察すること


父は察することができない
と息子は長年生きてきて思っている。

母が亡くなった時にあるご近所の方(とりあえず奥さんと書いときます)、「葬式後の火葬場までお付き合いしてもらえないか」と父が誘ってみた。
その時点で謎だった。

その方の旦那さんと母が元々同じ職場
父は自営業をしていて、そこに納品していた
旦那さんが政治の方に行っても応援していた
息子さんが政治の方に行く際も応援していた
奥さんとは会えば話す感じではあった

ただ、奥さんと友達というわけではない。
特別どこか出かけるわけでもなく、連絡先も家電しか知らない。

母が亡くなった日の朝、奥さんや旦那さん、息子さんがどこから情報を聞きつけたのか、お花を持ってきてくれた。

それはありがたかったけど、そこまでの仲ではないし、地域的に知り合いが亡くなったらそういうことをやるんだろうなとは思う。

通夜葬式の前に、父が電話しても繋がらず、父が日程をポストに入れてきた。

通夜に旦那さん、息子さんがきてくれて、政治をやっている方なので、1番前に座ってもらった。
奥さんは葬式にきてくれた。
そこで父は火葬場まで付き合ってくれないか、聞いた。
その時は行くと答えてくれたそうだ。

葬儀場から火葬場に行き、昼飯をとる。
バスに乗る人数と食事の数を確認しなくてはいけなかった。
スタッフさんに奥さんが来てくれると伝えた。

だが
バスが出発する時に1人いないということになり、奥さんが外にいた。
「用事があったので行けない」と。



その時は目の前のことで精一杯だったので気が付かなかったけど、奥さんは行きたくなかったんだろうなと思った。






月日は流れ、昨日一周忌の日程が決まった。
四十九日よりかはこじんまりやろうという話になった際に父が奥さんを誘ってみたという話をしてきた。
誘ってみた!?過去形!?
回覧板を持っていた際に話したらしい。

父は去年用事があって行けなかったからという理由で誘ったらしい。

いや、普通に嫌がってるだろう。
父は顔の表情を読むことがあまり得意ではないと思う。
行間も読めない。
察することが苦手。

案の定、断られた。
だって、葬式後にお線香あげに来たりもしてないじゃん。


わからかな。

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