'95 till Infinity 140
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【 第8章 - ②: Story of His Life 008 】
家もない、メシもろくに食わないって生活でもさ、ネタ代があるから金はいるんだ。
だから、なんでもやったよ。
万引きにひったくりに寸借詐欺。空き巣をやるほどの頭もなけりゃ、強盗するほどの根性もなかったけど、自分にできることならなんでもやった。
生きるための犯罪なんて格好いいもんじゃないよ。
ただヘロインをやる為だけに俺は盗み、人を騙し、奪い続けたんだ。
確かにその金でメシを食いもしたさ。けど、メシなんてヘロインを打ち続けるのに付随してくるどうでもいいもの一つだったんだ。
俺は別に生き続けたかった訳でもないし、死にたくなかった訳でもない。
俺は俺の人生の中でただただ一回でも多くヘロインを打ち込みたかった。
俺はただそれだけの為に生きていたんだ。
そうやって4年も暮らした頃だったかな、ひったくりでパクられたんだ。
狙ったのはよぼよぼの婆さん。ATMで下ろした金が入ったバッグを後ろからひったくってさ、助走は十分、失敗するはずはなかった。
街を駆け抜けて監視カメラの外に抜け出せれば、後は中身を抜いたバッグをどこかで処分するだけでよかった。それまで何回もやったことをただそのまま、当たり前にやれば大丈夫なはずだったんだ。
俺たちジャンキーはさ、無駄に一日中街をうろついてる訳じゃないんだよ。
監視カメラの位置なんて自分の机の引き出しの中みたいに知ってる。
ビルの谷間、公園のトイレ、誰も入ってこない路地。ほとぼりが冷めるまで隠れる場所なんていくらでも知ってるんだ。
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