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【カルチャー】社員第一主義と業務改善~後編~多様な働き方への理解

こんにちは!子育て広報の三輪です。
前回のnoteでは、執行役員の黒田さんと育休制度を整えるまでの当時を振り返りながらお話をしてきました。今回後編では、当社の育休取得の現状や、パラレルキャリア、子育てとの両立など多様な働き方について、引き続き、黒田さんからリアルなお話を聞いていきます。

育休取得率100%ができている理由

三輪:黒田さんから見て、当社が育休取得率100%を達成できている理由についてお話いただけますか?

執行役員兼不動産事業部長 黒田

黒田:当社の男性社員の育休取得率は100%というだけでなく、当社の社員数は10人にも関わらず、営業の男性社員が2人同時期に育休を取得することもできたというのが特徴だと思います。企業さんによっては、仕事が回らないのでは?と考える方もいるかもしれないです。
でも、どうすれば回るのかを考えるのが、当社です。常に改善を図り、不必要な業務は削除しつつ、より効率的にできる方法を探します。

当社が育休を取得しやすい理由として、ビジネスモデルも挙げられるかもしれません。主軸事業である、中古物件をリノベーションして再生し販売する事業は、半年や一年といった長いスパンで業績を上げることが多いので、仕事量を比較的コントロールしやすいんです。
それから当社の育休の一番のポイントでもある、育休は業務を見直すいいタイミングとして捉えている点も大きいかもしれませんね。

三輪:そうですね、皆さん育休に入る前に黒田さんと業務の見直しを行っていますよね。どのように見直しをしているのか、詳しく教えていただけますか?

黒田:育休中は仕事ができる時間が限られるので、成果につながる最適な方法を洗い出し、その業務を優先的に行えるように、現在の業務を見直します。
例えば、訪問営業から電話営業に変えてみる。訪問回数を月2回から1回に変更してみる。など、仕事を棚卸し、手法を吟味して、成果につながると考えられる営業方法に絞って行ってみるのです。この改善方法は、それぞれの上司と本人との面談の中で模索していきます。仮に成果が出なかったとしても、その人を責めたりはしません。集中すべき点とそうではない点が明らかになったと捉えています。

三輪:業務の見直し自体は、育休を取得する・しないにかかわらず2021年頃から始めましたよね。

黒田:そうだね、定期的に行っていますね。
半育休※を取得する社員は、取得する半年前から、上司との1on1の際に短時間で成果を出せる働き方を検討しています。自主性を尊重し、他のメンバーが育休を取得した際の計画書を参考にしながら、仕事の仕方を本人に考えてもらっています。

※【半育休】当社独自の制度で、ひと月あたり10日間以下または80時間以下であれば働くこと。男性社員の多くがこの制度を活用。

三輪:育休をきっかけに「短時間で成果を出せる働き方」に変えていくというのが、当社独自だなと感じています。少しハードルが高いような気もするのですが、実際どうでしょうか?

黒田:働き方を変えていくというのは、私が第二子の半育休を取るタイミングで実践していきました。育休取得時、自分が現場に行かなくても仕事が進むようにしたいと考えていました。仕事は標準化されていましたし、他の社員に権限を移譲できそうだったからです。
日々の仕事をしていると、継続することで手一杯になってしまい「新しいスタート」は後回しになりがちですよね。しかし半育休を取得し、状況として現場に行かなくなったことで自然と権限移譲が進みました。やってみてダメだったら、元に戻せばいいと考えていて、まずは行動あるのみだと思っています。

会社に遊びに来てくれた黒田さん一家

中小企業が男性の育休取得率を上げるポイント

三輪:黒田さんが考える中小企業が男性の育休取得率を上げるポイントは何だと思いますか?

黒田:休むか仕事をするかの二択だけでなく、半育休というワークスタイルの選択肢を増やすことは大切ですし、有効な手段だと思います。ただし、 これは育休中も人的リソースを確保したいという会社都合の選択肢という意味ではありません。
一定期間、しっかり育休を取得したい社員もいれば、育休は取りたいけれどブランクを不安に感じている社員もいるんじゃないかと思います。それぞれの家庭環境などでも、状況は変わりますしね。いろんな選択肢があることで、安心して自身のキャリアパスや環境に合わせて育休を取得できるようになるのではないかなと思います。
ただ、これらは全て制度の整備が必要になることなので、前提として経営陣のマインドセットとコミットメントは重要なポイントになると思います。

パラレルキャリア推奨で、自立した社員の入社を実現

三輪:当社では「パラレルキャリア」を推奨していますが、会社の方針として掲げられるようになったのは、私が入社した2017年の夏頃ですよね。

ベビーマッサージ講師としても活動する三輪

黒田:そうだね。私が入社する際にも、もともと個人で行っていたバーの運営やイベント企画の仕事は続けさせて欲しいというお願いをしていて「仕事で成果を出せば構わない」ということで、副業が認められたのが始まりだったんです。なので、2016年頃から副業はOKでしたね。
そのあと、パラレルキャリアである三輪さんが入社してくれて、会社としても応援するようになりましたね。

三輪:わたしは当時(今も)個人事業主としてベビーマッサージや食育指導を行っていたので、最初はパート社員として週2~3日程度働かせてもらいました。その後、子育てにも少し余裕ができてきて、テレワーク制度の導入や副業としてこれまで行ってきた自身の事業も続けられることなどから、時短正社員を経て、正社員になることを決めたんですよね。
現在私が「子育て広報」という肩書で仕事をしているのは、会社としても子育て応援企業であり、私自身も子育てに関する事業を行っていて、それを広報に活かしているからです。一般的な広報とは異なる特色が打ち出せているのも、パラレルキャリアのおかげだなと実感しています。

三輪:パラレルキャリアの推奨は私にとっても働きやすいと感じていますが、会社としてのメリットがあれば教えてください。

黒田:パラレルキャリアを選ぶ人は、三輪さんもそうですが、仕事や事業に対してアグレッシブなマインドを持つ人が多い印象です。自分のスキルなどをプレゼンして仕事を受注しているわけですから。仕事に対する向き合い方が違いますね。
スキル面では、マネジメント能力や協業する能力が高いですね。会社から任された仕事とは異なる仕事を行うなかで自らスキルを伸ばしてくれるので、会社としても助かっています。

育休制度・パラレルキャリアは採用にも有利

黒田:フレックス制を導入しているし、働く時間も場所も問わないのが当社ですよね。創業当時から子育て中の女性が多かったため、子育て優先の風土も醸成されてきたなと感じています。三輪さんは、パート社員から時短勤務、フルタイムと変わっていきましたが、働き方の変化はどうでした?

三輪:時短正社員の制度はありがたかったですね。
私の場合、当時フルタイムの勤務時間が8時間から7時間15分に変更されたことに伴って、時短正社員の勤務時間も27.5時間/週となり、子育てと仕事が両立できると思えたことが、パート社員から時短の正社員になるきっかけになりました。
子どもに手がかかる時期は時短で、子育てがひと段落してより収入を得たいという時期はフルタイムで、とライフステージに合わせて働き方が選べるのは助かります。
社内の雰囲気も、ボトムアップで社員の意見を働き方や制度に反映してくれるので、社員は自分の仕事に責任を持って取り組めば、仕事も子育ても問題なく両立できるなと感じています。今後も何かあれば、だれでも手を挙げやすい環境だと思っています。

三輪:現在2児のパパでもある黒田さんの働き方は変わりましたか?

黒田:生産性が上がりましたね。人間は「時間に合わせた仕事」をしてしまう側面もあるのではないでしょうか。時間が制限されれば、そのなかで結果を出そうとします。当社のビジネスモデルは特に、今の半分の時間でも成果を出せる可能性はあると思っています。
子どもとの時間も取れています。預けている保育園が18時までなので、17時に会社を出られれば買い物をしてから、子どものお迎えに行けますし、子どもと一緒にお風呂に入ることもできますから。

三輪:最近では男性の育休取得率が高いという点をメリットに感じて、入社してくれる方も増えていますよね。採用について、どのように考えているか教えてください。

黒田:現在はリファラル採用を行っています。 中小企業では、採用にあまりお金をかけられませんが、リファラル採用は、広告料などをかけることなく、スキルセット+人柄もある程度わかった上での採用ができるため、非常に「コスパ」の良い採用手法になります。
社員が人材を紹介しやすいように、紹介社員と入社社員の双方に、永続的に報奨金を払う仕組みがあり、パート社員の場合は月500円、正社員だと月1,000円を、紹介されて入社した人が退職するまで支給しています。
育休が取りやすいのをメリットに感じてくれるだけでなく、多様な取り組みをしているので、最近では働きやすさや自分の将来を考えて入社する人が多いですね。

三輪:最近入社した人は、リファラル採用か、当社のホームページを見てビジョンや働き方に共感して応募してくれた人のいずれかですね。
それでは、最後に組織づくりや働き方について今後の展望を教えてください。

黒田:組織面で目指しているのは、ティール組織の中の「グリーン」の組織です。社員の意見を取り入れながら会社を成長させつつ、社員一人ひとりが主体性を持ちながら気持ちよく働けるようにしていきたいですね。

黒田さん、ありがとうございました!
当社ならではの「半育休制度」ができるまでの歴史や、多様化する働き方への理解など、”育休と働き方”という切っても切り離せない二つのテーマで、現場のトップとして、パパとして、お話を聞かせていただきました。
育休制度に悩む企業さん、働きやすい環境で働きたいと考えている方に、少しでも参考になれば幸いです。