストのマスク姿も当たり前になった。
逆に変化しない部分もたくさんある。
最も変化しにくいものの一つに、「自然の形状」がある。
パークは、人工物と自然物を織り交ぜて作られている。中でも自然に形作られたもの、たとえば樹木や
【舞浜戦記第2章】アウターキューの攻防:スプラッシュ・マウンテン044
時代は移り行く。
2000年にファストパスが始まった時、もう長い列を見る機会は永遠に失われたんだと確信した。
200本を超える柱を立て、50本近いロープを張って作るキューエリアへ、ゲストを収容することもなくなったのだと、寂しい気分になったものだ。
それらはかつて僕らのメインの業務であり、日々行なっていた作業の一つだった。
ところが、二度とお目にかかれないだろうと思っていたものが、再び目の前に
【舞浜戦記第2章】夏キャストたち:スプラッシュ・マウンテン043
前回のお話はこちら。
2020年は残念ながら、人と会う機会が減ってしまった。それがなければまた交流を持ち続けていたであろう、元スプラッシュのキャスト達がいる。
知る限り、スプラッシュマウンテンの元キャストで歴代最も仲の良い連中はいつの年かと言うと、間違いなく彼らだ。同期が仲良しなのは自然なことだが、彼らは別格だ。
それは、93年の夏に入って来た連中だ。
彼らは現役中は無論のこと、キャストを
【舞浜戦記第2章】「スプラッシュ・マウンテンは、最低だ」:スプラッシュ・マウンテン042
前回はこちら。
(つづき)
はっきりと覚えている。
キャストとして勤務していた時。想像していた。
今の自分を何十年後かに思い返すことがあったら、どう思い出すのだろうか、と。
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【舞浜戦記第2章】徹底的に失われた、僕らの信頼:スプラッシュ・マウンテン041
舞浜戦記って何?という方は、先にこちらからどうぞ。
最初から読むなら、
スプラッシュ・マウンテン時代はこちらが始まり。
第2部、絶賛連載中。
前回はこちら。
第一期暗黒時代のはじまり長く同じ職場で勤務し続けると、はたから見ても分からない浮き沈みを体験することになる。数年単位で、職場の空気やモチベーション、雰囲気、人間関係等の環境が悪化したり改善したりを繰り返す。
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【舞浜戦記第2章】「使えないんだよ、お前は」:スプラッシュマウンテン040
舞浜戦記って何、という方は、こちらをお読み下さい。
あなたは東京ディズニーランドやディズニーシーの園内で、パスポートを無くしたことがあるだろうか?
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【舞浜戦記第2章】お祭り男がやって来た:スプラッシュ・マウンテン039
舞浜戦記って何、という方は、こちらをお読み下さい。
本来この舞浜戦記は、僕自身のことを語る場なのだが、逆に他の誰かに焦点を当てることで、当時の自分が深く浮き彫りになることに気づいた。
僕が在籍していた期間を通じて、最も人気があったリード(責任者)は誰かと思い浮かべると、この人が真っ先に挙がる。
リアルタイムで勤務していた人達からすると、ひょっとしたら彼を歴代最高の人気リードと位置付けるかもしれ