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'95 till Infinity 147

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【 第8章 - ③: Story of His Life 004 】

仕事から帰ってきてさ、飯を食って何をするって訳でもないんだ。元からTVは見ないから、家にTVもなかった。本もまだあの頃は全然読んでなかった。

前の住民が置いてったスプリングが壊れたソファーに座ってさ、薄汚れたグレーの壁を眺めながら、いろいろと考えるんだ。

エマのこと。
それまでのこと。

そうやって自分が何年か前には思いもしなかったような生活をしてるとさ、そんな全てがどっか遠い違う世界のことのように思えるんだけど、実際には俺の頭の中に浮かばない日はないんだ。

なんっていうのかな?それは俺がいる場所の薄い膜1枚向こう側のパラレルワールドでその時もまだ起こっていたことなんだよ。

酒も全然飲まなかったし、当時はガンジャも全然吸わなかった。

仕事から帰ってきて寝るまで物思いにふけってさ。休みの日には1人でドライブに出るんだ。そうなんだよ、俺は車を買ったんだ。

ジャンキーだった頃には自分が1000ドルとか2000ドルのまとまった金を持つなんてことは絶対ないって思ってた。

けど、少ないながらも給料をもらって金を使わない生活を続けているとさ、ちょっとずつだけど勝手に金が貯まっていったんだ。俺はその金で中古車を買ったよ。それがこの車だよ。

休みの日にはこの車に乗っていろんなとこに行ったよ。いろんなとこって言っても、別に観光名所とかに行った訳じゃなくてさ、適当に気の向くままに走って誰も知らないような田舎町に行ってみたりしてさ。

エコじゃないよね、そんなのただの資源の無駄遣いでしかない。

けど、俺は休みの日になると車を走らせずにいられなかったんだ。走ってる間考えることは家にいる時と同じようなことだよ。

けど、視界の両隅を流れる景色が気持ちよくてさ。少なくとも、家でグレーの壁を睨んでるよりはよっぽどいい。


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