左目の視力を失った話
1.網膜剥離の発症
高校三年生の夏休み前、ベッドで目覚めると違和感があった。左目の右端に小さな黒い影が見える。最初は目にゴミでも入ったのかと思ったけど、何度目をこすっても、何回まばたきをしてもその黒い影が消えることはなかった。
正体はよくわからなかったけど、まぁ、数時間もすれば何事もなく元に戻るだろうと思っていた。ご飯を食べて、学校に行って、お風呂に入って、就寝して。次の日の朝、左目の黒い影は消えずに残っている。視力が悪くなったのかな? と思い本屋で目が良くなる本を購入。
全く同じ本ではないと思うけど、このシリーズだったのは確かに覚えている。必要以上に読み込んでも黒い影は消えない。それどころか日に日に視界が欠けていくようにさえ思える。さすがにこわくなって近所の眼科に訪れると「ここでは判断が難しいので大学病院を紹介します」と。その時点でなんとなく覚悟はあったのかもしれない。
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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652