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HSPの気質が保育士として役立った瞬間

おはようございます。
今日は私のHSP気質と、保育士という仕事について書いてみようと思います。

HSPとは、Highly Sensitive Personのことで、一時期「繊細さん」という呼び方も流行りました。
匂い、音、感触などにとても敏感で、影響を受けやすい性質、と考えていただければ大丈夫です。
あと、周囲の雰囲気にも敏感です。

言葉が出ない子どもに寄り添える

まだ幼い子どもたちは、言葉を習得するまで自分の感情を表現するだけでも一苦労です。
さらに、自分が感じているものが何なのかもよく分かっていません。
何か違和感や不都合があれば、とりあえず泣く。
泣いている子どもが何を解決してほしいのか、それを推察するのが大人の、保育士の仕事の1つです。

この推察する過程で、私のHSP気質がかなり役に立ちました。

子どもって大人より敏感なところが多いです。
大人なら気にしないようなこと、当たり前だと受け流すようなことにも、敏感に反応しています。
だから、大人の感覚で見ると、子どもがどうして泣いているのか理解できないことも多いんです。

これは子どものプロである保育士でも同じこと。

私もすごく頭を使って子どもの泣いている理由をあれこれ考えていました。
それが、自分がHSP気質であるということを自覚して、HSPというものを知るようになったことで、ふっと楽になった瞬間があったんです。

あ、この子たぶん、これが嫌なんだ。

HSP気質の目で見てみると、そんな瞬間がぽんぽんと訪れるようになりました。
HSPもかなりあれこれに敏感なので、同じ感覚で子どもを見ると理解できることが多かったんですね。
(全部ではありません、泣いている理由が謎なこともしょっちゅうです)

ただ泣いて訴えるしかなかった子どもに対して、私の感覚が役に立っている!と感じられるのは、保育士としてすごく嬉しい時間でした。

子どもから信頼してもらえるようになった

言葉が出ない以上、子どもは泣いたり、表情を変えたり、身振りを加えたり、なんとか自分ができることで訴えるしかありません。
見ていると、微妙に泣き方が違うとか、子どもなりに工夫しているのが分かります。

でも、残念ながら伝わらないことが多い・・・
こちらもなんとか汲み取ろうとするんですが、なかなか理解してあげられず、言葉の偉大さを感じることが多々あります。

そして、子どもの方でも「理解されない」ということが分かってくる。
何回泣いて訴えても、自分の訴えを汲んでもらえない。
自分が困ってるのに、嫌だと思っているのに、解決してくれない。
なんで!
なんとかしてよ!
そんなもどかしさを現すように、泣き方が激しくなったり、暴れたりと行動が激しくなることもあります。
個人的には、諦められてしまうより、そうやって表現してくれる方がずっと良いと思いますが。

そんな「なんとかしてよ!」と訴えている子どもに、私のHSP気質がすごくぴったりハマった瞬間がありました。

その子はずっと「なんとかしてよ!」を抱えていて、でも分かってもらえないことが当たり前になりつつあって。
分かってくれないから泣く、ではなく、この状態はいつも分かってもらえないから最初から泣く!みたいな感じ。
伝わりますかね。

その子はオムツのはき方だったんですが、自分でやりたくなくて泣いてるわけではなくて、自分のやりたいようにできなくて、でもなんとかしたい、でもできない!手伝ってよ!!という思いだったんですね。
でも、それまでの周りに人たちは、自分でやりたくなくて泣いていると判断していた。
だから、「自分で頑張りなさい!」と放置されることが多かったんです。
(そのやりとり自体、私はかなりモヤっとしたんですが、それはまた別のお話)

私は泣いている子を見て、「やりたくない!」ではなくて「できない!」を感じました。
もどかしさ、悔しさ、そういうものです。
それで、もしかして・・・と思って、「手伝おうか?」と声をかけてみました。
その子、自分から話すことは難しかったものの、周りの言葉は分かっている子だったんですね。
なので、「手伝おうか?」と聞いてみたんですが、その子はぎゃんぎゃん泣きながらも大きく頷きました。

オムツのお腹側は引っ張り上げることができるのに、お尻側をうまく引っ張り上げることができなくて、オムツがうまくはけない状態。
なので、私がお尻側を手伝って、その子がお腹側を引っ張る。
すると、するん!っとスムーズにオムツが持ち上がりました。

その瞬間の、子どもの顔。
え!?という、びっくりしたような表情。
それから、できたー!!という、ぱぁっと輝いた表情。

こういう顔が見たくて私は保育士やってるんだー!!と、こちらまで嬉しくなるような顔をしてくれたんです。
今でもあの時の表情ははっきり思い出すことができます。

それ以来、その子は私が一緒にトイレに行く時は、あまり泣かなくなりました。
泣く時は眠いとか疲れているとか、本当にやりたくない時。
それでも自分でやりたいという気持ちも残っていて、なんとも複雑な状態。
そういう時はいつもより私が手伝う要素が多くなりつつ、その子自身もなんとかオムツを引っ張って、自分でもちゃんとやった!と満足できるようにしていました。
そのあたりの匙加減も、私とのやりとりがその子には合った様子。
遊んでいる時もよく甘えてくれるようになって、信頼してもらえたのが分かりました。

子どもより、むしろ大人との関係が難しかった

私が難しいなと感じたのが、HSP気質だから感じることって、ほとんどの人には些細なことで重要ではないこと。
なので、私の感覚で感じ取った子どものことを、他の先生に理解してもらうのがすごく難しかった。

さきほどのオムツの子の例でいくと、私以外の先生に、やりたくなくて泣いているんじゃない、ということを分かってもらうのが本当に大変でした。
というか、ほぼ、分かってもらえませんでした(苦笑)

まあ、その子も泣く声が大きいのでね。
そして、私と手伝う・手伝わないのやりとりをしながら、一緒にオムツをはきながらも、泣いていることがあったので。
というか、一度泣き始めるとなかなか泣き止めない子だったので、後から私が手伝いに行くと、すでに泣いている状態。
そのまま泣きながら一緒にオムツをはく、という流れが多かったわけです。

そうすると、ぱっと見た感じ、泣いてワガママを言っている子に私が折れてやってあげている、という風に見えたんでしょうね。
私とその子のやりとりは、実際は違います。
私もオムツを持ってはいるけど、ほとんど力は入っていない。
その子が引っ張り上げやすいように、ちょっと持ち上げているだけ。
ほぼその子の力だけで引っ張り上げていました。
もうちょっと細かい動きができるようになったら、1人ではけるようになるな~と思って手伝っていたんですが・・・
「また泣いて!自分でできないと困るよ!」
「いつまで泣いてるの!」
と、通りすがりの先生に怒られる・・・

その子とのやりとりとか、実際私が何をしているのか、もちろん説明しました。
でも、ほとんど伝わらなかった・・・
結局、私がその子に関わっている間に、他の先生に理解してもらうことはできませんでした。
それが本当に辛かったです・・・

その子は、言葉こそ出なかったものの、理解力のある子でした。
だから先生たちの言っていることも分かっていたし、相手によって態度をかなり変えてもいました。
私とオムツをはいて、大分落ち着いて笑顔が見え始めた時、通りすがりに「まだやってるの!?」と言われた瞬間。
その子の笑顔が、すんっと消えた。
落ち込んだわけではなく、もっと冷めたその表情を見て、「あ~この子、本当によく分かってるな・・・」と理解力の高さをしみじみ感じたものです。

子どもって本当にいろいろ分かってますよ。
そして、残酷なくらい態度に出ます。

保育士にHSP気質が合う・合わない

保育士という仕事と、HSPという性質が合うのか、合わないのかは、人によって違います。
HSPも、全員が同じ感覚なわけではないんです。
敏感さの度合いが大きく違うので、簡単に合う・合わないを判断することはできません。

私自身の場合だと、子どもとの関係ではすごく合いました。
特に自分がHSPだと自覚してからは、自分の感覚だから分かるものがあるんだと理解できたので、さらに子どもとの関係でプラスに働きました。

でも、周囲の大人との関係において、私の気質は合わなかったと思っています。
これは職場環境の影響が大きいので、人によって違うところですね。
私がいた職場では、私の気質はなじめませんでした、ということです。

子どもとだけ関わっていればいいなら、私はずっと保育士を続けていたと思います。
でも、そうはいかないので・・・
どこかに、子どもとだけ関わっていればいい職場、ありませんかね。

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