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無職日記#3 「助けて」と声を上げることが生きやすさにつながるのかもしれない

今日は皆既月食。寒空のベランダで、双眼鏡を覗いた。月が少しずつ欠けていく様子も、すっかり地球に隠れて赤黒く夜空に溶け込んだ姿も幻想的だった。
ご飯を食べてても、映画を見ていても、やっぱり空の様子が気になって、30分おきくらいに母とベランダへ出ては、「おお〜!すごいすごい!」なんて言いながら二人で空を見上げた。のんびり空を見上げるくらいには、心のゆとりができてきているのだろう。

今日は、市役所で手続きをしてきた。国民健康保険と国民年金の加入手続きだ。平日で空いていたためか、両方の手続きを合わせて10分程で終わった。無職になるのは4年ぶりの2度目だが、こんなに早く手続きできたっけ、と驚いた。ありがたいものだ。

意外と早く手続きを終えたので、「障害福祉課」に寄ってみることにした。特に相談内容が決まっていたわけでも、手続きが必要だったわけでもない。けれど、「助けて、と声を上げなければ」という気持ちがあったのだ。
これまでの10年間を振り返ると、どうやら自分は社会で当たり前とされている働き方は難しいということを実感した。(ここでいう「当たり前」とは、1日8時間以上、週5日間勤務といった勤務形態の他にも、組織の一員として良好な人間関係を築きながら、さまざまな人たちとコミュニケーションを取りつつ色々な仕事を同時並行に進めていくといったことも含んでいる。)

ありがたいことに、家族や友人もいて、話を聴いてくれるかかりつけ医も、カウンセラーもいる。相談できる場所も頼れる場所もあるし、noteという場で自分を表現することはできている。けれど、会社という属性を無くした今、社会とどうやって接点を持っていけば良いのかわからなくなってしまった。
私は、現時点での病名は「適応障害」であり「子宮内膜症」ではあるけれど、障害者としては認定されていない。障害者でもなく健常者でもなく、宙ぶらりん。だけど、生きづらさがあって社会からはみ出している。
わざわざ「障害者」とか「健常者」とかラベル付けをしなくてもいいのかもしれない。だけど、ラベル付けされたいと思っている自分もいる。自分がいったい何に困っているかを明確に示せるし、対処法を見つけたり情報に頼ったりできるから。だけど、宙ぶらりんだとどうしたら良いのかがわからない。つまりは、私は今、頼れる何かがほしいのだと思う。

だから、障害福祉課の方に助けを求めてみた。勇気を出して、えいや!と窓口を訪れた。
これまでの経緯を端的に伝えつつ、「ずっと生きづらさがあるんです。これからどう生きていったらいいかなって」と決してうまくはない説明だったけれど。担当の40代くらいの女性の方は「それは…大変でしたね」と、小さな川のせせらぎのような、やわらかくて澄んだ声で共感を示しながら話を聞いてくれた。相談にきてよかった、と思った。
利用できる支援や、施設の案内などを丁寧にわかりやすく説明してくれた。白紙のメモ用紙に黒いボールペンで説明したことを図示しながら。なめらかに走っていく筆跡と、次々と情報が書き足されていくのにどこまでも整理されていてわかりやすいメモについ目を奪われた。

教えてもらった内容は、知らないこともたくさんあった。自分が住んでいる町に、こんなにもいろいろな福祉サービスがあることも初めて知って、感動を覚えた。その街の福祉サービスについて網羅的に知っている人から直接教えてもらうのと、何も知らないところから自分で調べていくのとでは、全然違った。何十倍もわかりやすくて、助かった。

宙ぶらりんの人間でも、受けられる支援やサービスがあるのだと知ることができただけで、心が軽くなった。試しに、後日相談支援センターに足を運んでみることにした。
「助けて」と声を上げてみて、良かったと思った。
私はこれまで、自分から「助けて」と言えずにどんどん窮地に追い込まれていったことが何度もあった。仕事で大変な時も、明らかにオーバーワークで自分一人では無理だとわかっていても、「助けて」「しんどい」が言えなかった。限界の限界に近づいて、やっと声を上げられていた。だから、周りには驚かれたものだ。そんなに追い込まれていたなんて、と。もっと早く助けを求めてもいいんだよ、と言われた。でも、それがなかなかできなかった。自分でもどうしてそれができないのかがわからなかった。
もしかすると、「助けて」「しんどい」がもっと早く言えていたら、私は今でも元気に働けていたのかもしれない。

一人でできることなんてたかが知れている。
人間なんて非力な生き物で、一人でなんて生きていけないのだ。だから、どんどん周りを頼っていこう。遠い場所へ行くときに電車に乗るのと同じ。そう思えるようになったのは、本当にここ最近だと思う。
「助けて」と言わなければ周りはわからないから。なにに困っていて、何が不安なのかはわからないから。だから、声を上げてみよう。怖いかもしれないけど、がんばって伝えてみよう。そうすればきっと、自分が生きやすくなる道につながっていくのだと思う。

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