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ネガティブな時に読む物語〜中学校、好きな果物事件〜

私には幼馴染がいた。あさみと、ゆかである。
生まれた時からいつも遊んでいた女の子2人だ。
幼稚園までは、みんな楽しく平等であったように思う。
小学校にあがると、あさみ(仮)は、少しぶりっ子になった。
男子に対しては、もうやめてよ〜など高い声を出して、男子はそれを聞きからかっていた。


女子はそれをよく思わない。
案の定、幼馴染のもうひとり、ゆか(仮)がそのこを嫌うようになった。

私は、あまり女子のいざこざにかかわりたくないタイプ、というより関心がなかった。

ぶりっ子でもいいじゃん、とか、ぶりっこで何が悪いんだろうと思う、女子としては抜けたところがあった。

しかし、私は本能的にゆかと仲良くするようにした。
ゆかは、気が強くて、女子のリーダー的存在で頭が良かった。
女子は、そういう子に一目置く。

ゆかは、私をまっち(仮)と呼び、遊び仲間に入れていた。
帰り道も一緒だったため、一緒に帰り、色々な話しをした。
しかし、私は少しゆかに恐怖を覚えることがあり、手に汗握ることがあった。

他の女子も、ゆかは怖いよね、などと陰でいいながら本人の前ではいい顔をした。

ゆかの言うことには、否定せず、絶対であった。

その頃から女子の仲間意識に、少し恐怖をいだくようになった。

中学にあがり、私はまだゆかといた。

しかし、中学になってから、まきと仲良くなった。

まきは、明るく面白くて、男子をよく殴っていた。
太りめの男子がいたら、おいっといって肩らへんを殴った。
本人曰く、挨拶だそうだ。
女子の力だから、そこまでだと思うが男子はけっこう痛そうだった。

ゆかは、目立ちたがりでヤンキーに憧れていた。
だから、ぐれている男子と仲良くしていた。


はっきりものを言う性格の反面、以外と人の気持ちに敏感でやさしいまきがすきだった。

よく一緒にいるようになった。

まきは目立つため、私も一緒に目立っていたように思う。

4月の初めは、部活を決めなければならない。

私は人より身長が高かったため、いろんなスポーツ系の部活に誘われた。

まきは、陸上に入ることにした。

ゆかは吹奏楽部がいいと言っていた。

私は、まきがいるし動くのが好きだったため、陸上部に入ろうかなと、ぼんやり考えていた。

すると、友達のえっこが私のものとに駆け寄って、小声で話しかけてきた。

ちょっとまっち、ゆかが怒っているよ。
まっちが、吹奏楽じゃなくて、陸上部にするから、裏切るって言ってる。
もう、絶交するかもと言っているよ。

私は目の前が真っ白になった。
なんで、そんなことで絶交するのか意味がわからないのと、そんなことで怒るゆかに恐怖が芽生えた。
息苦しい、と思う反面、どうにかしなきゃと思った。

まきに、相談した。

するとまきは、

吹奏楽に行ったほうがいいんじゃない?

と言った。

まきは、世間の仕組みをよく理解していた。
普通だったら、ドラマや漫画で、自分の好きにすればいいと、肩を押す場面があるが

それは、現実では、集団の中での死を意味することがある。
うまくいくのは、ドラマや漫画の中だけのことが多い。

しかし、私はなんとなく自分の中で納得ができないため、吹奏楽にしようと思いながら、モヤモヤしていた。



そんなある日、ゆかから呼ばれた。

というより、えっこが中学の教室のベランダでゆかが待っている、と言ってきた。

鼓動が速くなり、手に汗を握っているのが分かった。



そこに行くと、えっこなど、他の友達もいた。

えっこが、吹奏楽部に入ると言った。

はじまりの合図だ。嫌な予感がした。



まっち、好きな果物は何?

ゆかが言った。

は?と一瞬意味がわからなかったが、ゆかの性格からすぐに推測できた。

ゆかは、わたしがまきと仲良くしているのをよく思ってなくて、まきと同じ部活に入るのが気に食わないのだ。

そして、好きな果物とは、まきのことだと。

私は黙った。


しかし、ゆかは、

いいから言って。

と言った。




恐怖であった。

しかし、言うしかない。







ぶどう。










ゆかは、それを聞いて黙った。


じゃぁ、ぶどうとさくらんぼがあったらどっちとるの?

ゆかが言った。


それはつまり、ぶどうがまきで、さくらんぼがゆかだった。

さくらんぼも好きだよ、などふざけたことを言う雰囲気ではなかった。








ぶどう。













ゆかは、ため息をついて、教室に戻った。

その日も、その次の日もゆかと一緒に帰った。
自転車であったため、ゆかのあとをついて走り、延々と長い沈黙の中ペダルを回した。

ペダルの音さえ、鮮明に聞こえ、息の根を殺し、ペダルよ、鳴るなと願っていた。

消えたかった。

帰った後は、すごい疲労とストレスで、おばあちゃんからもらったおやつをドカ食いしていた。

私はこの時初めて、ストレスによる身体的な不調を感じていた。


その後えっこから聞いたが、吹奏楽に入るなら許すと言うお許しが出た。

私は、恐怖に怯えており、その要求を飲んだ。


その後も、ゆかと一緒に帰っていた。
しかし、沈黙は続いており、ペダルの音だけを聞く毎日を送った。

その後、ゆかに彼氏ができた。
ゆかは、その後どんどん丸くなかった。

私が吹奏楽に入ったことで、満足しているのか、少しづつ話をしたり、ゆかの棘が無くなっていくのを肌で感じ、少しづつ心から笑いあえるようになった。

まきと仲良くしていると、たまに刺々しい視線を感じたが、一緒に部活をすることに満足をしているのか、その視線は続かなかった。





私は、そこまでさくらんぼが好きではない。


しかし、好きではないさくらんぼを食べることで、好きなぶどうを食べることができた。


今思えば、中学校という世界は狭く、大人世界のヤクザのような取引もある。
子どもたちは、見えない中で意外とストレスをかかえ、取り引きをしながら過ごしているかもしれない。



♡Heart nurse♡

見てくださり、ありがとうございます♡これからもあなたが楽しく、健康的な人生を送れるよう、お手伝いができたらと思います! これからも面白い物語の提供や企画をする予定です!サポート貰えたら嬉しいです^_^