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瀬戸内寂聴さんの生涯

昨年亡くなられた瀬戸内寂聴さんの追悼本が書店に並んでいます。過去のエッセイやインタビュー記事からの言葉を寄せ集めた本が良く売られています。私も何冊か持っていて、そのたびに心に染み入る言葉や生きる勇気を受け取るのですが、ご本人はどのような生涯であったのかと、ふと思うことがありました。

1963年に女流文学賞を受賞した私小説『夏の終わり』を読めば、その答えが見つかります。主人公の知子を中心に、複雑な男女の関わり合い、そして最愛の4歳の娘との別れとその後の娘に対する気持ちのうつりかわり。娘を捨てた数年後、ひそかに麦畑で出会うシーンは圧巻です。

この小さな文庫本に収められた連作5編を読めば、今までの瀬戸内さんの素敵な言葉の意味がもっと理解できるはずです。そして、生きる意味を深く考える機会を与えてくれる。そんな気持ちにさせてくれる小説です。


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