【空き家の現場で16年】肌で感じたいろいろな変化とこれからの事 その7
あなたの生まれ育った「実家」はいま誰が住んでいますか?
実家を離れて暮らしているとついつい忘れてしまいますが、留守にしている実家(空き家)は驚くスピードで劣化や破損が進んでしまいます。
以前、調査に入った空き家は、外観は全然きれいだったのですが、中に入ってみると、2階の小さな窓が少しだけ開いていたためそこから雨が入り込み、2階の床から1階の壁、床、床下の床組まで腐食していたことがありました。
とりあえず自治体の空き家バンクに登録するとともに、補助金を使って躯体の修繕を行うことで、無事新しい所有者にバトンタッチされました。
建物が劣化するだけならともかく、周囲に悪い影響をあたえてしまうことも多々あります。
地域における空き家問題といわれるものですが、夏場と冬場では大きく変わってきます。
夏場の空き家相談は草が伸びたり、木の枝が伸びて越境したり、虫やヘビなどの害虫が発生したりというところ。
ご近所さんから苦情の連絡が来て、慌てて草刈りなどの対応の依頼をいただくことも多々ありますが、そうなるとかなり伸びている状態なので費用的にもかさんでしまいがちです。
対する冬の空き家相談は、空き家の雪下ろし問題や、凍結による水道管の破裂、放火の被害など自治体も頭を悩ませることも多いです。
とくに空き家の増加も相まって冬の空き家問題は年々深刻になっています。
1 空き家を取り巻く環境 ~冬季における空き家の被害~
以前、空き家管理士協会のメルマガで以下の記事を書きました。
また、冬場は火災の被害も考えないといけません。
空き家は放火されやすい対象といえます。
放火の被害を受けやすい家として、周囲に古新聞、古雑誌など燃えやすいものが置いてあったり、風で落ち葉が吹き寄せられていたり、ごみが放置されていたり、といった特徴が挙げられます。
空き家は誰も住んでいないという事で、管理が行き届きにくいため、最近では一年を通して、各地の空き家で放火などの火災のニュースを耳にします。
私たちが巡回しているお家では、常に周囲に燃えやすいものがない状態を維持しています。
郵便受けはDMや広報誌などが定期的に入ってくるので気が付けばいっぱいになっているので特に注意です。
かといってガムテープなどで蓋をしてしまうと、ここは空き家ですよとアピールするようなもので、あらたな別の被害を引き起こす原因になります。
また、道路側に自転車などが置いてあると籠の中にごみが捨てられたりすることもあり、一つゴミが捨てられるとつぎつぎゴミが集まります。いわゆる割れ窓理論ですね。
以前から、空き家の調査や管理をしているとご近所さんが出てきて、「この家どうするの?、帰ってくるの?」といった後に、「中学生とかが中に入り込んで火遊びしたりするのが怖いんだけど・・・」といわれることが多かったですが、ご近所さんにとって放置されている空き家が隣にあることはかなり不安なようです。
また、古い建物になると、コンセントプラグのトラッキング現象や、漏電火災、通電火災といった火災被害の可能性もあります。
もし、放火や自然発火による火災で、空き家が火災被害をうけた場合、所有者はどのような責任を問われるのでしょうか。
失火責任法によると、所有者に重大な過失がある場合以外は基本的に所有者責任を問われません。
一方で、所有者に重大な過失があった(例えば火災を引き起こす可能性を知っていながら、対策を講じなかった)場合は、損害賠償責任を負うと規定されています。
この失火責任法はすごく古い法律で、一部では見直しの必要を唱えている人もいるようです。
2 空き家の利活用 ~空き家を使った「農泊」が進むか!!~
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